3886.2018年1月2日(火) ローマ法王の積極的な反核行動

 昨日元旦に世界をおやっと思わせることが2つほどあった。そのひとつは、新年に当りローマ法王フランシスコ教皇が、長崎被爆者の子どもの写真をカードに印刷し、「戦争の結果」という言葉を添えて配布するよう指示したことである。長崎原爆投下後に亡くなったばかりの幼い弟を背負い、悲しみに耐えながら火葬のため並んで順番を待っている少年の姿を写したもので、アメリカ軍従軍カメラマンによって「焼き場に立つ少年」として撮影された写真である。法王はかねてより核兵器のない世界の実現に向けて国際社会に訴えており、このカードの配布により核兵器がもたらす惨禍を強くアピールしようとの狙いがあると言われている。これまで歴代の法王は政治的な問題から一歩退いて、あまり俗事に関与しなかったのに比べて、フランシスコ教皇は積極的に発言し、それを具体的な行動に移し、少なからず成果を挙げている。キューバとアメリカが国交正常化を実現したのも教皇のアドバイスと仲介がかなり効果的だった。今またこれまで世界のトップクラスの人物が普通気が付かないような核兵器の使用防止のためのアイディアを提起したことは、素晴らしい発想だと思う。世界の政治家たちにももう少し法王と同じように知恵を絞ってもらいたいものである。

 もうひとつ唸ったのは、同じく元旦に北朝鮮で金正恩労働党委員長が新年の辞で、核抑止兵器開発のための兵器開発を行うという従来の主張を繰り返すと同時に、核のボタンは自分の机の中にあると威嚇的に述べたことである。同時にオリンピック参加にも言及し韓国との対話にも関心を示した。恐喝発言とは別に金正恩も対話を考えなければいけない段階に来ていると考えているようだ。南北朝鮮の関係がミサイル発射問題は別にしても、大きくこじれて冷えているのは米韓軍事合同訓練の影響が大きく、北朝鮮が韓国に対して強く中止を求めている。元々韓国の文在演大統領は大統領就任以前から北との話し合いを探っていた。

 金正恩委員長のコメントを受けて、早速韓国では統一相が「いつでも北と協議を持つ意欲がある。南北関係改善のために平昌冬季オリンピックへの北朝鮮代表団の参加や、相互の利益に関する問題について議論することを希望する」と金発言に飛びつくような前向きな姿勢を示した。韓国にとっては、北との縒りを戻す好い機会であろう。韓国にとってやや重荷になっている米韓軍事訓練を一時ストップして、北と話し合いに入り、あまつさえ前景気のパッとしない平昌五輪人気にカツを入れる絶好のチャンスでもある。圧力、圧力とプレッシャーをかけるばかりのアメリカに言いなりにされ、自己主張を押さえつけられている現状では、北の要求に応じて対話へ一歩踏み出す機会ではないかとも思える。ところが、ある報道によると韓国政府は北の要望を受け入れ、米韓軍事演習を一時延期したいとアメリカに申し入れたところ、アメリカは否定的な考えだったと言われる。この成り行きはどうなるのだろう。しばらく韓国の動きを見守りより仕様がない。

2018年1月2日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com