来年の先進国サミットG7を伊勢志摩で開くことを安倍首相が発表した。これまで開催地として立候補していた場所が8地区に絞られていたが、最終的に今日三重県のこの地に決まった。リアス式海岸に臨む英虞湾と賢島が景勝の地であることが大きいようだが、決定的だったのは近くに伊勢神宮があり、各国首脳に参拝してもらって日本の伝統的文化、風習の伝統を彼らに知ってもらいたいという気持ちが決定打となったようだ。もう半世紀も前にこの地域を訪れたことがあるが、印象に残っているのは、伊勢神宮と賢島の海女の真珠貝採りである。来年のG7 も予定通りG7 か、或いはウクライナ侵略問題により外されたロシアが復帰してG8 になるのか、まだ分からない。できれば、先の国連決議の最終合意文に付け加えて欲しいと、日本が要求した「各国首脳の広島、長崎訪問」が中国の反対で実らなかったが、それが来年のG7で実現できれば、理想的である。
さて、今日マレーシア・ボルネオ島のキナバル山(4095m)でM6 の地震が起きて、普段ほとんど地震なぞない地方なので、地元民はびっくりしている。1977年に近くのサバ州都コタキナバルに滞在中遥かに今や世界遺産になった見事な山容のキナバル山を望んだことがある。今日は偶々日本人1人を含む130名ほどの登山者が山中にいるので彼らの安否が心配されているが、犠牲者が出るようなことはなさそうだ。どうもこのところ日本列島、ネパール、チリなどにも地震が頻発していて地球上のどこかに地殻変動でもあるのではないかと心配になる。
ところで、今朝の朝日新聞のトップ記事の見出しは何だ? 何と「高齢者の地方移住を」というものである。これではまるで「姨捨山」ではないか。せめて「高齢者に住みやすい地方」とか、「地方で優遇される高齢者」のような、もう少し高齢者に配慮した見出しが作れなかったのか。お年寄りをまるで邪魔者扱いにした舐め切った見出しではないか。創成会議提言と添え書きされてはいるが、それにしても優秀な記者たちが考え抜いた末に決めた表現にしては、高齢者にはあまりにも冷たいものだ。「世話のかかるお年寄りは都会には要らない。田舎で生活しなさい」と言わんばかりで高齢者を苛めているように思える。デスクを始め関わった記者は多分高齢者の気持ちがまったく分からない人たちなのだろう。だが、それにしても記者の中に1人ぐらい高齢者に対して冷淡な言葉であると諭す記者がいても良かったのではないか。天下の朝日がはしなくも人材不足を曝け出したことが残念である。
記事をよく読めば、内容に悪意のないことは理解できる。だが、見出しだけで判断する読者は多いものだ。
口では高齢者への配慮とか、ご老人に親切に、とか普段きれいごとを言っているが、本音では高齢者はこれ以上もう結構とでも言っているようなものだ。この見出しからは少しも高齢者への優しさとか温かさが感じられない。取材した記者は日ごろの活動から充分高齢化社会の重要性は理解していたと思う。だが、結果的に高齢化社会と高齢者を軽視、愚弄している。見出しから受ける感じは現代「姨捨山」と何ら変わらない。本心はそうでないにせよ、もう少し思いやりのある表現をして欲しかった。