毎年6月と12月に行われる上野浅草フィルハーモニーの定期演奏会が今日浅草公会堂で行われ、いつも通りゼミ仲間でチェロ演奏者の赤松さんのお世話で楽しむことができた。今日の演奏曲は、モーツァルトの「交響曲第40番ト短調K550」とマーラーの「交響曲第5番嬰ハ短調」だった。マーラーはこれまでにも何度が演奏されたが、中々難しくて馴染めない。今日はモーツァルト曲が聞き覚えのある名曲だったのに比べて、マーラー曲は首を傾げてしまう。そこで事前に解説をよく読んでみた。マーラーとアルマの結婚話の他に、この曲の思わぬ特徴を知った。それは第4楽章「アダージェット」で全体的に極めてゆったりと演奏され、ここで演奏される楽器の説明、特に出だしのハープが良かったことである。静かな演奏が傑作映画「ベニスに死す」で流れた曲であると知った。また、バレエやフィギュアスケートでもよく使用される曲であることを事前に知り、イメージしながら演奏を楽しんだ。あまりポピュラーではないマーラーの曲が、意外なところで知られている点が予想外だった。
演奏会終了後は、いつも通り永井荷風お気に入りのレストラン「アリゾナ」へ移り、14名でややいつもに比べて少なかったが、お互いに懇親を深めることができた。
実は数日前永井荷風の実父とお妾さんの間に生まれたのが高見順で、荷風と高見順は互いに異母兄弟であると聞いてしまい、妙な気分を味わいながら荷風を偲ぶことになった。
次回12月の演奏会ではどんな曲を演奏してくれるのか、興味が尽きない。
ところで、今日は大失態を演じてしまった。公会堂の座席下にカード類を詰め込んだ財布を落としたまま気づかず、「アリゾナ」で漸く大事なものを紛失したことに気付いた。直ちに取って返したところ、運良く事務室で保管してくれていた。気持ち良く引き取ったが、よほど気持ちが弛んでいると反省しきりだった。それにしても、ある程度見つかる可能性を信じていたが、あまり悪質な人たちの目に触れるような場所でなかったことと、公会堂の関係者が真面目で親切な人たちだったことが幸いしたと思っている。
さて、財政危機に陥ったギリシャへの支援が世界中から注目を集めているが、昨日EUのユーロ圏財務相会合は、ギリシャとの支援交渉を打ち切ることを決めた。理由は、ギリシャが支援の前提となる国内改革案について国民投票を行うことを決めたことにEUが反発したのである。これでギリシャは30日に返済期限の来る借金を返す当てがなくなった。ギリシャの国際通貨基金(IMF)への負債は約2100億円である。この金額は偶々経営危機が伝えられたシャープが、減資の条件として主力2銀行から借り入れた金額とほぼ同額である。妙な例えではあるが、現在のギリシャのデフォルトは、赤字会社シャープの倒産と金額において同じレベルと言っては、ギリシャに失礼だろうか。
この様子では、明日は世界的に株価が大きく下落するのではないだろうか。