ビッグ・ニュースが盛り沢山である。海外では例によってEUがギリシャの金融破綻に戸惑いその対応にあたふたし、それに対するギリシャ国民の当惑と同時に屈託のなさも外国人の興味と関心を呼んでいる。もうひとつのビッグ・ニュースはギリシャに間接的に影響を受けた中国株式市場が8%も値下がりし、その大きな値下がりぶりもこの3週間内で実に32%以上にも上るという。これは今日の東京証券市場が638円も下がり、2万円割れとなった以上に世界中に厳しい印象を与えている。
注目のギリシャについては、今日チプラス首相がブリュッセルで開かれたEUのユーロ圏首脳会議に出席し、新たな金融支援を要請した。これに対してEUは9日までに具体的な緊縮策を示すよう要求した。だが、緊縮策は受け入れられないと国民が彼らの意思を示したばかりで、ギリシャがすんなりEUの要求通り実現可能な具体案を提案できるかどうかは予断を許さない。もし、話がまとまらない場合は、早晩ギリシャのEU離脱がスケジュールに上って来る。
このところギリシャ人の性格、国民性についてジョーク交じりに茶化すような題が後から後から暴露されている。国家よりまず自分のことを考えるとか、悪意はないがあまり他人のことに関わろうとしないとか、日本とは真逆の性格と行動パターンであると面白おかしく紹介していた。
だが、実際にはギリシャ国民は外国人や外の人に対して親切過ぎるほど親切である。小田実が感心した言葉でたった一語で「外国人好き」を表す「フィロクセノス」という言葉があるくらい、ギリシャ人は外国人に興味や感心があり、外国人に親切な国民なのだ。残念なことに、この度のデフォルト騒ぎで彼らの国民性まで誤解されかねないことになってしまった。
一方国内ニュースでは、この数日話題になっていた新国立競技場の工費が、有識者会議で2520億円に決まり了承されたと報告され、メディアが大々的に報道している。このプロジェクトばかりは、当初からお粗末な決め方であると大方の関係者から首を傾げられ不興を買っていた。工事完成が果たして2019年のオリンピック前年までに間に合うかどうかも問われている。金額は決まったが、その財源は必ずしも当てがあるわけではなく、今から未定の財源の確保が懸念されている。それにしても500億円程度の北京大会、ロンドン大会の主会場に比べて大幅に費用がアップしたのは、建物の構造自体に建築上難しさがあったからである。その難しいデザインの建築を設計したのがイラク人建築家であり、それを強く推薦したのが、著名な建築家・安藤忠雄氏である。だが、その肝心な安藤氏がこの有識者会議に個人的な事情で欠席したとあっては、敵前逃亡と呼ばれても言い逃れできないだろう。
とにかく、最初からやることなすことすべてに歯車が狂っている。これで当初設計にあった屋根の取り付けや、仮設座席の大会後の設置を考えると、更に費用が上乗せされるというのだから話にならない。