4057.2018年6月22日(金) アメリカ、国連人権理事会から脱退

 19日アメリカは国連人権理事会からの脱退を表明した。トランプ政権になってからアメリカの行動は些か異常であるが、このところ加速度がついてきた。アメリカは国連人権理事会のイスラエルへの姿勢が政治的変更、偽善であると批判して、国際社会がアメリカの意向に沿わなければ、アメリカは自らの国益を優先して脱退するという強迫的な脅しである。

 2006年国連人権理事会が発足してから同理事会は、70回以上もイスラエル非難決議を採択して反イスラエル傾向を徐々に強めてきた。一方でそんな時に、アメリカ大使館を今までのテルアビブからエルサレムへ移転したことが、各国がアメリカの対イスラエル政策への批判を一層強めることになった。

 折も折タイミング悪くイスラエルでは、ネタニヤフ首相の収賄容疑が追求されていた。それに加えて今度は、首相夫人まで公的資金を不正に使用した罪で横領と背任の罪で起訴された。

 今日までイスラエルではネタニヤフ首相の強気な対パレスチナ政策が一定の評価と支持を得て、9年間もの長期間に亘って政権の座を維持してきたが、今やそれも風前の灯火となりかねない情勢になってきた。イスラエル首相夫妻が窮地に追い込まれているのである。そんなイスラエルを支援、擁護しているトランプ政権が、ことここに至って更にことを荒立てようとしている。

 加えてトランプ大統領は、アメリカ国内における不法移民の取り締まりを批判されるや毀誉褒貶の言動を繰り返している。結局アメリカ国民の厳しい批判を受けてさしもの強気大統領も元の鞘に納めた。これまで国境の壁建設など一連の移民規制を行って、一度は不法移民の取り締まりで「ゼロ寛容」政策を導入し不法移民親子を切り離すことまで決めたが、世論の反発が強く方針転換を図りこれまで通りにすると決定したのである。こんな人権問題にかかわる重要なことをいとも簡単にひっくり返すのが、トランプ流のやり方だ。

 それにしても最近のアメリカの血迷った放浪ぶりは、大国として些かみっともない。いかに利己的で不見識な「アメリカ・ファースト」とは言え、TPP離脱に始まり、イラン核合意離脱、パリ協定から脱退、不法移民の取り締まり、輸入品高額関税賦課、アメリカ駐イスラエル大使館の移転などは、世界の共存にとってマイナス面しか浮かんで来ない。

 ぶれるアメリカ外交が、これからもどれほど世界の信頼を得ることが出来るだろうか。

2018年6月22日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com