今日は朝から忙しなかった。昼食に新宿南口で菱山郁朗先生と同じ駒澤大学公開講座の仲間6人で会食した。菱山先生もこの3月末で駒澤大講師を辞められた。随分長い間毎年授業を聴講していろいろな日本の政治に対する見方を教えてもらった。先生の情熱と正義感には敬服である。しばらく論文を書くので時間を取られているようだが、また新たな道を今まで通りご経験から周囲の人たちに「政治」というものをご教示願いたいと思っている。益々のご発展を祈念して止まない。
その後NPO事務所、元勤め先を訪ねてから、今日のメインイベント会場である神保町の日本教育会館(一ツ橋ホール)へ向かった。今日はベトナム戦争終結40周年の記念すべき一日に当たる。ここで「ベトナム戦争終結40周年記念講演会」が催される。
この会館でうっかり、粗忽な体験をしてしまった。3階に案内されるまま並んでホールに入りひたすら開始時間を待っていたところ、どうも雰囲気がおかしい。周囲の人たちを見てもベトナム反戦とは関係のなさそうな若い人たちが多い。その内に手渡されたパンプレットについて係員が説明を始めた。映画の上映が2時間かかるとの話だった。おかしいと思い係員に聞いてみたら、何と目的のベトナムとは関係なく天海祐希、松山ケンイチ主演の新作映画「蒼の乱」の試写会だと分かった。慌てて会場を出て同じ会館の7階にあるイベント会場へ移った。そこでは戦争の映像が映されていて、すでに始まっていた。まもなく4人の講演が始まった。取り敢えずほっとしたところである。
元ベ平統(ベトナムの平和と統一のために闘う在日ベトナム人の会)レ・ヴァン・タム氏、歴史家で東大名誉教授でもある和田春樹氏、わだつみ会理事長・高橋武智氏、京都大学準教授・伊藤正子氏がそれぞれ30分超の話をされた。
冒頭タム氏は現在ベトナムでは2つの大きな危機に直面していると指摘された。政治の腐敗と中国の侵略である。続いて和田氏は大泉学園町でベトナム反戦の市民運動を始めた体験から、アメリカの侵略戦争への加担に抗議し、40年前戦争によりベトナムに災禍をもたらして敗北したにも拘わらず、アメリカはベトナムに賠償をしていないし、謝罪もしていない。国交を結んだのも日本よりずっと遅れたとアメリカの戦中、戦後の対ベトナム政策に対し強く非難されていた。
高橋氏はジャテックというべ平連の情報隠匿の必要上作られた組織で活動し、1967年秋横須賀港に停泊中の米空母「イントレピッド」から4人の水兵が脱走した事件について語られた。最後のスピーカー・伊藤正子氏はベトナム戦争に参戦した韓国とベトナムの関係について現地のスライドを見せその様子を詳細に語られた。現在韓国にとって最大の悲劇、韓国軍によるベトナム人虐殺と暴行事件について韓国内で告発されたことをきっかけに韓国民の間で、暴こうとする糾弾と蛮行にフタをしようとする擁護派の対立、更にベトナム国内での穏便な空気について、考えを述べられた。韓国国内の日本に対する従軍慰安婦問題と歴史問題とは矛盾する韓国の言い分に疑問を感じる。
元ベ平連事務局長だった吉川勇一氏が車いすで参加され、4人の話を高く評価するとのコメントを語られた。最後は同じく元ベ平連のリーダーのひとりでもあった小中陽太郎氏が元気の良いシュプレヒコールで締めくくった。出席者は114名だった。
大分遅くなったが、小中さんが軽くビールでも飲もうというので、昨日The Japan Times紙取材記事を掲載してくれた同社川畑泰氏と神保町で一杯傾けて遅い帰宅と相成った。しばらくぶりのベトナム・イベントを満喫した。それにしても今朝アメリカの上下合同議院総会で演説された安倍首相はこのベトナム戦争についてどう思っているのだろうか。