4055.2018年6月20日(水) 日本、ワールドカップ緒戦で大金星

 ロシアでサッカー・ワールドカップが開催され、世界中から熱い視線が向けられている。昨日FIFAランク61位の日本代表チームは、同じHグループに属しFIFAランク16位の南米コロンピアと緒戦を戦い、予想を覆して2-1で堂々勝利を収めた。前回ブラジル大会でも対戦し日本は4-1の完敗だったので、戦前の予想では遥かに日本が不利だった。だが、勝負は水物である。アジアのチームが、ワールドカップで南米チームを破ったのは初めてである。朝鮮日報もこのことを伝えているし、欧米のメディアでもこの予想外の日本勝利を大きく報道しているようだ。朝日朝刊のトップ記事の見出しには、「日本、大金星発進」と大々的に紹介されている。

 コロンビア国内では、エスコバル事件再来かと懸念されている。昨日の試合で開始早々ハンドの反則を犯してレッドカードで退場させられ、日本にペナルティ・キックを与えて先取点を奪われたことが日本を有利にさせた。反則を犯したサンチェス選手の与えたPKが、1994年大会においてアメリカに2-1で敗れた時、オウンゴールでアメリカに1点を献上し、帰国後暴漢に銃殺されたエスコバル選手の二の舞を踏むようなことがないかと心配されているほどである。

 コロンビアではまさかの事態に相当ショックを受けているようだ。戦前コロンビア・サッカー協会幹部が現地で、日本チームは組織的だが、当たりが弱いと相手にもしていなかった。試合前には駐日コロンビア大使館内でドゥケ特命全権大使がサッカーのユニフォーム姿でニコニコして現れ、自国チームの勝利を予想していた。勝負はやってみなければ、分からないものである。

 そのコロンビアでは、3日前に大統領選挙が行われ、41歳の若いイバン・ドゥケ上院議員が新大統領に当選したばかりである。コロンビアでは、左翼ゲリラ「コロンビア革命軍」(FARC)による激しい反政府活動により長年国内で内戦が繰り広げられ、多くの犠牲者を生んだ。それでも何度となく政府とFARCとの間で和平交渉が行われたが、決着がつかなかった。2016年9月になって漸く当時のサントス大統領とロンドニョFARC最高司令官の間で和平交渉が成立した。奇妙にもこの折結ばれた最終合意文書について、翌10月国民投票が行われ、何と反対票が上回ったのである。合意文書が結ばれる前に残虐行為が多かったFARCに対して寛容すぎるという、あまりにもFARCにとって有利な合意というのがその理由のようである。

 ところが、この和平交渉に当たり合意文書に署名したサントス大統領に、その年のノーベル平和賞受賞が決定した。半世紀以上に亘って内戦の終結に努力した結果を評価したのである。それほど合意書は世界中から高く評価されていたのである。だが、コロンビアではそうではなかった。

 新大統領に選出されたドゥケ氏は、合意文書見直し派である。あるまいことか、今和平合意は覆水盆に返ろうとしている。多くの犠牲者を生んだ末に生まれた和平合意が、一方にとって有利過ぎるとの理由で、下手をすると再び内戦の危機を迎えることになりかねない。サッカーはともかく、コロンビアの国内政治は流動的で、この先楽観視出来ない。

 そのコロンビアと日本との国交が締結されたのが1908年で、今年5月に110周年を迎えた。奇しくも今日6月20日は、同じ1908年生まれの亡父にとっても110回目の誕生日に当たる。海外志向の強かった亡父が生きていたら、どう思うだろうか。

2018年6月20日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com