6237.2024年6月10日(月) インドの経済成長が紛争の原因に・・・

 今月初めに世界一の人口を数え、有権者数でも9億7千万人と言われる巨大なインドの総選挙の開票が行われ、モディ首相は与党として獲得議席は減らしたが、昨日3期目の首相に就任し、引き続き政権を担うことになった。何もかも巨大化するインドらしく、閣僚の数も71人もいるというから驚く。今インドは世界中からその経済発展ぶりが注目されている。発展の要因は、人口が増える中で中間所得層の割合が年々増加すると見込まれ、彼らが耐久消費財の購入に走るだろうと予想されているからである。国民の平均年齢は28歳と若く、中間所得層もこの10年間で倍増している。

 IMF(国際通貨基金)の成長予測によれば、2019~23年にインドのGDPは年平均7.7%の成長率を示し、成長著しい中国の5.9%を悠々上回った。それはアメリカの1.8%、日本の0.6%を遥かに凌駕している。30年には世界のGDPは、1位中国、2位アメリカ、そして3位にインドが参入し、日本は4位に下降する。更にドラマチックなのは、50年になるとインドは、アメリカを追い越して中国に次いで2位にランクアップすることであり、アメリカは3位に落ち、日本に至っては7位のメキシコに次いで8位にまで下落する。

 1人当たりのGDPで見れば、当然ながら人口の多いインドはかなり下位になる。ロシアやブラジルよりも下位にいる。現在の経済成長は、まだ初期段階であり、今後人口や中間所得層が増加することにより、経済成長が加速し、同時に1人当たりのGDPも増加するものと見られている。現在の50年の予測では、GDPベスト10からは、かつての先進国が3位のアメリカ、8位日本、9位ドイツ、10位イギリス以外は消え、途上国だった中国の1位を筆頭に、2位インド、4位インドネシア、5位ブラジル、6位ロシア、7位メキシコが入ってくる。

 インドがこのまま経済成長すると国際的に大きな影響を与えると警戒されている問題がある。インドは現在国民の8割がヒンドゥー教徒であり、宗教対立が懸念されるイスラム教徒は14%とされているが、それでも数にすれば2億人にもなる。そのイスラム教徒、及び少数派のシーク教徒に対してヒンドゥー教徒の警察権力による弾圧が厳しく、インド国内各地で暴動が相次いでいることである。モディ政権によるイスラム教徒弾圧は、国内ばかりでなく、今では国外でも頻繁に行われて、近年有力者、或いはテロリストと目をつけられたイスラム教徒の暗殺事件がしばしば伝えられている。アメリカ、カナダ、イギリスの捜査当局は、海外における反政府分子の除去を企んでいるインド当局の行動に対して警戒し、これらの国々の首脳は、直接モディ首相との会談で懸念を伝えたという。国内で総選挙が近づいているイギリスでは、インド系のスナク首相もこの問題に頭を痛めているようだ。

 インドは、現在経済成長とそれを支える人口の増加により、世界中から注目と期待を集めているが、思わぬところで躓きかねない。イスラム教徒が厳しい仕打ちを受けているインドは、アジアでもインドネシア、パキスタンに次いで世界第3位のイスラム大国である。アジアが中東のアラブ諸国を凌ぐほどのイスラム大国であることから、インドもいつまでもイスラム教徒を弾圧しているわけには行かなくなるだろう。インドの急成長によってヒンドゥー教徒のイスラム教徒いじめが脚光を浴び、それが国際社会の中で大きな問題にならなければ好いがなぁというのが率直な感想である。

2024年6月10日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

6236.2024年6月9日(日) 「森林環境税」課税とは寝耳に水

 寡聞にして知らなかったが、今年度からひとり年間1千円の「森林環境税」が新たに課税されることになった。まさに「寝耳に水」である。それを知ったのが、税が今月6月から徴収されるとの先日のテレビ・ニュースだった。あまり国民が知らない間に、もうすでにスタートしていたのだ。目的は、森林の整備、及びその促進に関する施策の財源として使われるということで、国民から課税した税収は、国が森林環境譲与税として今度は各自治体に分配される。

 普段あまり関心を抱かない森林などの維持費を国民が知らぬ間に国がこっそり徴収するという、少々騙し討ちのようなやり方は、身勝手ではないかと思う。もう少し前広にメディアなどを通して説明し啓蒙したうえで実施して欲しいものである。サラリーマンは、今月分の給料から差し引かれるが、我々公的年金受給者は10月から課税される。

