2921.2015年5月13日(水) ベトナム戦争記録映画‘ハーツ・アンド・マインズ’を観て

 昨日ネパール、インドで先日のネパール大地震の余震とされるM7.3、M6.3の大きな揺れが連続的に起こり、90名近い人々が亡くなった。今朝6時過ぎにはわが家でも4年前の東日本大震災の余震とされるM6.6のかなり大きな地震があった。また、昼前には沖縄・竹富島でも震度2の地震があったという。世界中のナマズが暴れまわっているのだろうか。

 さて、昨日台風6号が襲来しなければ今日は伊豆下田からのんびり車で帰って来る予定だったが、旅行は止むを得ずキャンセルした。昨夜来激しい風雨が家屋を叩きつけ、今日はその影響からだろうか、朝から強い日射で夏日のところも多い。そこで久しぶりに映画鑑賞することにした。

 先月30日ベトナム戦争終結40周年記念講演会の折に手にしたパンフレットに魅入られるように新宿の武蔵野館へ行き、ベトナム戦争を扱った「ハーツ・アンド・マインズ」(原題‘HEARTS & MINDS’)という「ベトナム戦争の真実」と副題が付けられたドキュメンタリー映画を観た。その命名の謂われは、ジョンソン大統領が演説で最終的な勝利はベトナム人の意欲と気質(ハーツ・アンド・マインズ)にかかっていると語った言葉に由来している。テーマ通り戦争記録を重ねたもので、1975年ベトナム戦争終結の年に「アカデミー賞最優秀長編ドキュメンタリー映画賞」を授与された作品である。だが、この佳作映画公開にはアメリカ連邦政府の上映中止を提訴した裁判も含め、厳しい抵抗があり、一部に公開されテレビでも放映されたが、漸く40年ぶりに公になった。すでに戦争の主役はほとんど亡くなり、画面で懐かしい顔に対面することになった。敢えて言えば、とかくの話題を提供し、存在感の強かった2人の南ベトナム大統領、グエン・バン・チューとグエン・カオ・キの姿が見られなかったのが少々寂しい気がした。

 ベトナム戦争とは一体何だったのか? とか、アメリカは真にベトナムの平和を願い戦ったのか?すべて悲観的である。アメリカは自国の国力誇示、版図拡大のためと新兵器実験の場としてベトナムを利用したことは明らかである。例えば、ウェストモーランド最高軍司令官の「アジア人の生命は安い。人口が多いから」とアジア人を軽蔑したような発言には、ベトナム人を虫けらぐらいにしか思っていなかった傲慢さが窺える。

 映画の中でとりわけ印象的なことが3つあった。ひとつは、戦争中センセーショナルで衝撃的だった、ベトナム軍兵士がベトコンの疑いをかけられたベトナム人のこめかみにピストルを当て殺す直前の写真であるが、この映画の中でその動画を初めて見たことである。その直後ベトコン兵は路上に倒れ、彼の頭から真っ赤な血がホースの水のように勢いよく飛び出たショッキングな画像である。2番目はフランスの外相がダレス米国務長官から望むなら原爆2発を提供すると囁かれていたと語ったことである。どちらかが、本気で原爆使用を考えたならベトナムに原爆投下もあり得たのである。3番目は、ラストシーンで殺された父親の傍に大きな声で泣き叫ぶ3人の子どもの哀れな姿だった。土葬される時その上に飛び降りようとした妻と周りで泣きじゃくる子どもたちの声が耳から離れない。

 アカデミー賞受賞作品に推されただけに、その狙いである反戦アピールはずば抜けている。今晩のNHK「クローズアップ現代」で第2次世界大戦時にアメリカで敵性人として日系人に対する非人間的な待遇がなされたことを紹介していたが、今日の映画とこのテレビ番組を見終わって、改めてアメリカ人の日本人を含むアジア人への蔑視感情を思い知らされた。この様子ではアメリカ国内の黒人騒動は当分納まらないのではないだろうか。

2015年5月13日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com