5620.2022年10月2日(日) 菅元首相は弔辞が恥ずかしくないのか?

 先日の安倍元首相国葬の際、友人代表として弔辞を述べた菅義偉元首相の評判が予想外に良かった。菅氏が銀座の焼き鳥屋で、第1次政権が短命に終わった安倍氏に対して2度目の挑戦を促し、かなり時間を費やした後に安倍氏からOKの回答をもらったことを自画自賛した。評判が良かったのは次のエピソードで、岡義武著「山縣有朋」を引き合いに、山縣有朋が先立った伊藤博文を偲んで詠んだ一首、

「かたりあひて 尽くしゝ人は 先立ちぬ 今より後の 世をいかにせむ」

 について安倍氏の書の中にマーカーが付いていた。それに気づいた菅氏が、山縣が伊藤を慕った気持ちと同じように、安倍氏への想いを重ねていると言った。このスピーチを聞いた時、菅氏のプライベートなスピーチを聞いたことがなかったが、中々気が利いたものだと思った。

 ところが、今日あるツィッターを見て驚いた。何とこの山縣有朋の話は、安倍元首相が亡くなる1か月前に葛西敬之・JR東海名誉会長の葬儀で述べた弔辞の内容と同じだったというのである。安倍元首相が述べた弔辞を、今度はこともあろうに安倍氏への弔辞に菅氏が使ったわけである。菅氏の場合は、あまり私的な言動が公に伝えられることは少なかったが、それが偶々国葬という場でそれなりの評価を得た弔辞となったが、使いまわしだったとは驚いた。よくもやるものだなぁというのが本音で、呆れるばかりである。

 政治家の発言というのは、あまり信用出来ないが、これほど恥ずかしい盗人的行為は他にあまり知らない。それにしても国葬という国の行事で、亡くなった人物のスピーチ内容をそっくりその人物へ伝えて泉下の安倍氏も面食らっているのではないか。この破廉恥行為には、よくぞこれで総理大臣まで務めることが出来たものだと呆れるばかりである。それだけ政治家の倫理レベルが低いということだろう。

 さて、早くも10月に入ったが、今月は日用品から電気・ガス・水道料金が軒並み値上げされる。聞くところによれば、今月だけで6,600品目の値上げが予定されているという。これに加えて、高齢者にとっては厳しい後期高齢者医療費が、これまでの1割負担から倍の2割負担となる。収入源が限られた高齢者にとっては、かなり堪える筈である。そこには社会保障関係費が国家財政にとって過大になり、その負担が若者にしわ寄せされている事実がある。

 しかし、大きな議論を国会や、一般社会で話し合ったり詰めることなく、ただ過大な負担であるとの理由だけで医療費を2倍にするという乱暴で浅はかな考えは、愚かな政治家たちだから出来ることだろう。苦しくなった財政の中でも他に賄える費用がある筈である。元々多過ぎる国会議員の数と給与を減らすことも当然考えても好い。とりわけ防衛費なんて現状緊急的支出ではあるまい。防衛費の支出に関しては、自民党議員は誰も歯止めをかけようとしない。アメリカから高額な軍事物資の購入を求められれば、黙って支出する。一方で、高齢者の医療費負担は増額を黙認するだけである。真の意味で予算管理を行っているとは言えない。

2022年10月2日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

5619.2022年10月1日(土) 中華人民共和国建国記念日

 今日は中国の建国記念日「国慶節」に当る。1949年10月1日、北京の天安門広場で約30万人の民衆を前に、毛沢東・中国共産党総書記が「中華人民共和国人民政府は本日成立した」と宣言して今の中国がスタートした。爾来紆余曲折を重ねながら中国は自力で経済発展とともに成長した。経済の発展と同時に、中国の覇権的言動も目立ち始めた。来る16日には、第20回共産党大会が開かれる。国家主席は憲法で任期は2期10年までと定められているにも関わらず、国家を私物化しつつある習近平国家主席は、強引に次の第3期まで主席の地位に留まるべく、憲法改定を画策しているようだ。

 中国のそういう共産主義らしからぬ疑似共産主義国家を見ていると、中国共産党とは縁を切り今年創建百周年を迎えた、日本共産党に比べて27年も若く、主張と行動力の差は弟分として力不足であり、いつまで経っても差は埋まらないと思う。

 最近は中国が世界でもその覇権的行動が批判を浴びる度に、どうして中国がそのような道を辿るようになったのか、不審と疑問を感じている。

 2010年に国民総生産(GDP)で中国が日本を追い抜いて以来、年々その格差は開く一方であり、19年以降は日本の成長率が対前年マイナス成長を続けたせいもあり、21年には、中国の17,498億㌦に対して日本は中国の28%に該当する4,937億㌦にまでその差が開いてしまった。

