「驚いた!」「やっぱり!」というのが本音であり、実感である。ゼップ・ブラッター氏が国際サッカー連盟(FIFA)会長再選後僅か4日で唐突に辞意を表明した。
アメリカの連邦捜査局(FBI)が汚職事件の捜査対象にブラッター氏を挙げたことが、ブラッター氏にいずれ聴聞されるのではないかと不安を募らせたことが原因と見られる。それにしても電光石火でアップダウンをやってのける激しい人である。ブラッター会長5選に票を投じた各国代表はどういう気持ちでいるのだろうか。会長の不徳は申すまでもなく、ブラッター氏を支持した関係者はすべて世界へ向かって土下座すべきだろう。果たして日本サッカー連盟は誰に一票を投じたのだろうか。ちょっと気になるところだ。大きく躓いたFIFAはこれからどうやって改革を成し遂げ、組織を立て直していくのだろうか。
もうひとつどうにもしようがないのが、中国長江の観光船転覆事件である。中国で起きた事件だけに何かあるだろうと疑念を抱いていたところ、まず、李克強首相が現地で陣頭指揮を執り始めた。中国のよくやる手である。2008年の四川大地震の際も当時の温家宝首相がこれ見よがしに陣頭指揮のパフォーマンスをして、人心を掌握しようとした。国難に際して国内の人心を宥めるために国の指導者が行うこれ見よがしのパフォーマンスのひとつである。
さて、転覆した船から早く救助をとの関係者の悲壮な声が上がっているのに、一向に救出者が増えず、乗船客は今も転覆した船内に取り残されたままである。そして、今日は新たに報道管制が強く布かれた。中国でよく見るやり方で情報をコントロールしようとの当局の意図である。転覆現場周辺への立ち入りが規制され、内外メディアはもちろん乗客家族も船に近付けなくなった。一般紙に掲載される写真は政府系新華社から配信されるものに限られ、それでも現場のど真ん中には、李克強首相が部下を顎で使っている姿が見られる。船は国家籍であるため政府に非難が向かうことを極度に恐れているのだろう。アメリカを始めアジア諸国との外交関係に亀裂が走りかけているこの大切な時期に、首相が政治を放り出して事故の現場でパフォーマンス的な陣頭指揮をすることが必要なのかどうか不明なまま、国家№2が川岸で頑張っている。これで乗船客が救われるならまだ良いが、どうも疑問を覚えて仕方がない。
これが現代の中国の姿なのだろう。