2911.2015年5月3日(日) 憲法記念日に憲法の行方を心配する。

 昨日の朝日新聞の憲法観世論調査に次いで、憲法記念日の今朝日経新聞にも同社の憲法に関する世論調査の結果が紹介されていた。こちらの分析は朝日に比べて幾分分かりやすい。憲法を改正すべきかどうかについて、反対が44%で、賛成が42%である。朝日に比べてその差は接近している。それでも寡聞にして知らなかったが、日経では同様の調査を開始した2004年以降反対が賛成を上回ったのは初めてだという事実に驚いた。朝日とは読者層が異なり、日経購読者は一流企業に勤めるサラリーマンが多いだけに、自民党寄りの考えが強いと思われるが、それでも今までは改憲賛成派が多かったとはちょっとショックである。しかし、それも一部の読者が反対へ回ったことによって改憲反対派が賛成派を圧倒したことでホッとしている。他では保守路線の産経新聞読者層がどんな結果を示すか興味深かったが、ここにも意外な現象が表れていた。インターネットによって調べてみたところ朝日以上に反対派が多いのである。改憲賛成40.8%に比べて反対者が47.8%だった。集団的自衛権行使容認によりそれまで賛成派の一部の人たちが反対派へ回ったようだ。この様子だと政府自民党が極右的行動を示す度ごとに、改憲反対派が増えていく。この現象を安倍政権はどう受け止めるのだろうか。

 憲法記念日の今日、朝からテレビの情報番組では最近の政府の「憲法ないがしろ行動」につき、改憲賛成論者、反対論者の議論が闘わされていた。国民の意向がどうあろうと、最早改憲の道を歩き出した安倍政権、自民党にとっては、反対論など歯牙にもかけない傲慢さが見られる。

 今のままでは限りなく戦争への道を歩き、いずれ海外派遣される自衛隊員が犠牲になることは火を見るより明らかである。

 アメリカでは日本の国会における議論を経ずして日米ガイドラインを改正し、謳い文句のように日米同盟の強化を強調し、アメリカ議会でのスピーチでも日米両軍がお互いに補完しながら、「世界平和と秩序の安定」のために協力しあうと述べている。しかし、その実情はアメリカ連邦政府の逼迫した財政事情からアメリカの軍事費、及びアメリカ軍兵士の減少を日本が肩代わりして現状の戦力を保持しようということだ。これまで米軍が行使していた各国、各地の治安維持を日本の自衛隊の海外派遣によって補おうというものである。つまりアメリカの軍事費削減のツケを日本国民の税金で、しかも憲法違反の大罪を犯すことまでして日米同盟の強化を謳っているのである。こんな国民を愚弄した理不尽なことがあるだろうか。日本の今日の政治志向に喝采しているのは、安倍一族とその取り巻き、右翼集団、一部の企業だけではないのか。彼らの利のために、自衛隊海外派遣による集団的自衛権行使によって国民の生命、財産が失われようとしている。そのうえ本丸である憲法改正が控えている。なぜこの日本の危機に際して、メディアを始めとして国民の間に60年安保反対闘争時のような強力な反対運動が湧きあがらないのだろうか。若い人たちは静かである。憲法の大切さや、戦争の残酷さが彼らにはあまり身に沁みて分かっていないからだ。

 戦争を知らない人たちが戦争勃発の危機に際して、むしろ安倍政権と一体となってその背中を押そうとしているのである。実に恐ろしいことである。

 今や日本国内には憲法遵守を意に介しないおぞましい保守勢力が跋扈しつつある。現行憲法では第2章に「戦争の放棄」を掲げ、その第9条で「日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する」と規定し、その第2項で「前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない」とはっきり戦争放棄を約束しているのである。そして、それが戦後70年間海外派兵を行わず、戦争に巻き込まれることなく平和を維持することができた大きな原因である。

 安倍首相が自ら訪米を成果と自画自賛して帰国した後の言動が気になる。

2015年5月3日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com