4043.2018年6月8日(金) 進歩的文化人・日高六郎氏逝去、享年101歳

 社会学者の日高六郎・元東大教授が昨日京都で亡くなられた。60年安保闘争、ベトナム反戦運動のころからお名前はよく存じ上げていたが、昨今はメディアでもお見掛けしなかったのでもう好いお年だと思っていたら、何と101歳だった。著書は読んだことはなかったが、その行動力には敬服していた。

 一番印象的だったのは、1967年11月横須賀港に停泊中のアメリカ海軍空母「イントレピッド」から、ベトナム戦争に反対する米水兵4人が脱走し、彼らがべ平連立ち合いの下に行った記者会見の光景である。米軍や警察の手を逃れた4人は、長い逃避行の末に最終的にスウェーデンで公の前に姿を現した。その間1人は小中陽太郎さんが自宅に匿っていたことは小中さんから聞いて知っていたが、もう1人を日高氏が匿っていたとは初めて知った。

 日高氏は戦後民主主義を守り抜くことを自らに言い聞かせた硬骨漢だった。69年の東大紛争では大学が警察隊を大学構内へ入れたことに抗議して、東大教授の職を辞した。ベトナム戦争中に北爆停止を訴える文書を当時のアメリカ国務長官に送った行動の人でもあった。安保やベトナム反戦を身体で知る知識人がまたひとり逝った。心よりご冥福をお祈りしたい。

 さて、過日思うところがあってロヒンギャに関する拙稿を書いたばかりだが、昨日NHKニュースで、今日は朝日朝刊でミヤンマーのアウンサンスーチー国家顧問へのインタビューが紹介されていた。

 残念なことに、相変わらずメディアでは一方的にロヒンギャ難民発生の原因はミヤンマー側にあると決めつけていて、その考えを改める気がないようだ。NHKと朝日のように日本を代表するマス・メディアが、浅薄な調査と偏重した情報収集だけで実態解明をせず、ロヒンギャ難民の原因がイギリスにあることに一言も触れていないことに苛立ちと歯がゆさを感じる。これでは、一種の情報操作ではないかとの疑念も憶える。これが、今のメディアのレベルではないかと考えると失望しかない。朝日を始めメディアの不甲斐なさについては、現在執筆中の「海外武者修行爺ヤの言い分」(仮題)で思い切りぶちまけようと思っている。それにしてもイギリスが第2次世界大戦前に、旧インド領からイスラム系のロヒンギャ族をビルマ領内に強制的に移住させた結果が、今日ロヒンギャ難民が生まれた原因であることが明らかであるにも関わらず、敢えてイギリスの蛮行に目をつぶり見過ごし、その一方で、ビルマに罪を被せようとするモラルに背くことを、なぜメディアは報道しようとしないのか。メディアは総懺悔して事実を世界に向けてアピールすべきではないだろうか。

2018年6月8日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com