2969.2015年6月30日(火) 始まった文科省と東京都の内輪もめ

 ギリシャの財政破たんが目の前に迫り、ギリシャがEUから離脱した後に、これからのギリシャ抜きヨーロッパの全体像がどうなるのかいろいろ取り沙汰されている。

 この騒ぎに歩調を合わせるように、わが国でもオリンピックの主会場である新国立競技場建設問題がデッドロックに乗り上げたような論調が見られる。これについては、5月20日の本ブログに「新国立競技場は屋根なしで出発」とコメントを書いた。その中で責任体制の不備について触れた。どうも組織自体が充分機能しているようには見えないのだ。これまで日本が請け負った大会やコンベンションが、このように当初から右往左往しているみっともない構図は見たことも、聞いたこともない。

 そして今朝の新聞には、「文科相表明 2520億円の財源難題」「新国立『寄付・命名権で200億円』」「新国立 甘い胸算用」と膨れ上がった工事費の財源捻出に対する下村博文・文科相の発言を批判的に取り上げている。1カ月前に比べて事態が進展したのか、或いは停滞しているのかまったく見当がつかない有様である。

 財源問題では当初予算の1625億円が、労賃の高騰により建築費が多少上がることはある程度理解できる。しかし、それだって前ロンドン大会の主会場の建設費が650億円程度だというから、すでに東京大会予算は高すぎるということは言える。そこへ全体工事費用が2520億円に膨らんで差額900億円をねん出しなければならなくなった。下村大臣はいとも簡単に、東京都に500億円負担、命名権の売却などで200億円を予定しているという。

 だが、東京都の舛添知事は聞いていないと言い、都民が納得できるものでなければと一応ペンディングである。ここでも文科省と東京都の間で内輪もめが始まる。これでは2020年大会へ向けて気持ちをひとつにできない。ここまではほとんど役人が取り決めている。これだからまとまらない。妙に地位の高い役人が入り込むとまとまるものもまとまらないことは分かりそうなものだが、同じ徹を踏む結果となった。

 話題は逸れるが、事故続きのJR北海道に対して、政府は1200億円の支援金を出すことを決めた。この補助金をオリンピック準備不足金に回したらどうだろうか。JRには、これまで分離独立以来国は相当の国費を投入してひとり立ちを助けて来た。JR北海道は過去にも600億円の支援を受けている。国鉄時代の多額の負債も分離と同時に清算事業団へ移管して、独立したJR各社が利益を上げても補てんすることもなく収益として計上している。JR北海道を援助するなら、まず元は同じ会社だった、余裕のあるJR東日本や東海、西日本らが支援して、国は不景気なJR社への支援より他の一層重要な投資へ目を向けた方がよほど国の資産を有効に生かせると思う。

 偶々JR北海道への支援金と新国立競技場建設費がやや近かったから仮の話として考えてみた。もちろん仮の話であるが、どうも最初の見積もりが甘かったり、有効な金の使い方が的外れだったり、もっと真剣に国家的プロジェクトを考えてくれないと困る。

 

2015年6月30日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com