2956.2015年6月17日(水) 選挙権年齢、18歳以上に引き下げ

 今日の参議院本会議で改正公職選挙法が改正、成立した。主題は選挙権年齢を現在の20歳以上から18歳以上に引き下げることである。来年夏の参院選から適用される。これで18歳、19歳の若者約240万人が新たに有権者となる。前回選挙権年齢が25歳以上から20歳以上に引き下げられたのは、昭和20年の終戦の年である。実に70年ぶりの改正となる。現状は世界でも約9割以上の国々が18歳以上を選挙権年齢と決めているので、一般的にはそれほどの抵抗感はない。むしろ若い人に政治改革参加のチャンスを与える意味でも肯定的な声が多い。これにより今後国民投票や国政選挙で若い声が社会生活に反映されることになる。

 ただ、このこと自体喜ばしいと歓迎の声がある一方で、一部に不安や疑問の声があるのもまた事実である。果たして240万人の新しい声が生の国民の声として実際に反映されるかとなると疑問がないとは言えない。特に直近の若者投票傾向から懸念されるのは、若い人たちの投票率の絶対的な低さである。20歳代の投票率は、全有権者の平均投票率より大きく落ち、高齢者の投票率に比べて約20%も低い。今後高校でも主権者教育を徹底的に行い、悪くとも彼らの投票率が全投票率の平均ぐらいに届かないと、折角導入された今日の選挙権年齢引き下げが意味を成さないことになる。

 もうひとつ気になるのは、240万人の声が好戦的ではないかということである。危惧するのは、他国が攻めてきたらこれに対抗して若者の律義な正義感から攻め返すという若者の発想と論理である。若さ故につい戦闘的になり、話し合いより武器をとることに気持ちが突き進んでしまうことを恐れる。戦争の怖さ、恐ろしさ、悲しさなどの身ぶるいするような臨場感に身を置いた経験がなく、戦争の怖さを実感として知らないだけに彼らの猪突猛進の論理が危険に感じられる。その点では主権者教育と同時に、若者に戦争の悲惨さを充分教え込むことも忘れてはなるまいと思う。

 さて、選挙と言えば、昨日来年11月のアメリカ大統領選挙へ向けて、共和党候補者として元フロリダ州知事のジェフ・ブッシュ氏が名乗りを上げた。言わずと知れたジョージ・ブッシュ父子・元大統領家のエースである。これで共和党の候補者は12名となった。しかし、流石に実力社会のアメリカでは父と兄が元大統領という世襲候補には抵抗が強いようで、それを慮ってジェフ・ブッシュ氏が名乗りを上げた会場には、父と兄は意識的に姿を見せなかった。

 一方、民主党候補者としては本命のヒラリー・クリントン前国務長官が立候補を宣言した。彼女とてかつてのファースト・レディであり、ビル・クリントン元大統領の妻で、いかに優秀だとしても所詮は世襲候補者である。結局大勢の候補者は立ったが、本命は民主党のクリントン氏と共和党のブッシュ氏の対決であり、図らずも世襲候補者同士の争いとなった。

 日本では世襲政治家は珍しくもないというより、むしろ小泉、福田、麻生、鳩山元首相、安倍晋三現首相の登場を見るまでもなく、世襲政治家でないと栄達は望めないと思われているくらいである。それが民主主義の本家であるアメリカで、選りによって世襲政治家同士の対決というのが、何とも理解し難い。これから長丁場の選挙戦の末に結果はどうあれ、名門同士の対決としても興味津々であるが、妙に素直に納得できないのは国を左右するイベントが小さな籠の中で争われるからであろうか。

2015年6月17日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com