 日本がまだ中国に実質的に負けていない点は、両国の大きい人口差のため、1人当たりのGDP比較では、21年時点で中国の19,259㌦に対して、日本が44,738㌦と日本が2.3倍も上回っていることである。しかし、これさえもこの先の両国の経済力次第ではどうなるか分からない。
 果たして中国が今後もこのまま経済発展を続けて行けるのかは何とも言えない。中国は政治、経済の権力が中央政府に集中しており、それが共産主義の理想とは逆向して富が中央に集中して万民平等が普遍化されておらず、農村地帯では昔ながらの貧しい農業の状態のまま、農民は都市部への移動が許されておらず、貧しい中で生涯を送る運命にある。典型的な都市重視・農村軽視型である。中央政府は全国から搾り取った財を、見せかけの国力を海外へ示威することによって「一帯一路」で途上国に恩を着せて、彼らの首根っこを押さえつけている。とてもカール・マルクスの唱える社会主義、共産主義とは相容れないものである。日本も彼らの言動を注視して寝首を掻かれないよう注意することである。

 さて、文化庁が国語に関する世論調査を実施して、PCやスマホによる普及により言葉の使い方が影響を受けたとする人が9割に上ったという。街中でスマホの氾濫ぶりを見ているとそれも頷ける。その影響程度は、「手で字を書くことが減る」と「漢字を手で正確に書く力が衰える」と言う人がいずれも9割もいる。それは若者が、手紙を書こうとしないことからも分かる。これでは文章力が培われないわけだ。会社など組織内で年長の上司が、レポートにせよ、対外的な書類にせよ、部下の文章力を磨くように業務の中でもっと指導するよう実践してみてはどうだろうか。

 ついては、有名人の訃報が続いた。昨日落語家の三遊亭円楽師匠が肺ガンのため72歳で亡くなったと思ったら、今日はプロレスで一世を風靡したアントニオ猪木が心不全のため79歳で亡くなった。近年体調が優れず、すでに5年前に生前葬を執り行っていたことは承知していたが、私より若いとは言え、同じ世代が旅立つのは寂しいものである。 合掌

2022年10月1日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

5618.2022年9月30日(金) ロシアの乱暴な国盗り物語

 昨日までロシアが実施していたウクライナ東南部4州の住民投票の結果、ロシアへの帰属を認めるとの投票が約90%だったと言われ、今日ロシア政府はプーチン大統領がウクライナからそれら4州を併合すると宣言し、署名を行った。当然ウクライナはもとより、欧米諸国はこの住民投票を認めず、ロシアを激しく非難している。グテーレス国連事務総長も厳しく非難した。

 そもそもこのようにひとつの国家が他国領土の所属を左右したり、侵略・占領を一方的に宣言するような明らかに国際法に違反する住民投票は、ロシアが行う権利はなく、住民の自由と権利を無視して侵略的である。しかも、テレビ報道で観る限りその住民投票たるや、住民に強圧的な投票を強いて自国へ投票させようとする意図がミエミエである。投票箱にしてもガラス張りで丸見えであり、傍に付きそう怖そうなロシア派兵士の無言の圧力もあり、とても尋常な投票になるとは言えない。

 旧ソ連邦のひとつだった、カザフスタンのトカエフ大統領は、これまで比較的プーチン大統領寄りだと言われていたが、プーチン大統領の今回の手法に賛成しかねる姿勢を示した。ウクライナ侵攻以降、少しずつロシア国内及び旧ソ連邦周辺国の間でも、反プーチン的動きが表面化しつつあるが、この住民投票とロシア国内の予備役組み入れが、一層反プーチン感情に火を点ける懸念がある。

 さて、知人の軍事評論家・小川和久氏が新たに著書を出され、昨日贈っていただいた。これまでの軍事の専門書とは異なり、「『アマゾンおケイ』の肖像」と題して1903年に生を享け、2000年に97歳で往生された母上の波瀾万丈のほぼ20世紀に亙る生涯を400頁近くに亘って綴った生々しいドキュメントのようである。頁をめくったばかりだが、母上のご苦労が思いやられる。写真で見る限り、20世紀を逞しく生き抜かれた女性とは思えないほど、垢抜けた職業婦人らしく生活力のある女性だったようだ。そもそも熊本に生まれながら、13歳の時、叔父・叔母に付いてブラジルに移民として渡り、農園で働き21歳で故国日本へ帰り、その後は上海へ渡ったりアメリカ人との交流を通じながら多忙な生活を送られたようで、これから読むのが大いに楽しみである。

