4049.2018年6月14日(木) 絵画の本物・偽物取り換え事件

 一昨日の本ブログに母校・湘南高校の大先輩について取り上げた。出陣学徒壮行会で全学生を代表して答辞を述べた江橋慎四郎さんについてである。その江橋さんの話が飛躍して偶々メール交信を通して高校、大学とも一緒だった友人と学業ならぬ絵画に話が発展した。私の母方祖父は日本画家で川合玉堂師の一番弟子だったが、彼の叔父さんも小磯良平らと同じく画家だったという。

 叔父さんは戦時中に戦争画「学徒出陣」を描いたが、戦後その絵はマッカーサー司令部に没収されてアメリカへ運ばれた。実話とはとても思えないような話だが、1975年になって日本に返却された絵画は、本人のものではなく似て非なる贋作だったという。この不思議な話は彼から送信されたコピー、当時の「週刊読売」にも取り上げられ、写真で見る限り贋作はかなり本物と似ている。署名も似ているという。だが、キャンバスのサイズが大分違うようで、本物は400号なのに対して贋作は200号だというから、贋作者はあまり細かいことには頓着しなかったのだろう。それにしても雑誌の写真から見ても2つの絵画はよく似ている。実際叔父さんも感心していたほど似ているというし、週刊読売も2つの絵画にいくつ違いを見つけられますかなどとクイズ紛いのことを問うているくらいである。

 世にも不思議な物語だが、東京都美術館に保管されていた昭和23年から26年の間にすり替えられていたようだ。その後取り換え事件が話題になり、NHK「日曜美術館」や民放番組でも取り上げられたという。友人は竹橋の東京国立近代美術館に陳列されている贋作を自分でカメラに収めたコピーを送ってくれたが、叔父さんが描かれた本物が発見されたとも言っていないので、今や迷宮入りしてしまったのかも知れない。それにしてもこの贋作の作者はどういう人物だろうか、興味が湧いてくる。

 世の中には、いろいろ変わったことが起きるものだなぁとつい思ってしまう。

2018年6月14日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com