4148.2018年9月21日(金) 安倍首相のメディアを迷わすスタンドプレイ

 急に寒くなってきた。半袖シャツでは寒い。東京都内の最高気温は今日18.9℃だった。福島に次ぐ寒さだった。それでも明日はまた暑さが幾分戻るようだ。

 今日から始まった駒沢大学ジャーナリズム後期公開講座で、山田克講師が北海道大地震の報道について興味深い解説をされた。この地震では最終的に41人の死者が確認されたが、その過程で警察庁が発表する数字が正しいと判断した新聞各社に対して、安倍首相が閣僚関係会議で述べた死者数に各社が振り回されたケースについてである。首相と菅官房長官が発表した数字は警察が発表したものとは異なり、その根拠がかなり曖昧である。警察は心肺停止者を死者とは数えず、医師の死亡宣告を以て死者と見做す。ところが、首相は心肺停止者も死者に数えて発表した。死者数をカウントするのに妙な思惑が絡んでいるのではないかと勘繰りたくなる。

 実際すでに共同通信社の現役を退いた講師も疑問を抱き、現役記者に詰問したという。

 例えば、地震の3日後には首相が死者9人と話した。翌朝の各紙見出しは首相の言う通り、朝日、読売、産経が死者9人、毎日と日経が5人だった。ところが、首相はまもなくスタンドプレイ第2弾を放った。関係閣僚会議で死者16人と述べた。その日の夕刊では朝日、読売、東京が死者16人、毎日、NHKは11人、日経が9人と報道した。首相の発言には心肺停止者が含まれており、それについてはその後菅官房長官が9人の心肺停止者が含まれていて「死者は9人」と訂正した。

 問題は国土交通大臣や、国家公安委員長、警察庁長官がいながら、なぜ首相がこれまでやらなかった犠牲者数を増やすような表現までして自ら死者数を発表したのか。これは明らかに自民党総裁選を前に、対抗馬の石破氏を意識したパフォーマンスだと思う。今度の災害に際して、石破氏がこういう事態に即して専門の防災省(仮名)設置を検討すべきだと主張したことに対して、安倍首相はそれぞれ担当の省庁があるので、その必要はないと述べていた。

 それにしてもなぜ首相は警察が死者としてカウントしない心肺停止者を死者に組み入れるようなスタンドプレイをやって、メディア、ひいては国民を戸惑わせるようなことをやるのだろうか。官邸内で「最新で大きな数字」志向があることや、首相自身が先頭に立って災害対応をしているイメージ作りを優先している傾向が強いからだという。これだから安倍首相のやることが益々分からなくなる。これでは首相が言うような「丁寧に」「慎重に」は程遠いと言わざるを得ない。

2018年9月21日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com