 主旨は理解出来るが、いつもながら国の施策の狡いところは、この新税が13年前の東日本大震災の復興資金として昨年まで10年間に亘り、国民から都道府県税、市町村税合わせて年間1千円を徴収していたが、今年度からなくなるので、新たに森林環境税という名称で、穴埋めしようとの考えが垣間見える。

 いずれにせよ国会で十分な審議も行わず、安易に課税する手前勝手なやり方には素直に納得出来ない。10月分の納税通知書をよく見てみたい。

 さて、パレスチナ・ガザ地区におけるイスラエル軍の攻撃により多数の人びとが生命を落としている。この数日エジプトやカタールなどが仲介して、停戦交渉が続けられているが、まとまる気配が見られない。それには、イスラエルの支援国であるアメリカがイスラエルに対して厳しく迫らないことが最大の問題である。そしてイスラエル政府の強情なまでのハマス殲滅論である。アラブやヨーロッパ諸国がしきりにイスラエルの対応を非難しているが、強気一辺倒で「ハマスの殲滅まで」とか、「人質の全員解放まで」と言い張ってイスラエルは、攻撃を停止しようとはしない。昨8日もイスラエルは、ガザ地区中部を「テロリストの施設を標的に攻撃」していると言い訳のように述べたが、100人以上が死亡したと言われている。2日前には、同じ地域にある国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)の学校を空爆して子どもら40人が死亡したと伝えられたばかりである。

 このイスラエル軍による子どもらを攻撃するあまりにも無慈悲で卑劣な行為に対して、国連報道官はイスラエルを「子どもの人権侵害国」と認定すると公表した。しかし、イスラエルは反発し、あくまでもハマスの徹底殲滅をと主張し続けており、現状では攻撃を停止することを期待することは出来ない。

 戦争を有利に続行している間は、国内における独裁者の地位が揺るぐことはあまりない。だが、イスラエルは、ネタニヤフ首相の国内基盤がやや弱く、それだけに簡単には攻撃から手を引くということは考えにくい。ロシアのプーチン大統領にしても内心は、権力基盤を固めるためには、ウクライナ侵攻をいつまでも続ける意向のようだ。習近平・中国国家主席がフィリピン海域へ違法に海洋進出を止めないことや、金正恩・朝鮮労働党総書記が軍事力を誇示するのも同じような理屈である。

 あまり大きく報道されないが、今アフリカのスーダンでも国軍と準軍事組織の間で紛争が激化し、断続的に死傷者が出て、7日までに1万5千余人が犠牲になり、国際機関が「ジェノサイド(集団殺害)」と非難している。私利私欲で権力欲の塊である支配者がいる限り、この世から戦争は消えないのではないかと暗い気持ちになる。

2024年6月9日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

6235.2024年6月8日(土) 甘い要人警備と、つまらない新聞連載小説

 どうも世界的にいろいろ雑多な騒ぎが各国で起こり、どこも社会的不安が溢れている空気の中で、昨夜デンマークのフレデリクソン女性首相が首都コペンハーゲンの路上で近寄って来た男に突然覆われ、ケガをした。警備体制はどうなっていたのだろうか。首相は事件にかなりショックを受けているという。5月には、スロバキアのフィッツォ首相が銃撃され、重傷を負ったばかりである。仮にも首相としての自覚と警護が、やや甘かったのではないかと思う。

 1977年シンガポールのリー・クワン・ユー首相が準国賓待遇で2度目の来日の際、こんなことがあった。外務省から滞在中に箱根へ小田急ロマンスカーで行かれるので、それに対応するようにと小田急電鉄を通して連絡を受け、何度か外務省で警視庁係官、新宿駅長も交えて打ち合わせをした。乗車当日、リー首相が公用車で小田急新宿駅へ到着されプラットホームを乗車口へ向かって歩いていた。その時、私は首相の周囲を取り巻くガードマンの後ろを歩いていたが、ちょっと小走りで動いた瞬間、ガードマンの何人かが私をじろっと凝視したので足が停まってしまった。それほど神経質なくらい慎重にしていたことに、驚くとともにある面で納得したものである。

 その点で、警備面から考えると国家の指導者である女性首相が無防備にも夜外出して、近づいてきた男に襲撃されるなんてことは、日ごろから事件が頻発している大都市で起こるとはとても考えられない。首相もかなりショックを受けたようだ。一種の慣れによる不注意ではないだろうか。流石にデンマーク首相府も対策を講じるようだ。いずれにせよ要人の警護には充分配慮してもらいたいものである。

 さて、Googleから恒例の5月分ブログ・アクセスのレポートが送られて来た。1か月分のアクセスと過去累計のアクセスの2種類のレポートである。ここでは、過去のアクセス・ランクから感じた、アクセス数が多い点に関して指摘したい。

