2923.2015年5月15日(金) 安保関連法案閣議決定に嫌な予感

 政府は昨日の臨時閣議で安全保障関連法案を閣議決定した。法案は今日国会に提出された。歴代の内閣が踏み込まなかったパンドラの扉を開け、危険な伏魔殿へ一歩踏み込んでしまった。政府・与党が一体となって憲法違反をやってしまおうということだ。しかも姑息な術を使って、憲法の周囲を回遊しながら憲法の解釈を変えるという言語道断な荒業を使って素知らぬ顔で安保法制案などという危険極まりない法律を作り上げてしまった。

 昨夕の記者会見で安倍首相は、世界の平和と安定にこれまで以上に貢献していくと述べたが、むしろ逆行して世界の紛争と混乱のために法整備を施行しようとしているのではないか。

 関連法案は自衛隊法など10法案を束ねて改正し、新法案を併せて、国民の理解を得られないうちに拙速に法制化しようというものである。この法案はひとつひとつどれを取ってもすんなりとは分かりづらい。実際安保法制を作成した専門家が麻生派国会議員の夫人らに説明したが、一向に理解されなかったという代物である。議員だってどの程度分かっているのか。そんな難解な法案をどうやって国民に分かってもらおうというのか。しかも説明・解説の時間をほとんど取らず法制化してしまおうとの魂胆である。こんな実情と空気が分からないのが、理解力にやや欠ける安倍首相である。

 記者会見で首相はこれらの法案の重要なポイントを5つばかり述べた。すべて首を傾げるものである。これはひょっとすると安倍首相には誰か影武者がいて、首相は口をバクバクしているだけで実際には首相はその背後にいる影武者に言わされているのではないかとの疑念を抱いている。

 その安倍首相の主張する重要ポイントは、

①積極的平和主義を掲げ、世界の平和と安定に貢献⇒抽象的過ぎて矛盾している。海外へ軍隊を派遣し、参戦することがなぜ平和に貢献するのか。
②あらゆる事態を想定し切れ目のない備えを行う。⇒独善的に考え過ぎている。海外 派兵は反って切れ目が生まれるのではないか。
③抑止力がさらに高まり、日本が攻撃を受ける可能性は一層なくなる。⇒どうしてそんなことが言えるのか。攻撃を受ける可能性は高まるばかりである。
④厳格な歯止めを定めた。限定的に集団的自衛権を行使する。⇒米軍の要請によって日本独自の限定的な行動は取れなくなる恐れあり。
⑤アメリカの戦争に巻き込まれることは絶対あり得ない。⇒考えが甘すぎる。日米同盟とは相互に助け合うことである以上アジアでの戦いにアメリカ軍から要請されればこれを助けることを求められ、自然にアメリカの戦争に巻き込まれることは必定である。

 安保関連法案の成立によって戦争に巻き込まれる可能性は一層高まり、自衛隊は国防軍となって前線で戦うことを求められる。生命を落とす隊員も多くなる。現在の自衛隊員は国家、国民を守るために任務を果たすことを言葉尻では知っているが、憲法を学んだ彼らは戦いのための武器を持たないと信じている。況してや戦うことなぞ頭の中にはない。朝日新聞が自衛隊員や、その家族に感想を尋ねているが、かん口令を敷かれているせいもあって中々本音を聞き取ることは難しいようだ。しかし、隊員のひとりは首相の「自衛隊員は自ら志願し、危険を顧みず、職務を完遂することを宣誓したプロフェッショナル」とのお世辞に対して、「現場を知らない官僚や政治家が作り上げた法案。隊員が殺し、殺される、血なまぐさい話がさけられている」と本音を告白している。

 何と言っても現場を知らない政治家がやることは、説得力も真実味も感じられない。安倍首相は犠牲者が溢れる戦争がお好みなのだろうか。ならば、自分が戦地へ言ったら良いのではないか。

 折も折今日は昭和初期のあの暗い混迷の時代に、海軍青年将校によって時の犬養毅首相が暗殺された5.15事件が勃発した。同じような時代が訪れないよう願うばかりである。

2015年5月15日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com