 小川氏とは10年ほど以前に偶々同じ高校の同窓生ということが分り交誼を始めるようになった。同じ高校とはいっても小川氏は、今では廃止された通信課程を卒業された。家庭の事情で中学卒業後自衛隊へ入隊され、数々の体験をされて高校卒業、大学を中退して、今ではNPO理事長、静岡県立大学特任教授として活躍されている。2015年の「南太平洋の剛腕投手」出版記念会にも出席していただいた。大変論理の明快な方で、人格的にも好感の持てる人柄でこれからも長くお付き合いを重ねていきたいと思っている。

 まだ読んでいないが、私の実家があった湘南鵠沼にご親戚か、どなたかの別荘があったとその写真も載っていたので、これからどんなストーリーになるのか興味津々で楽しみにしている。

2022年9月30日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

5617.2022年9月29日(木) 日中国交正常化50周年を迎える。

 1972年北京で田中角栄首相と中国の周恩来首相の間で日中共同声明に調印して日中国交正常化が成立してから、今日はちょうど50周年に当たる。然るに近年両国間の関係は冷え込んだままである。この3年間両国の首脳会談は開かれていないし、今日東京都内で開かれた記念イベントで日中首脳のメッセージは披露されたが、肝心の岸田首相は出席しなかった。

 両国の友好が遠のいた最大の原因は、中国が国際的に覇権主義的な動きを強めて各国との間に国境線を巡る諍いを生じさせていることが大きい。日本近海でも沖縄県の尖閣諸島周辺海域では公船による領海侵入を繰り返したことが、中国への警戒心を呼んでいる。本来なら同じ共産主義を母体にした日本共産党が、いち早く祝賀イベントに加わる筈であるが、2016年あまりにも非共産党的な中国の言動に日本共産党が愛想を尽かして、中国に三行半を突き付けて絶交を言い渡した。

 今日も出版関係の会社を経営していた知り合いから電話をいただいた時、知人はもう少し歩み寄って祝賀を盛り立てた方が良いと言っておられた。

 50年前は日本の国内総生産(GDP)が3,180億㌦だったのに対して、中国はその約1/3の1,136億㌦にしか過ぎなかった。1978年当時副首相だった鄧小平が、「改革開放」を国家目標に掲げて市場経済に舵を切り、以後日本の対中投資が大幅に増え、中国のGDPは10年間で約2倍近くに伸びた。その後中国経済は年々成長を続け、2010年には中国が6兆871億㌦と日本の5兆7,590億㌦を初めて追い越した。その後日本の経済の伸び悩みに比べて中国は成長率が6%(19年)、2.2%(20年)、8.1%(21年)と発展し続けて、2021年のGDPは、17兆4千億㌦となり、日本の13兆3千億㌦を遥かに凌駕してしまった。

 中国は、アメリカに次ぐ経済大国として著しい経済発展により一帯一路という手練手管を弄して、途上国を意のままに操って債権国として君臨している。日本経済界としては日中間の協力により、相互発展の気持ちが強いが、問題が前向きに解決出来ない原因は旧統一教会との腐れ縁もキレない日本の政治家にもある。

 かつて1970年代に中国を訪れた時、中国はまだ発展途上で素朴ながらもそこここに温かい空気が流れていた。バスは日本製の中古バスで、街行く人々は人民服を着て自転車が多く、街中には壁新聞が多く貼られ、公衆トイレは日本では見られないほど非衛生なものだった。それからほぼ四半世紀が経ったころ、中国はすべてが近代化され街の空気は一変していた。しかし、その時何か気持ちが満たされないような妙な苛立たしさを覚えたことがある。人びとの気持ちも温かく、ホテル内でもチップは受け取らず、スタッフの笑顔が優しかった。それが大分変ってしまったのだ。あんな半世紀前の中国が、今や懐かしく感じられる。日本も中国人にとっては、嫌らしい国民になったのだろうか。

2022年9月29日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

5616.2022年9月28日(水) セルビアから一時帰国の友人と語り合う。

 セルビアにいる友人・山崎洋さんが夫人ともども、13日に日本へ一時帰国され、10月末まで日本に滞在しているということで、親しいゼミの友人に声をかけ7人でランチをともにした。久しぶりに打ち解けた会話をして楽しいひと時を過ごすことが出来た。山崎さんとは毎年のように会っていたが、コロナ禍のせいで今日会ったのは、実に3年ぶりである。お互いに傘寿を過ぎたのに皆元気でいられるのは、ラッキーだ。