 実は、5月も4月同様にアクセス数1位は、2013年9月30日に書いた「評価の分かれる盗作作家・山崎豊子さん」と、2位が、2022年8月16日の「つまらない新聞連載小説」と、まったく同じだった。毎回社会や政治、個人的行動なども気軽に書いているつもりだが、どうしてこれほど小説に関するブログに関心を抱いてもらえるのか。やはり私同様に、現代の小説の内容に納得出来ない人が多いのではないかと推察する。

 現在朝日朝刊に連載中の「G線上のアリア」もやや期待を裏切っている。ロマンチックなメロディーで始まるバッハの名曲と同名のテーマである。しかし、ロマンチックどころか、現時点では母親代わりだった叔母を施設に引き取ってもらい、散らかった家の中を片付け整理している段階である。すでに連載は70回に近づいているが、登場人物も少なく、どうもストーリー性が感じられず面白くもなく、前々回連載作品だった多和田葉子著「白鶴亮翅」に次いで、「朝日よ! またか」というのが率直な感想である。作者の湊かなえ氏は、「告白」が大ヒットして本屋大賞を受賞したくらいの作家なので、期待していたが、現状では期待に応えてくれていない。またまた「つまらない新聞連載小説」を書くことになってしまった。

2024年6月8日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

6234.2024年6月7日(金) 大戦終結「史上最大の作戦」記念式典

 NPO紙にフランスの世界遺産「モン・サン・ミッシェル」について寄稿文を書いたばかりである。そこはノルマンディー海岸のオバマ・ビーチにほど近い。そこで今から80年前の1944年6月6日、連合軍が200万人の兵士を投入し、第2次世界大戦の死命を制した「史上最大の作戦」と呼ばれたノルマンディー上陸作戦が決行された。

 昨日現地では、決戦の日を意味する「Dデー」の記念式典が開催された。式典には、マクロン大統領の他に、チャールズ・イギリス国王、バイデン・アメリカ大統領、トルドー・カナダ首相ら戦勝国の首脳らをはじめ、敗戦国ドイツのショルツ首相や、旧連合国側から多くの関係者が参列した。10年前の70周年式典には招待されたロシアのプーチン大統領が、今年はウクライナ侵攻などのせいで招かれず、戦勝国でありながら唯一欠席することになった。その代わりに旧ソビエト連邦の1連邦国だったウクライナのゼレンスキー大統領が招かれたのもロシア不招待のカラクリのせいである。

 実は、先月16日に再放送されたNHKテレビ・ドキュメンタリー【映像の世紀「バタフライエフェクト―史上最大の作戦」】が、このノルマンディー上陸作戦について分かり易く解説していたが、この作戦決行には、当時のスターリン・ソ連首相、ルーズベルト・アメリカ大統領、チャーチル・イギリス首相がイランのテヘランで会談し、積極的に作戦決行を主張したスターリンとは反対に、チャーチル首相は乗り気ではなかった。スターリンの狙いは、独ソ戦の最中に連合軍がドイツを攻撃すれば、ドイツは連合軍と同時にソ連攻撃することが重荷となり、独ソ戦からドイツが戦力を間引くことにより、ソ連は対極東作戦に一層注力出来ると考えたのだ。結果的にロシアの思惑通りとなり、ロシアは日本を侵略し、連合軍は勝利を決定的とした。

 このオバマ・ビーチへはモン・サン・ミッシェルや、セーヌの河口オン・フルール、シェルブールなど周辺の風情ある街々を2001年6月に訪れた。その折オマハ・ビーチ近くの丘の上にある戦没者の共同墓地を訪れたが、整然と墓石が並べられた様子を見て、維持管理がきちんとされている点で、国民の戦没者への慰霊の気持ちが伝わってきた。

 日本では、毎年終戦記念日の8月15日に日本武道館で天皇皇后両陛下ご臨席の下に全国戦没者追悼式が厳かに行われているが、それ以前に開催される広島、長崎の原爆犠牲者慰霊平和祈念式典では、反原発、反核運動のような動きが見られる一方で、政府の反原爆や反戦に対する考えや姿勢が後退するばかりでなく、憲法を軽視するような再軍備の機運が高まりつつあることが気になっている。

