4179.2018年10月22日(月) 報道はメディアの思惑次第か?

 サウジアラビア人ジャーナリストのジャマル・カショギ氏殺害にサウジ政府が関与していたと思わせる事件は、世界中の関心を呼び多くの人々を驚かせている。謎だらけの事件である。サウジ政府関係者の発表だけでは疑念を打ち消すことは出来ず、各国とも厳しい対サウジ対策を取ろうとしている。どうもムハンマド皇太子が背後で操っていると考えられている。

 これとは一味異なるが、わが国のメディア報道にもオヤッと思うことが多い。青森県つがる市内で車同士の衝突により4人が亡くなった事件を昨日辺りからやっとテレビ、新聞ともに取り上げるようになった。事故は、飲酒運転のうえスピート違反を犯した救いようのない酒酔い運転の結果であると伝えられている。この事故が起きたのは、9月22日のことである。なぜ1ヶ月も経過してからこの時期に仰々しく報道するのか。今日運転していた32歳の男と同乗者が逮捕された。酒酔い運転を行った挙句に多重衝突を起こし、他の2台の車に乗っていた人4人を死亡させてしまったのである。

 そうかと思うと、18日未明には仙台市内の一戸建て住宅が全焼し、焼け跡から6人の焼死体が見つかった。メディア特有の興味本位の記事が火事の原因を追究するのかと思いきや、そうではなかった。これについて19日朝刊では社会面の3分の1のスペースに写真も併せた記事で伝えたが、翌日以降この火災について報道されることがなくなった。3世代6人の家族が死亡した火事の原因もはっきりしないまま闇に葬られてしまったかの感がある。この火災もまた、1ヶ月後に思い出したように原因を報道されるのだろうか。

 メディアの事件隠蔽体質を骨の髄まで思い知らされたのは、2008年1月に韓国のソウル市郊外の利川で起きた火災だった。大きな倉庫が突然爆発延焼して40名が即死し、多くの重軽傷者を生んだ事件について日本のメディアが全く報道しなかったことである。と言えば正確ではないかも知れない。どこのテレビ局だったか名前は覚えていないが、夜のニュース番組でその爆発事故を伝えたのを観た。翌日には各新聞、テレビで事件を伝えるかと思っていたが、以後メディアはこの事件について一切報道しなかった。一方、現地の韓国のメディアでは連日報道していた。NETでは火事の映像が生々しく映し出されていた。その年の11月、韓国東海岸の束草市で開催された日中韓のシンポジウムに日本からパネリストとして招かれ、会場へ向かう途中利川脇を通った際、ガイド役の方から火災の悲惨さを話してもらった。土地の韓国人が認める大火災であった。これほどの事故を報道しないとは、日本のメディアの間で報道管制が敷かれていたのではないかとの疑問を抱いた。隠蔽する何らかの理由がある筈である。それにも拘わらず、メディアは一切この件について口をつぐんだ。後日メディアではよく知られる、昨年死去された原寿雄氏の連続講座に出席した時、この事実につき、不躾に原氏に質問してみたが、原氏はもとより居合わせた大手新聞社の記者たちも誰一人この事件を知らなかった。明らかに何かがあったことを疑わせたものである。

 どうも寝覚めの悪い事故であり、日本のメディアの対応だった。以上のような例から推しても報道には、メディア・サイドの思惑でなされることが多いと考えざるを得ない。

2018年10月22日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com