今朝9時半ごろから北朝鮮・平壌で第7回朝鮮労働党大会が始まった。今回異例とも言える100人を超える外国人取材陣を受け入れたが、会場内への入場を認めず建物「4.25文化会館」から200mほど離れた場所からの取材に限られた。これでは取材にならない。単に最近の首都平壌市街の風景を映像に撮るだけに終わってしまう。まだ始まったばかりでもあり、今後カーテンを開けるのを待つより取材陣としては打つ手がない。
金正恩第1書記の指導体制の確立を内外にアピールする狙いからいずれ大会の様子は伝わって来るだろう。それにしても早々と準備を進めて来た割には、会期が何日間かもはっきりしていないのも、国家行事としてはお粗末に過ぎる。
所詮北朝鮮の「子ども(金正恩)の日」の式典では、ドジも失態もやむを得ないだろう。
さて、今日はアメリカでも「子どもの日」を迎えたようだ。子どもっぽい演説を繰り返していたドナルド・トランプ氏が、アメリカ大統領共和党候補者になることがほぼ確実になった。一昨日テッド・クルーズ上院議員、そして昨日はジョン・ケーシック・オハイオ州知事らライバルの選挙戦撤退によりトランプ氏が勝ち残ることになった。
しかし、このトランプ氏の勝利は世界中を驚かせている。不動産王として確かに事業では成功を収めたが、彼の言動から推してとても最後まで大統領レースに勝ち残るとはとても思えなかった。況してや百戦錬磨の強者が揃っているアメリカ政界のトップレースで勝利を収めるとはあまりにも意外な結果だった。事業家としての実績はともかく、政治家としてはまったくその実力は未知数であり、政治活動の処女戦であるアメリカ大統領選で勝ち続けるとは、常識的にはとても考えられなかった。
トランプ氏の主張を聞いていると、考え方としてアメリカ第一主義を唱え内政に努めて大国アメリカの復活を担うとの意気込みが窺える。はっきり言ってこれまでのアメリカの積極的外交に比して明らかに内向きである。これまで世界の警察官として国際紛争解決のために自国軍隊を海外へ派遣したが、最早アメリカにはその財政的余裕がないから、受入国は全経費を負担せよとの思いがけない言い分である。自分の方から進出していてその必要経費を負担せよとは、随分身勝手な言い分ではないか。
アメリカ軍の駐留はほとんどアメリカの一方的な自国の世界戦略に基づく押しかけ駐留である。米軍の駐留により、受入国は防衛面で支援されている面は確かにある。だが、想像外の好ましくない問題が派生したことも数限りなくある。そこでお互いが話し合って必要経費を受入国が一部負担することになった。日本国内における米軍駐留についても長年日米安保条約に基づいて相互の費用分担について一応の決着をみている。アメリカ国防省は、在日米軍の経費として約5830億円を支出しているが、日本政府は「思いやり予算」として年間1900億円を供出している。これが妥当かどうかの議論は別にしても、トランプ氏の乱暴な主張によって全額負担となるなら、アメリカにも家賃以外に迷惑費として在日米軍基地存続に付随する経費を負担してもらわなければなるまい。
その他にも日本と韓国に核保有を認める発言をしているが、それで一番困るのはむしろアメリカ自身ではないのか。この辺りはまったく外交が分かっていないド素人である。また、メキシコとの国境に壁を構築して、その費用をメキシコ政府に負担させるとか、イスラム教徒の入国を認めないとか、移民を認めないとか、アメリカの歴史がどうやって出来上がったのかということを否定するような言い方である。
アメリカ人ではない外野の我々が最も理解できないのは、アメリカ国民がどうしてこういう血迷った人物を国家の代表であり、世界のリーダーでもあるアメリカ大統領に選ぼうとするのか不思議でならない。その意味ではアメリカ人の本音やその思考回路が分からなくなるし、アメリカ人の行動パターンが信用できず不安である。トランプ氏のような人物をアメリカ大統領に選んでは世界にとって間違いなく不幸である。トランプ氏のような野卑で下品な人物が、これ以上のさばらないよう望むばかりである。