 さて、最近高齢者ドライバーによる交通事故が目立って増えたが、去る4日に埼玉県熊谷市内の横断歩道を青信号に従い渡っていた小学生1年生のグループに高齢者が運転する車が突っ込み、小学生ひとりが事故後3日経過しても依然意識不明の重体だそうである。84歳の高齢者ドライバーの言によれば、その信号の先の信号に目が行き手前の赤信号に気づかなかったと言う。4年前には、当時87歳の男性が池袋で母子2人を死亡させた生々しい暴走事故を思い起こす。いろいろ個人的な事情があり、彼らは運転を止められないようだが、年齢的に事故を起こす可能性が高いこともあり、80歳を超えたら周囲が説得して運転免許証返納を考えてみることが必要ではないかと思う。

 翻って私自身6年前の79歳の時、免許証を返納した。日常生活で時々不便を感じることもあるが、極力バスやタクシーを利用して、維持管理費がかからなくなった点から考えても、結果的には良かったと思っている。苦しむのは、結局本人と家族、そして犠牲者となる本人とは縁のない他人であるということを良く考えるべきだと思う。

2024年6月7日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

6233.2024年6月6日(木) AIの進歩は文章力を低下、人を低能化させる。

 今朝の新聞記事には少々驚かされた。今しきりにその効用と同時に弊害も指摘されているAIによる文章作成である。自分の頭で考えるのではなく、AI頼りの文章作成である。これが小中高生の作文にも使われているらしく、昨年度の「青少年読書感想文全国コンクール」には明らかにAIを使用して書かれた作文が複数寄せられたというからショックである。幼児期における作文とは、これから成長する過程で文章作りの基礎を固め、その後文章力を向上させる重要な時期である。それが幼いころから頭脳を使わず、身近にあるAIを手軽に使用するようでは、大人になって文章力が身に付く筈がない。コンクールの主宰者が懸念しているように、これには身近に生徒たちと接触して作文の様子を知っている先生や家族が気が付きそうなものだが、現実には先生にも判断出来ず、見抜くのは難しいと思案投げ首のようだ。今後AI技術が更に進歩したら見抜くのは一層困難になると思う。

 昔から幼児の初等教育にとって基本的に大事なことは、「読み、書き、ソロバン」と言われているように、子どもたちの初等教育は、幼いころから彼らが本を読み、自分の頭で考えて文を書くということに尽きると思う。

 近年大学生の卒業論文などもチャットGPTなどを使って書く学生が増えたと、大学関係者が頭を痛めているとのニュースを聞いて驚いたことがある。我々の学生時代は、書き上げた論文を教授と1対1で向き合い、その理論的根拠や表現など内容をじっくり議論し、話し合って、教授からアドバイスをいただきながら文章を修正しつつ、まとめたものである。私の卒業論文は、やや硬い「河上肇論」というものだったが、河上の書籍を何冊も読み込み、ある程度河上の考え方を知ったうえで、卒論として書き上げた。決して自慢できるような卒論ではなかったが、私なりの思想、視点と論調から、私でなければ書けない独自なものだったと幾分自負しており、一応自分なりに納得することは出来た。これで学生時代の大きなノルマは何とか果たすことが出来たと思っている。

 ところが、AIが一気に小学生レベルにまで進出してきたら、子どもたちは自らの頭で考えて自分で文章を作成することが出来ず、作文することが出来ないまま大人になってしまう。大人になってもまともな手紙すら書けないのではないだろうか。国民的低能化現象にもなりかねず、恐ろしいことでもある。しかも今後ハイレベルのAIが開発されたら、作文も出来ず、組織内でも必要とされなくなり、社会的にも存在感が希薄になる。同時に、社会が格別優秀な人材を必要としなくなるのではないかと憂うる。

 その一方で、文章がAIによって作成されたものであるか否かを判定するツールも、まだ道半ばながら開発されつつあるようだ。だが、いずれイタチごっこになるのは明白である。地球上で多額の投資をして人間の頭脳を錆びつかせる技術を競うなんて宇宙の他の衛星から見たら、笑いものにされるのではないだろうか。

 確かに時代がこの傾向を受け入れるようになったという背景はあるが、安易に頭を使わない手段を選ぶようになると、いずれ人間社会は崩壊の道を辿るようになるのではないかと心配である。

2024年6月6日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

6232.2024年6月5日(水) 長かったインドの総選挙、モディ首相3期目へ

 インドの「世界最大の選挙」と言われる大型総選挙に、漸く決着が付いたようである。なにせ広大な国土に9億7千万人もの有権者がいるので、選挙自体に時間がかかる。昨日一斉に開票し、モディ首相の与党インド人民党はかなり票を減らしたが、先ずは与党連合として過半数の議席を維持したので、引き続きモディ首相が3期目の首相となる。但し、与党議席は前回より大分減らして厳しい政権運営になる。国内には物価の上昇、若者の失業率の高さなど難問を抱え、イスラム教徒などとの共存も思うように行かず危なっかしい。

