2973.2015年7月4日(土) 勝利より敗戦が多くても優勝?

 今朝新聞のスポーツ欄を見て「あれっ?」と首を捻った。見出しにはこう書いてある。「セ界初 全球団借金」とある。何のことはない。プロ野球セ・リーグのヤクルト・スワローズの37勝38敗を首位に、36勝37敗の阪神タイガースが2毛差で続き、以下4球団すべてが負け越しという珍事を冷やかしているのである。仮にこのままペナントレースが最終戦まで行ったら勝率5割以下の成績で優勝するハプニングが起き、ファンの目を白黒させるばかりである。プロの世界で勝率5割に達せずして、果たして優勝に価する成績と言えるのかどうか。更にこの優勝チームがパ・リーグの覇者を打ち破り日本選手権チームとなったら、一層優勝自体に優勝の価値があるものかどうか疑わしいものとなる。卑しくもその年日本全国で最強の野球チームが、実はその年に限っては勝率5割にも達していなかったというびっくり箱になる。

 この原因はプロ野球界には昔から知恵者がいなかったことから、つい中途半端で安易な企画を考え出し、手軽に興業収入を稼ぎ出そうとする悪弊があったからである。

 そもそも日本各地に野球を普及させ、ファンと球団が一体となったフランチャイズ制度をしっかり確立させ、興行と人気の両面でスマートにマネージメントを導入しようという気持ちがオーナーや経営者にないからである。

 その点を当事者らはすでに気がついているようだが、今では12球団を適正な球団数にしようとの声は少数派になり、現在の12球団を念頭にあの手この手を考えるから、予想外の不思議なアイディアしか生まれない。2つのリーグに分かれたままで試合をすれば、同じ5球団相手に1年間戦い、ペナントレース後半に勝負の見通しが立った時点で残り試合は消化試合となる。これでは顧客であるファンは納得しない。ここが知恵の出し所だが、一向にそういう建設的な意見が提案されず、毎年同じ相手と対戦してお茶を濁していた。その挙句数年前にセ・パ交流戦という新手の公式戦が考えだされた。これが今回の珍事の遠因である。

 だが、この交流戦より根が深いのが、プロ野球界の日本一チーム決定を左右しかねないクライマックス・シリーズという制度である。かつては、2リーグの優勝チーム同士で争っていた日本シリーズを、日本シリーズ出場権を得るためのクライマックス・シリーズというトーナメントで、同リーグ内の6チーム中上位3チームに出場権を与えることにした。これが今回の珍事の下敷きにもなっている。勝率5割を割ろうともクライマックス・シリーズで勝ち上がれば、日本選手権出場権を獲得し、これに勝てば日本一になれるという下剋上優勝が可能になったのである。

 しかし、どう考えてもこのシステムはおかしくないだろうか。その内勝率4割でも優勝するチームが現われるかも知れない。

2015年7月4日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com