2915.2015年5月7日(木) 日本の観光競争力は世界第9位

 過日大塚家具センターのお家騒動が経済界のみならず世間一般の話題を浚ったが、ここへ来てフランス政界でもお家騒動ならぬ党内騒動が国際的に大きな注目を集めている。いずれも実の娘が創始者である父親を排除、追放した事件である。

 フランスの極右的政党として知られる「国民戦線」は、その創設者で名誉党首のジャンマリ・ル・ペン氏の党員資格を凍結することを決定した。4年前に父親の後継者となった娘のマリーヌ・ル・ペン氏が大塚家同様86歳の父親の行動を封じ込めたのである。2012年の大統領選で予想外に善戦したマリーヌは、2017年の大統領選挙をにらみ幅広く支持者を集めるため、従来の右翼路線を一部修正して中道へ歩み寄った。その最中に父ル・ペン氏が第2次世界大戦中ガス室におけるナチのユダヤ人虐殺をささいなことと語ったことが、父親の発言は党の考えに反するとして娘が厳しい処置を取ったものだ。

 実際にはル・ペン父子と大塚家の父娘のケースは単純に比較できないが、偉大な父を追い出してまでしても自己主張を貫く点では、それぞれ2人の娘には誰に対しても信念が固く、意思の強さがあるのだろう。

 さて、ベルリンに本部のある世界経済フォーラムがこのほど2015年旅行・観光競争力ランキングを発表した。それによると対象とされた141カ国・地域の中で日本の競争力が9位に入り、初めてベストテン入りした。旅行者が素晴らしい観光施設を訪れてどれだけ気持ちよく、旅を楽しめるかということを主に査定したものだ。日本は2007年公表時の25位からほぼ年々順位を上げ、2年前の前回14位から一気に上位へランクアップされた。

 長い間観光業に従事していた体験上感覚的にある程度納得は行く。今や流行語にもなった「おもてなしの心」、安全性を表す「テロや殺人事件発生率の低さ」、「鉄道網の整備」、「衛生面の配慮」などが高く評価された。トップはスペインで上位には欧米諸国が入り、アジア太平洋では7位のオーストラリアに日本が次いでいる。

 ただ、気になったのは日本の努力と日本人の本来持っている優しさが評価を高めたと観光庁の一課長が得意げに話していたコメントの中味である。これらの要因を押し上げたり日本へのインバウンド客が近年急増した原因は、国やお役人の力によるものではまったくない。この点をお役人たちは勘違いして自分たちが成し遂げた成果であると思っているらしい。彼らに言っておきたいのは、観光で今日少し光が当たるようになったのは、民間が長い間汗水たらして努力した結果であり、役所がいくらじたばたしても所詮主体的には何も貢献できないということをお役人は肝に銘じるべきである。

2015年5月7日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com