 インドは近年人口増により昨年中国を抜いて世界1の人口を抱えるようになった。それに歩調を合わせるように、海外資本を受け入れるなどして国内経済発展に力を入れ、国内総生産(GDP)は、2025年には22年にドイツに追い抜かれ3位から4位に転落した日本を追い抜くと見られている。27年には3位のドイツをも追い越して中国、アメリカに次いで世界3位になると予想されている。途上国だった国が急速に経済的に成長を遂げると、それに伴い国内に難しい問題がいくつも発生する。国際NGOオックスファムは、インドについて、「人口の1%がインドの富の4割を保有している」と公表し、同時に人口の2億3千万人弱が貧困層として暮らしている現状に、格差是正のための富裕層への課税強化を実行出来るか否かが問われていると提言した。インドにとって経済発展の恩恵を国民が等しく受けることが出来るかどうかが、今後インドが成長への大きな課題となるであろう。

 インドに引き比べて日本の経済成長はあまり捗々しいとは言えない。その原因として考えられるのは、専門家は設備投資と技術進歩の停滞があると述べているが、最大の原因は少子高齢化現象にあると思う。少子高齢化が少しでも是正されないなら経済発展のキーである若年労働者の不足や、設備投資と技術の進歩について死にもの狂いで向き合わないと、かつて世界を驚嘆させた戦後の経済発展を遂げた日本は取り残されていくのではないかと些か気がかりである。

 国内経済の停滞もさることながら、日本は政治の劣化が夥しい。あまりにも低レベルの政治にはうんざりする。今の日本が経済的に停滞しているのは、国会議員をはじめ多くの政治家の責任でもあると思う。今政府と野党の間で政治改革を巡るやり取りが行われているが、その中心が政治資金規正法改正案を巡る話し合いで、与野党が合意していた筈の衆議院採決が一夜にして先送りされた。特に、自民党と公明党、日本維新の会の駆け引きがまるで猿芝居である。よくぞこんな低レベルの騙し合いが出来るものだ。岸田首相が当初自民党内の批判を覚悟のうえで、公明と維新に妥協した。それが自党内で反発が大きく、維新の要望を受け入れないとした。これに維新は烈火の如く怒り、今や国会どころか政党間の局地戦に発展し、それを立憲民主党がはやし立てている有様である。まったく国民の声を無視して勢力争いをやっているのだから、手に負えない。これが今の低レベル政治家の実態なのである。それでも何とか同法案は衆議院特別委員会で可決された。しかし、パーティー券を購入した人の公開基準額を現行の20万円超から5万円超に引き下げ、政策活動費のすべての支出を対象に、領収書などを「10年後」に公開としたようだが、なぜ発生時点で領収書公開が出来ないのか。疚しい点がたくさんあるからであり、10年後では議員当人があの世で健在かも知れない。馬鹿々々しいにもほどがある。

 こう言ってはどうしようもないが、今の国会議員は私利私欲に駆られて国会で遊んでいるだけで、国家、国民のことなんてまったく考えていない。

 そこで熱くなった頭を冷やすために、今朝の朝日「天声人語」の冒頭文を紹介しよう。「JR大和路線の路線図をじっと見る。奈良駅の一つ先―おお本当だ。郡山、大和小泉、法隆寺、王子(、)三郷、河内堅上(かわちかたがみ)。お気づきだろうか。連なる駅の名で五七五七七になる。日常のなかに隠れたリズムの楽しさだろう~」

2024年6月5日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

6231.2024年6月4日(火) 今日この日に想う天安門事件と加藤隼戦闘隊

 今日6月4日は、私にとって2つの事象が忘れられない。ひとつは、35年前に中国・北京で起きた天安門事件である。共産党1党独裁国家の中国が、自由と民主化を求める学生らを武力で鎮圧し、多数の死傷者を出した。国民の間にはかなり以前から不満が充満していた。この日それに共鳴し同調した学生らを主に若者層が北京の天安門広場に集合して集会を行っていた。そこへ軍部が強引に戦車で乗り込み市民や学生らに対して発砲するなど鎮圧し、多くの犠牲者を生んだのである。中国政府の公式発表では、死者319人と伝えられたが、実際には遥かに多くの犠牲者が出て、一部にはその数は1万人を超えたとも言われている。

 その後犠牲者の母親を主に遺族たちのグループ「天安門の母」が、度々中国政府に対して犠牲者の名前と人数の公表、犠牲者と遺族への賠償、そして事件の法的責任の追及を求めているが、中国政府は、政府としてすでに明確な結論を出し、遺族らが求める真相の究明は必要ないと昨日冷徹なコメントを出している。中国国内では事件自体がタブー視され、近年の若者たちはこの事件についてはほとんど知らないという。秘密国家中国の怖いところである。

