3937.2018年2月22日(木) プロ野球界が「野球くじ」を検討

 プロ野球界が「スポーツ振興くじ」(TOTO)の一環として「野球くじ」の導入を検討しているという。近年野球賭博を「特区」構想の下に公営化して競馬、競輪、パチンコなどと同じようにギャンブルとして公的に認めさせようという動きが進められている。「サッカーくじ」と同様公的資金集めのためと言われているが、あまりにも安易で軽薄な発想である。それでも当事者には少しは後ろめたい気持ちがあるようで、いくつか制約を設けて実施しようとの気持ちがある。だが、所詮「野球くじ」はギャンブルであり、ギャンブルは賭博である。倫理的にも教育的にも周囲に与える影響は好ましいものではない。これまで夢を与えるスポーツとして青少年に胸を張って来たプロ野球界が、甘い囁きにいとも簡単に落ちたのかと思うと、これまでのように健全なスポーツのイメージが剥がされる。

 これまでプロ野球コミッショナーには、裁判官経験者が多かった。昨年7月野村證券副社長、東京証券取引所社長、日本取引所グループCEOなどを歴任した株式業界に精通した斎藤惇氏が就任した。株式売買だって賭博性が強い。その賭博性が身体に沁み込んだ斎藤氏の指導の下に、プロ野球界は賭博街道を歩むことになった。過去においてプロ野球界は八百長に絡む黒い霧事件で賭け事には懲りている筈である。これまで何度となく「野球くじ」への誘いはあったが、その都度断っていた。それが、今度は斎藤コミッショナーの下で防止策を講じたうえで甘い話に乗るようだが、これでは高校野球のイメージも暗くなるのではないだろうか。プロ野球界としては、安易に濡れ手に粟で資金をもらい、球場などの整備費に充てるようだが、そんなことより今サッカーに押されて人気が下がり気味の現状を押し上げる改革を考えた方が良いのではないか。

 あのギャンブル好きで、競走馬も所有している浅田次郎・日本ペンクラブ前会長が、最近読んだ「ペンの力」(集英社新書)の中で吉岡忍現会長と対話しているが、カジノ法案に批判的である。「カジノをそこら中につくってどうすんのよ。ギャンブル好きの僕ですら、疑問を持つよ」と語っている。

 このカジノ法案だって元々は地元選挙区民の声を取り上げた政治家のごり押しによって作られた。その声を受けた代行者が賭博的人生を送って来た斎藤惇コミッショナーで、その口車に乗ったのがプロ球団のオーナーたちである。そこには、暴力団の介入の心配とか、教育的配慮は一切見られない。

 プロ野球の魅力がまたひとつ消えた。

2018年2月22日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com