4163.2018年10月6日(土) ノーベル平和賞決定と築地市場閉鎖

 今年のノーベル平和賞が昨日発表された。残すは経済学賞だけとなった。事前に専門の予想屋が、候補者をリストアップしてその掛け率まで紹介していた。一番可能性のある人物として北朝鮮の金正恩・労働党委員長と韓国の文在寅大統領の同時受賞が挙がっていた。その次にアメリカのトランプ大統領がリストアップされていた。平和の意味や、平和賞というものがどういうものかということが分かっていない平和に関する素人が漫然と名前を挙げただけのものである。いずれも最も似つかわしくない人物だと思っていたところ、当然とは言え平和賞はまったく政治とは無関係な性犯罪に絡む2人の男女に決定した。

 その2人とは、コンゴの婦人科医師デニ・ムクウェゲ氏とイラクの少数派ヤジディ教徒ナディア・ムラド・バセ・タハさんである。ムクウェグ氏は内戦状態が続くコンゴで武装勢力戦闘員によりレイプ被害を受けた女性らを救うため、数万人の被害女性らの合併症などの治療を続けてきたことを評価された。一方25歳のタハさんは、イスラム国(IS)によって母親と兄弟6人を殺害され、自身拉致されて性奴隷として人身売買されたが、脱出して現在ISによる性暴力被害の実態を国連を始め各国で証言し続けていることが認められた。

 今年の平和賞は人間の愚劣さや性暴力を厳しく糾弾するもので、過去に例のない平和賞授与だと思う。きれいごとの平和賞ではなく、はっきり言って血みどろの平和賞だと思う。それでも、2人が行った行為は誰もが出来るようなことではなく、また放置すればこのまま地獄へ突き進む可能性を考えれば、ごく至当な平和賞であるかも知れない。

 少なくとも金正恩やトランプ大統領のような自ら平和を乱しておきながら、ひとつだけ平和的な貢献をしたとして賞をいただこうとする、マッチポンプのようなことは止めてもらいたいものである。このようにこれまで反平和的な行動を犯していながら、文大統領は別にして、仮に2人の内どちらかがノーベル平和賞を受賞するような最悪の事態が起きたら、さぞ泉下のアルフレッド・ノーベルも安らかに眠っていることは出来ないだろう。あくどい金正恩とトランプが、ノーベル平和賞を受賞する悪夢だけは見たくないものだ。

 さて、今日東京都中央卸売市場「築地市場」が83年の営業を終えて幕を下ろした。昭和10年の開業以来戦前、戦中、戦後の長い期間に亘って「日本の台所」の役目を果たしたが、揉めに揉めた末に豊洲市場に移転することになり、来る11日に新しい豊洲市場は開場する。7月に朝日新聞社を見学した後で昼食を築地場外市場で食べたが、独特の雰囲気の漂う食堂周辺だった。築地と豊洲は目と鼻の先の距離にあるが、今では築地は老朽化したうえに用地も狭すぎることがネックとなっていた。豊洲用地も元東京ガスの敷地で土壌から有害物質ベンゼンが検出されたため、移転が延期されていた。新しい豊洲市場がこれから「日本の台所」を担うことになる。徹底した調査のうえで、安全安心を担保して移転した豊洲に絶対不吉なことがあってはならない。自分たちの責任が重いことを東京都は重々認識すべきである。

2018年10月6日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com