 気になるのは、これほど人権弾圧の大悲劇を、日本のメディア、特に新聞がほとんど報道しなかったことである。リベラルな朝日ですら今日の朝刊には、天安門事件には1行も触れられていない。僅かに1日夕刻に日本在住の中国人が新宿駅南口に集まり追悼イベントを行ったことを朝日デジタルが伝えた程度である。漸く夕刻近くなってテレビ・ニュースで報道する有様である。これでは、普段ロシアのウクライナ侵攻や、イスラエル軍のガザ地区攻撃を人道問題だとして厳しく追及していた立場とは整合性がなく、ダブルスタンダードと批判されかねないのではないかと思う。時が経てば忘れられるということでは、太平洋戦争の悲劇や、広島・長崎原爆投下もいずれ忘れられてしまうということを暗示しているようなものではないか。

 さて、もうひとつの忘れられないこととは、今日の日付を名付けた「六四会」の活動である。これは太平洋戦争時の陸軍航空第五飛行師団・飛行第64戦隊、通称「加藤隼戦闘隊」の戦友会の名称である。1970年に「六四会」の方々を紹介され、慰霊団企画を要請されて交渉のため旅行インフラがまったく未整備だった当時のビルマ(現ミヤンマー)へ下見調査に出かけ、72年1月「第1回加藤隼戦闘隊ビルマ戦跡巡拝慰霊団」を結成して、22名の「六四会」の方々とご一緒したことが長いお付き合いの始まりである。

 「六四会」は毎年6月4日に、靖国神社にお参りして戦争中に戦死された仲間を慰霊するのが恒例で、全国から数多くの戦友が集合して慰霊祭と、その後に「六四会」親睦会を開催するしきたりだった。A級戦犯を弔った靖国神社へ参拝したこととは関係なく、飛行第64戦隊戦没者の霊を敬い、慕う思い出の会で72年以降私も毎年出席し、それは「六四会」が解散するまで続いた。最後の「六四会」では、どこまで本気か、「また戦うようなことがあったらその時も一緒に戦おう」とそれぞれ肩を抱き合い涙を流し、永久に別れて行った光景が忘れられない。戦争を知らない人たちが、無暗に好戦的になり再軍備を是とする傾向になり勝ちであるが、厳しい戦争を生々しく体験し、仲間を喪いながらも戦争には絶対反対という、命からがら戦地から復員した戦友会の方々の言い分は重い説得力があった。

 今日は、改めて戦争反対を誓う1日である。

2024年6月4日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

6230.2024年6月3日(月) 男性優位のメキシコに初の女性大統領誕生

 今朝6時半ごろ枕元のスマホがけたたましく鳴り、「緊急地震速報! 強い揺れに備えて下さい!」と突然注意を呼び掛ける大きな音声が聞こえた。慌てて飛び起きた。皆びっくりしたようで、今日の朝日夕刊「素粒子」に次のように書かれた。「早朝の都心駅ホーム。数百人の手元で一斉に鳴り出す緊急地震速報のこだま。人々の目が宙を泳ぎ、スマホに戻っていく」。

 どこで地震が発生したのだろうかと思っていたところ、震源地は、石川県珠洲市、輪島市で最大震度5強、M5.9だった。元旦の能登半島地震以来度々余震があったが、今また大きな地震に見舞われた。気象庁は、今後1週間は同じ程度の揺れに注視するよう呼びかけた。幸い格別大きな被害があったという報告は現時点ではない。

 とかく一言多い弁護士の橋下徹氏が、テレビ出演して元大阪府知事だった経験から地震発生に備えて私見を述べた。「こういう時こそある意味で事実上強制という言葉は強いかもわからないが、2次避難所に移っていただくことを政治家の責任で批判を受けてでもやらないと取返しがつかない」と故郷を離れることは心苦しいと思うが、政治家の責任として避難所へ移っていただくことをやるべきだと考えを述べた。難しい問題であり、判断にも苦悩がつきまとうとは思うが、発言に責任を持とうとしない政治家が多い中で、ずばり明言した橋下氏にも一理あると思う。一般論としてはどうだろうか? また、現地石川の被災者たちはどう思うだろうか。

 ついては、先月27日の本ブログに女性大統領が初めて誕生するのではないかと書いた。世界中から注目を集めているメキシコ大統領選は昨日行われ、予想通り左派与党「国家再生運動」のシェインバウム前メキシコ・シティ女性市長が勝ち、勝利宣言を行った。

