昨日アメリカのヒラリー・クリントン元国務長官が、来年行われる大統領選へ出馬の意向を表明した。
彼女は早くから大統領選への出馬を予想されていた割には遅い立候補宣言だった。7年前同じように出馬が予想され、早めに出馬宣言をしたが、民主党の指名権争いで後から立候補宣言したオバマ現大統領に敗れる屈辱を味わった。今度はそのオバマ大統領から支援も受け、満を持して大統領選挙戦へ打って出る。対する共和党候補者は、現状ドングリの背比べで州知事、上院議員経験者や、医師ら8人ほどが噂に挙がっている。その中で、最も有力視されているのは、ジェフ・ブッシュ元フロリダ州知事と見られている。
これから来年11月の最終決戦へ向けて長いマラソン・レースが展開されるが、候補者はその過程で自由の国らしく言論の自由ぶりをとことん発揮して、相手候補への攻撃を含め、自らの信念や信条を遠慮なく主張することだろう。
このプロセスで若干ひっかかるのは、自由を標榜しているアメリカのトップを決める選挙で、どうして血縁関係のより強い候補者ばかりが鍔ぜり合いを演じることになるのだろうか。
仮にクリントン氏が選出されれば、史上最初の女性大統領になることはいかにも自由の国アメリカらしいが、その反面選出されるチャンスを得たのは、彼女自身の能力もさることながら、やはり夫が2期8年に亘って大統領だった知名度を活かせたからである。他方共和党では最有力のブッシュ候補は父と兄がともに大統領だったという血筋に負うところが大きい。二人とも稀に見るほど優れた政治家の資質があるにせよ、一般庶民の目には政治的家庭環境に恵まれた二人を羨ましく思って当然であると思う。
それはそれとして次のアメリカ大統領はオバマ大統領以上に、アメリカのため、世界のため、日本のために後世に名を残すような活躍をしてくれるだろうか。オバマ大統領は就任してまもなくノーベル平和賞を受賞して、核世界をなくすため、また世界平和のために活躍してくれると期待された。だが、任期1年余りを残して果たしてどの程度期待に応えることができただろうか。その意味では来年日本で開かれる予定の先進7カ国首脳会議が広島で開かれれば、初めて被爆都市を訪れて世界で唯一の被爆都市・広島から非核宣言を発信してもらえば、オバマ大統領にとって平和愛好者として最も効果的な置き土産となり、ノーベル平和賞受賞者としての相応しいメッセージ発信になると思う。来年広島で首脳会議が開かれ、世界の首脳が集まる場で、オバマ大統領には思いきった非核宣言をして欲しいものである。