3934.2018年2月19日(月) 中国の人権抑圧と非民主化政策の行方

 言論の自由、表現の自由が殊更抑圧されている中国国内の中でも、比較的緩やかなのが門戸が開かれた元イギリス領の香港である。香港返還後中国政府はここを香港特別行政区として、特定の組織・団体による選挙で選ばれた人物を行政長官に任命している。中国の社会主義国家制度への移行期間として2047年まで資本主義システムが容認されているのだ。しかし、現在の中国が社会主義国家とは笑止千万であり、それどころかむしろ資本主義を通り越して帝国主義国家ではないかと思える場面が随所に見られる。現状では香港はすべてが中国共産党の監視、指導下にあり、かつての自由貿易港だった時代の自由は認められにくくなっている。集会の自由も徐々に制限されるようになり、社会主義を標榜しながら社会主義思想に関する書籍は、書店店頭から次第に姿を消しつつある。

 中国本土でさえ、今や名前だけの社会主義となって自由、平等などが制約され、とりわけ表現の自由や言論の自由は、国家の監視の下で厳しく制約されている。

 そのような折先月末中国国内の大都市の中でも、伝統的に外との窓口が開かれていると見られていた上海で、20年間続いていた書店「季風書園」が閉店させられた。この書店は民主主義に関する書物が充実していた。話によれば、中国社会の問題点を議論するサロンも名物となり、上海文化の象徴となっていたという。これが当局にとっては認めがたかった。

 2012年習近平氏が総書記に就任して以来、中国は国家の秩序維持を重視し、年々言論の統制を強化しつつある。13年には、人権などの普遍的価値や報道の自由などの内容を大学の授業で禁じる「七不講」が通知されたり、16年7月には改革派の月刊誌「炎黄春秋」が当局の圧力により停刊になり、17年6月にはネット上の言論統制を強化する「インターネット安全法」が施行されている。中国は軍備強化にも力を入れ、中国海軍による公海上の東シナ海への突出した進出も際立っている。

 これから中国は果たして言論の自由と表現の自由、そして民主化を実施することが出来るのだろうか。そしてそれはどうやって実施し、世界へアピールするのだろうか。本当に出来るのかどうか、中国の動きを注目してみたい。

2018年2月19日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com