 本選挙戦では以前から、麻薬組織同士の抗争により、多くの死傷者を出して大きな社会問題として治安がクローズアップされていた。新大統領にとってもこの問題は無視できるものではなく、大統領就任直後から暴力団対策に取り組むことになるだろう。

 それは今後の大きな課題であるが、今注目されているのは、とかく暴力問題が発生し、力任せの男性優位の空気が強い中南米で、初の女性大統領が誕生したという画期的な事実である。他の国でも1つの刺激となり、新たに女性大統領が誕生するかもしれない。メキシコの大統領の任期は、珍しく6年という長期間であるが、今年12月1日に就任する。1期限りで再選は認められていない。

 他方、アフリカ大陸の最南端、南アフリカでは、先月29日に総選挙が行われたが、1994年にアパルトヘイト撤廃運動を主導したネルソン・マンデラ初代大統領が率いた与党アフリカ民族会議(ANC)が、アパルトヘイト撤廃以降30年間に亘って政権を維持してきたが、今回議会で過半数を割り込み、連立政権樹立に向けた交渉を進める。あれほど画期的な人種平等を実現しながら、マンデラ氏の後継者の間に対立や、汚職の蔓延、経済低迷、治安の悪化などが原因で国民の支持を失い、初めて議会で過半数を失った。

 どういう政権が誕生するだろうか。メキシコの女性大統領誕生も南アフリカのマンデラ大統領誕生の経緯を踏まえて、「初心忘るべからず」を肝に銘じて国民に奉仕することを忘れてはなるまい。

2024年6月3日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

6229.2024年6月2日(日) また、ひとり逝ってしまった。寂しい。

 昨日母校である高校の元校長からメールでひとりの高校先輩の訃報が送られてきた。先月親しかった会社の先輩が亡くなられたばかりである。引き続き悲しみの大きいショックである。この高校先輩については、これまで10年近くの間1年に2~3回のペースで、同じ高校同級生、及び同じく同級生の兄に私を交えて4人で会食を楽しんできた。生憎コロナ渦により中止していたところへ漸くコロナも落ち着いたので、昨年3月先輩の自宅に近い横浜市内の中華街でお会いした。その前に奥様に大分認知症的症状が表れたので、近くの設備の行き届いた介護施設に預けて独り暮らしであると言っておられた。気になったのは、そういうご本人が杖を突き、コルセットを身体に巻き窮屈そうに歩いていたことだった。この時の食事会が結局今生のお別れとなってしまった。その後先輩も奥様と同じ介護施設に入られ、回復に努めておられたようだった。

 こうして4人で定期的な会食を楽しんでいたのだが、3人は互いに高校の同級生であり、私は彼らの1年後輩である。先月21日半年ぶりの会食では、体調がまだ回復していない先輩は参加出来なかった。3人で先輩の健康を気遣いながら、次回こそ4人揃って会えると好いねと話し合ったばかりである。ところが、元校長からいただいたメールによると、先月12日に亡くなられたと記されていた。先輩のご回復を祈り、次回こそは4人で食事をともに出来ればと願ったにも拘らず、すでにその9日前に冥界に旅立たれ、その前日には家族葬も行われていたのである。

 タフだった仕事からは解放され悠々自適の我々高齢者にとって、心を許した昔の友人と定期的に会って食事をしながら元気だった若かりし頃を想いながら他愛ない会話をすることこそ、楽しい生きがいのようなものである。そういう仲間がひとり去り、ふたり去って少しずつ寂しくなる。残された3人で彼を想いながら、また会って時を過ごし悔いのない余生を送りたいものである。先輩は享年86歳だった。 合掌

 さて、国内外であまりパッとしない情報が多い中で、明るいニュースとして天皇の名代として常陸宮家の次女佳子さまが、日本とギリシャの国交125年を迎えたギリシャを訪問され、昨日帰国された。

 アテネのパルテノン神殿を訪れた時、ギリシャのカラーである青と白をアレンジした服装を着こなされたセンスなどについて現地で称賛の声が多かったという。ギリシャには、「フィロクセノス」という一言で「外国人好き」というギリシャ語特有の言葉があるほど、外国人をもてなすお国柄である。幸い2004年アテネ・オリンピックの前年にこの言葉についてエッセイを書いたところ、僭越だが、「ギリシャ政府観光局長エッセイ賞」に入賞したことがある。それだけに私自身もギリシャへの想いが強く、佳子さまがテレビで報道される度に関心を持って観ていた。

