明日から北朝鮮では36年ぶりに朝鮮労働党大会が開催される。3月ごろから国威発揚のつもりで頻繁に核実験やミサイル打ち上げを行っていたが、世界中から顰蹙を買っている。その逆風の中で、北朝鮮では昨日辺りからしきりに首都ピョンヤンの街頭風景と新しい高層ビル、マンションの目新しい風景を映像で流しては、これまでとは変わったイメージを伝えている。前回大会では金日成初代国家主席もまだ健在で、社会主義国家だったソ連、中国、東欧諸国から多くの要人を招いた中で5時間の長いスピーチを行った。金正恩第一書記の父親・金正日国家主席が後継者としてデビューした場でもあった。今年は国連を中心とする厳しい経済制裁の影響と不調な外交関係もあり各国要人を招いていないようだ。その反面アメリカを中心とする世界約10カ国から100人のメディア関係者を受け入れ、北朝鮮の現状を世界へ向けてアピールする腹のようだ。
実は、昨日からピョンヤン市街の最近の画像を随分見せられて異様な感じを持った。これまで経済制裁と天候異変による凶作に喘ぎ、決して豊かではない北朝鮮の様子が想像とは随分違っていたことである。入国を認められた外国メディアが撮影した映像が、予想とは裏腹に豊かで落ち着いた市内の光景を伝えているのだ。新しいいくつもの高層ビル、整然とした市内、数が増えたと言われるタクシー、身なりのきちんとした人々、携帯電話を使っている市民の姿などは、これまでの北朝鮮のイメージとはまったく合わないものである。
これには当然ながら理由がある。まず、国連の経済制裁なんかにはひるまず経済発展を続けている国家の宣伝活動である。特にここへきて金正恩第一書記体制の安定した統治を普く世界へ訴えようとの考えのようだ。
しかし、この一見繁栄を見せつける思惑の陰で農村部などでの貧しい暮らしぶりは覗えない。外国人報道人らには、視察・訪問に制限を加えて都合の悪い場所は見せないようにしている。結局北朝鮮は本当の姿をどこまで見せようというのだろうか。
明日金正恩第一書記はどんなスピーチをして存在感をアピールし、同時にどのように盤石な体制を築いたことを見せつけることができるのか注目される。
今日は日本では「子どもの日」だが、明日は北朝鮮の「子ども(金正恩)の日」である。精神的に健やかに成長することを望みたいものである。