3847.2017年11月24日(金) インフレ率の急落記事について朝日新聞から回答

 20日付朝日「天声人語」欄に37年間独裁者だったジンバヴエのムガベ大統領が、軍事クーデターで自宅に軟禁され、その後辞任に追い込まれて話題になっていることを取り上げている。その中でムガベ大統領時代の物価インフレ率が驚異的に上がり、一時5千億%に達したと書かれていた。あまりの急激なインフレ率にピンと来なかったところへ、翌21日には朝刊全頁の1/3ほどのスペースを割いてインフレ経済の実態が報告されていた。ところが、この記事のインフレ率は2008年に2億3千万%と記載されていた。前日のインフレ率に驚いていたところへ、翌日になって同じ朝日記事でインフレ率が1/2500にまで下がったと書かれていたのである。あまりにも天文学的落差にどちらが正しいのか分からず、また1日でこれほどの記事の相違は珍しかったことと、朝日が間違えた記事を掲載したのではないかと半信半疑で、朝日新聞社にメールで質問した。それに対して2日経って今日返信があった。

 その回答とは、「天声人語で引用した5千億%は、2009年5月のIMF報告に基づいており、2008年のインフレ率です。・・・・・21日付国際面の2億3千万%以上は、この2008年7月の数字です。そのため紙面では『08年にはインフレ率が一時2億3千万%以上になった』と、2008年中の瞬間データであることを示した上で報じました。どちらの数字も正しいのですが、基準の違いで数字が違います」と書いてある。いずれの数字も世界銀行の2011年2月の論文に掲載されていると付け加えてあった。同じ2008年の数字だが、後者は7月だけ瞬時大幅にインフレ幅が縮小したということになる。俄かには信じがたい。

 それにしても朝日記者は記事を書く際、報告書の数字が理に適っていないと思っても、疑問を持たないのだろうか。そして持論を押し通して記事にして社会に流すのだとしたらジャーナリストとしてはおかしいのではないだろうか。一応説明については納得したが、考え方に納得したわけではない。朝日の望むように正確に時期を捉えて読んでいる読者がどれほどいるだろうか。しかも「天声人語」では、時期は一時という表現だけで2008年なんてことはまったく書かれていない。これが後者では、時期を2008年と明記して価値が2500分の1に下がると言っている。そう言われても素直に納得しかねる。やはり読者に混乱を与えない文章を書くことをまず心がけるのが、ジャーナリストとしての責任ではないだろうか。

 上から目線の朝日なので、あまり回答は期待していなかったが、幸い直ぐ返事をもらい、朝日の「言い分」は理解出来た。だが、どうもイマイチ腑に落ちない。頭の良い朝日社員はすぐにも理解できたかも知れないが、一般の人には難しいのではないだろうか。やはりジャーナリストとしては、誰が読んでも分かる文を書くことを第一義的に心がけるべきではないかと思った次第である。

2017年11月24日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com