 佳子さまに「天性の気品と品性が感じられる」など大分好意的に報道されていると思っていた。ところが海外のニュースの取り上げ方について、大分意地の悪いコメントがネット上に溢れている。

 中でも、「日本人が東洋のダイアナと呼んでいる」と伝えられたことに「提灯記事も大概にせよ」とか、「東洋のダイアナとは初耳。日本では誰も言っていない」、「どこぞの若くして事故で亡くなられた元皇太子妃のことではないよね?」等々、嫌がらせや、皮肉っぽいコメントが載っている。

 最近あまりにもネットで本人の知らぬ間に自由気ままにコメントをアップして嫌がらせたり、疑似広告で著名人を揶揄したり欺いたり、かなりSYSによる悪質な発信が、訴訟沙汰にもなっている。自由が規制されないことは、悪いことではないが、これを悪用し、他人を中傷したり、人間性や権利まで侵害するような行動になっては、少し行き過ぎだと思う。

2024年6月2日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

6228.2024年6月1日(土) 「陪審員制度」を印象付けたトランプ氏の悪徳

 日本では自民党派閥による裏金問題が非難され、広く社会問題化している。一方、現代日本の宗主国?アメリカでは、11月の大統領選を前に共和党のトランプ前大統領が立候補に意欲満々であるが、長年に亘ってスキャンダルなど多くのトラブルを抱えている。一昨日その抱え込んだ裁判のひとつである、不倫したポルノ女優に口止め料を支払い、不正に会計処理した偽証を問われていた裁判で、ニューヨーク地裁の陪審は、有罪の評決を下した。量刑は7月11日に決まる。但し、仮に実刑が言い渡されても大統領選に立候補することは可能だという。

 30日の夕刊の一面トップに大きく米紙の「Guilty(有罪)」と書かれた見出しが出ていた。アメリカの大統領経験者が刑事事件で有罪の評決を受けるのは史上初めてである。このような「悪徳の権化」のような人間に対して非道徳的で破廉恥な罪状により、12人の陪審員全員が「有罪」の評決を下した。至極当たり前である。それにも拘わらず、この評決を知ったトランプ氏は、さらさら反省の気なぞなく、「不正で恥ずべき裁判だ。本当の評決は11月5日(大統領選投票日)に国民によって下される」と怒りを込めて発言した。それでもなお不満やるかたない表情で「私は無実だ。私たちの国では今、不正が行われている。これはバイデン政権が政敵を傷つけるためにやったことだ」と自らの悪行を隠し、自らの非をライバルに転嫁して、まったく評決を認める気がないようだ。

 その評決から間もなくして、控訴するとの意向を表明した。驚くというより、今までにもアメリカ人が普通の常識とは異なる感受性を示すことに少し呆れていたが、それが如実に示される事実があった。それは、有罪評決直後にトランプ陣営に多額の寄付が集まったことである。これほどの罪を犯していながら支援する人が、国内には随分いるのだ。小口献金だけで、何と24時間で約83億円も集まったというから二の句が告げない。

 バイデン大統領もこれらトランプ氏の言動について「無謀、且つ危険で無責任だ」と非難しつつ、「法の上に立つ者はいないというアメリカの原則が再確認された」と冷静にコメントした。

 日本では近年アメリカとは異なる6人の裁判員と3人の裁判官が協議する「裁判員制度」が法令化され、少しは知られるようになったが、元祖「陪審員制度」が以前から定着しているアメリカでは、「全員一致」を求めるアメリカ特有の「陪審員制度」が定着し、図らずも今回のトランプ有罪評決により注目されるようになった。

 トランプ有罪評決を知り、つい学生時代に観た映画「12人の怒れる男」を想い出した。事前にこの12人の男というのは、西部劇に出るカウボーイかと思い、同時に、どうして12人でなければならないのだろうかと疑問を感じた。そして映画自体には、著名な俳優が出演しておらず、ドラマはほとんど室内の議論に終始して、その主人公の建築家が説得する演技と迫力に感銘を受けたものである。映画では、12人中主人公だけが犯人の少年の無罪を信じて、他の11人の固定観念に固まった有罪派の一人ひとりを説得して、同意させたうえで一致して「無罪」と評決する。もう70年も前の古い映画だが、今でも時折想い出すことがある。それが、偶々トランプ大統領のような悪質な候補者の見苦しい猿芝居により見せてもらった。それにしても何と節操のない大統領候補者であろうか。そしてなおトランプ氏を大統領に押し上げようとするアメリカ人が多いことだろうか。これではアメリカも、アメリカ人の評価も劣化する一方ではないだろうか。

2024年6月1日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com