2963.2015年6月24日(水) 「朝日版姨捨山」、朝日新聞にとって高齢者は邪魔者か。

 今月5日の朝日朝刊トップ記事に「高齢者を地方移住に」との見出しで関連記事が書かれていた。普段はリベラルな立場で庶民の味方であることをアピールする天下の朝日が、何と高齢者を軽視し、愚弄するかのような見出しを掲載したのにはびっくりした。「朝日版姥捨山物語」である。その日の本ブログに早速何か割り切れない気持ちを感想にして書いた。元共同通信社の知り合いもこの見出しには驚いていた。そして14日フジTV「Mr.サンデー」でも、元NHKの木村太郎氏がやはり同じような取り上げ方をした東京新聞記事をこれは「姨捨山」であると憤慨していた。誰でもこの見出しを見たらカチンと来ると思う。況してや、高齢者にとっては怒りを抑えきれないのは当然だろう。

 記事はよく読めばこれが悪意のある本来の姥捨山でないことは理解できる。しかし、見出しだけ見た読者は驚き、特に高齢者は怒ることだろう。現代の世の中にあって、高齢者を邪魔者扱いにする報道姿勢は断じて許すことはできない。こんな見出しをつける朝日新聞社編集部の神経が分からない。誰もこれを止めようとの良識派が唯ひとりとしていなかったということだ。数々いる編集部員も世間で言うほど碌な奴がいないのだ。

 そこで朝日のお問い合わせ受付を調べて、何ゆえこのように高齢者を愚弄するような姨捨山記事をトップ記事の見出しにしたのかとメールを送信して、朝日の回答を待った。しかし、朝日はよほど都合が悪いと思ったのか、今日まで回答がない。しかも、1回だけではない。毎週続けて4回も同じような問い合わせをしたにも拘わらず、まったく頬かむりなのである。いかに読者の質問がまともであろうとも、自分たちにとって不都合なことには応えないとの狡さがある。いかにまともな質問や正論であろうとも、メディアにとっては自社の記事の不行き届きには応えたくないとの気持ちがあるだろう。しかし、一方で読者が抱くごく当然の疑問に対して、記事の内容について充分説明して理解を求めることはメディアの義務でもあると思う。あまりの不誠実さに私も些か穏やかな気分にはなれない。記事の見出しで高齢者を邪魔者扱いにし、その上永年の読者をまったく配慮しようとの気持ちも示さない冷淡な態度には、朝日のご都合主義が表れていると思う。

 確かにすべての問い合わせに応じることはできないとは書いてあるが、この質問受け付け法ではすべての質問について回答を与えていないのではないかとの疑念すらある。それにしても天下の朝日の傲慢不遜な対応には、そもそも記事にも真実が隠されているのではないかと信用できなくなる心情が湧いてくるのも致し方ない。こういう社風でどうして公平な報道ができるだろうか。普段からきれいごとを言っておきながら、いざ追いつめられると恥も外聞もなく謝罪する、先の従軍慰安婦問題と今も同じ次元にいるのではないのか。

 これまで朝日ばかりは良心的だと信頼し、「反権力」の筋を一本通すリベラルな姿勢を高く買い46年間愛読してきた。だが、これでは普段から正義面して行動しながら、陰ではやるべき責務を果たさず堕落した、そんじょそこらの田舎新聞と変わらないではないか。

2015年6月24日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com