2959.2015年6月20日(土) 善きにつけ、悪しきにつけ、話題の外国人実業家

 今日になって遅ればせながら日本政府は、昨日このブログに取り上げたロヒンギャ族支援のため緊急に無償基金350万$(約4億円)を提供することを公表した。国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)の要請に基づくものであるが、漸く日本政府も動き出したことで取り敢えずほっとした。

 さて、この二、三日唐突に2人の外国人がフラッシュライトを浴びるようになった。2人ともに大企業の実業人である。ひとりはジュリー・ハンプ・トヨタ自動車常務で、もうひとりはソフトバンク副社長のニケシュ・アローラ氏である。

 ハンプ氏は何と大企業の役員らしからぬ麻薬取締法違反という破廉恥罪により逮捕された。一方のアローラ氏はこの半年間にソフトバンクから受け取った報酬が165億円余に上がると報じられ、その高額報酬が話題をさらったのだ。

 前者ハンプ氏逮捕は想像もできないほどの衝撃的な事件である。逮捕容疑はアメリカから麻薬成分「オキシドコン」を国際宅急便で輸入した疑いが持たれている。本人は麻薬を輸入した認識はないと言っているが、いくら外国人であるとは言え、大会社トヨタが三顧の礼を尽くして入社してもらったれっきとした大物実業人である。日本で働く以上、日本入国に際して何が許され、何が禁じられるかぐらいは自分自身でよく調べるべきである。人間としてまだ未熟である本人も脇が甘いが、トヨタも迂闊だったでは許されないと思う。

 トヨタは4月にハンプ氏を女性として初の役員に起用したばかりである。海外から有能な人材をハンティングするのに幾許かの手抜かりがあったのか。昨日豊田章男社長が記者会見して、世間を騒がせたお詫びと捜査への全面協力を語った。それにしても世界一のカー・メーカーが躓いたこの事件には、世界を視野に事業を拡大させたい企業にとっては国際的に優秀な人材をリクルートしたいという気持ちの一方で、その人格までを見抜くのは至難の技であることを暗示している。捜査が本格化する現時点では、当分事件が鎮火することはない。トヨタもつまらないところで味噌を付けたものである。この失点は大きい。

 一方もうひとりの外人、アローラ氏の高給については経済界ばかりでなく日本中が目を白黒させている。報酬額の中には契約金と見られる金額が含まれていると聞くが、日本では固有の文化と企業風土からしてこれほどの報酬を受けたら、若干反発も受けやすい。実際高額報酬として一時騒がれた日産のカルロス・ゴーン氏が14年3月期に受け取った報酬が9億9千5百万円と言われ大きな話題をさらったほどである。アローラ氏を口説いてソフトバンク入りさせたオーナーの孫正義社長の役員報酬が株式配当金を別にして、年間1億3千百万円だというから、ちょっと理解に苦しむ。

 こうして国際社会で競争しなければならない企業は、国際色豊かな人材をリクルートして獲得し、華やかな話題を提供する。それが、トヨタのようにバッド・ケースにならないことを願うばかりである。

2015年6月20日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com