昨日安倍晋三首相と翁長雄志・沖縄県知事が首相官邸で会談した。翁長知事が4カ月前に知事選で当時の仲井真弘多知事を破り当選してから初めての会談である。辺野古移設に反対する翁長知事を、首相は当初から警戒して極力接触を避けようとしていた。しかし、最も蜜月でなければならない沖縄県の首長といつまでも話し合いをしないわけにもいかず、今月末の訪米、特に28日のオバマ大統領との会談を控えて、国と米軍基地のある沖縄県の知事との対立状態は、アメリカ政府に好ましくないと受け取られる恐れがあると判断し急遽両者の会談実現となった。
2人は会うことは会ったが、話は終始平行線で儀礼的なものに終始した。立場がまったく反対で、とても1度会った程度ではシャンシャンシャンとは行かないことは予想されていたことである。
しかし、首相が、在日米軍基地が沖縄県に集中し、少しでも負担軽減を行うために、住宅地に隣接する普天間飛行場の移設は県民の願いに叶い、またそのために普天間から辺野古へ移設することは唯一の解決方法である」と主張した。それに対して、知事は真っ向から反論した。直近の選挙で辺野古移設反対を主張する候補者がすべて当選して、民意は圧倒的に反対であるとの同意を得たと応えた。
翁長知事が強調したのは、先の戦争で沖縄は戦場となって多大の被害を蒙り、戦後沖縄は自らの意思で基地を提供したことはないということだった。知事は首相が訪米して日米首脳会談の席で、沖縄県民の声として辺野古移設反対を伝えることを求めた。だが、首相は日米同盟の話が主題で肯定的な返事はしなかったようだ。
真っ向から対立する2人の話し合いは噛み合うことなく平行線のまま終わった。知事自身5月か6月に訪米し、アメリカ政府高官に自らの考えを伝えるべく日程を調整していると述べた。政府に対して毎度反対の立場を取る沖縄県に対して、政府には歩み寄る姿勢がなく、このままだと対立が激化していずれ大きな衝突が起きることが避けられないのではないかと懸念される。現状がこのまま継続されるなら、知事が日本政府を見限り、沖縄が本土と離れる方向に進むのはお互いに不幸である。無責任な外野席からは、中国は沖縄が日本から独立することを密かに待望し、沖縄にアプローチを考えているとの興味本位な声がある。まさかである。