 いま世界中の話題になっているロシアのウクライナ侵攻について彼とメールのやり取りをしていて、彼はどちらかというとロシアに近い立場にいると思っていた。日本に留まって日本のメディアからの情報だけに頼っている日本人の立場からは、恐らくとても彼の主張は納得出来ないと思う。だが、1999年のNATO軍によるベオグラード空爆で生死の境を潜り抜け、NATOの攻撃を許せないとの憤りを胸に秘めているので、体験者ならではの考えから彼の考えは本心だろうと思っている。論理的にも彼と同じ主張は、日本ではほとんど受け入れられていないが、我々の仲間は、山崎さんの率直な考えを聞いた限りでは理解出来る。

 今回一時帰国の目的のひとつに、来月5日セルビア大使館で開催される、日本とセルビアの友好140周年記念イベントで、彼が作家の夫人ともうひとりの翻訳者との3人でセルビアの著名な詩人、ニェゴシュの詩集を翻訳した経験談を語り合う企画に出席することがある。

 日本の詩人とは少々異なる詩であるが、そのイベントにも参加する予定である。どんな話が聞けるか今から楽しみにしている。

 さて、所属するNPOから定期観光紙今月号が今日送られてきた。今月号は「マルセイユの『石鹸』」というコラムを書き、その冒頭に南仏マルセイユに列車で着いた時、ビートルズのジョン・レノンがその前日に殺されたことを知った。号外を配る駅の雑踏の中でレノンの死を知り、そこでの興奮の雰囲気に重ねて今月号のコラムを書いたのである。1980年12月だからかなり昔のことになる。ところが、偶々今夕の朝日一面にビートルズが1966年に日本公演を行ったことと、警視庁がその幻と思われていた公演をフィルムに撮り、この度開示されることになったとのニュースが大々的に紹介されている。そこには、厳しい制約があったらしい。ビートルズ・ファンのNPO理事長が歴史的映像として警視庁に情報公開を請求した。警視庁からは、そこには一般人の顔が映っているので、ぼかして公開することを求められた。NPOは50年前の映像で個人の識別は出来ないと反論して全面公開を求めて裁判で争った。最終的にビートルズ以外の人物の顔にはモザイクが施されていたという。どうも個人情報に過剰反応して非公開にする例が多いようだ。

 あの日本公演の際の大騒ぎは、今も目に焼き付いているが、気の毒だったのは、メンバーの4人が身の安全のために、ホテルから一歩も外へ出られなかったことだろう。ビートルズの曲の中では、何といっても♪イマジン♪が一番好きだ。いま秘蔵だったフィルムが公開されるに至り話題になっているのもレノンの非凡さと素晴らしい楽曲の故であろう。レノンが亡くなって間もなく42年になる。偶々南仏マルセイユでその訃報に出会ったことに、何か縁のようなものを感じる。

2022年9月28日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

5615.2022年9月27日(火) 反対過半数でも安倍元首相国葬実施

 日本中を賛成・反対の対立に追い込んだ安倍晋三元首相の国葬が、今日日本武道館で4千3百人の参列者の下に午後2時から行われた。元首相が想像もしなかった銃弾によって倒れただけに、数日前から式場周辺には厳重な警戒網が敷かれていた。今日も、その警戒は厳しく蟻の入り込む隙間もないくらいだったが、国会議事堂周辺では国葬に反対するデモが行われ、日比谷公園では反対の集会が開かれていた。

 国葬は、去る19日に行われたエリザベス英女王のケースとどうしても比較してしまう。世界中の人びとが国葬で女王の死を悼んだのに対して、安倍元首相の国葬は国民の過半数が反対という有様である。女王が別れを惜しむ大勢の国民に見送られたのに比べ、式場も重厚なウェストミンスター寺院に比べると、そのスケールや厳かさは比べようもない。それでも武道館の周囲には、献花をする人たちの長い列が続いていたが、これほど多くの人が元首相へ弔意を示したい気持ちがあるとは意外だった。特に九段坂公園の一般の献花台には、当初の時間を繰り上げ9時半から受付、終了時間も当初の4時から5時まで延長され打ち切られたほど、安倍氏の遺影に花を手向け手を合わせる人が多かったようだ。

 遺骨を抱いた昭恵夫人が乗った車が、安倍邸を出て武道館の前に向かったのが、つい先日まで実弟の岸信夫氏が大臣を務めていた防衛省だったのは、何やら意味深だった。元首相が第1次政権で、従来の防衛庁から防衛省に格上げしたことや、第2次政権では安全保障関連法の制定に取り組んだことがあった。更に防衛費予算の拡充の道筋をつけた元首相と防衛省との闇の関係があったからだろう。確かに今日の国葬では、全体的に防衛省が手を貸している場面が多かった。国民の半数以上が反対する中で強行された国葬は、今後課題を残すことになるだろう。

 ところで、先日ほぼ半世紀前にカンボジアのポル・ポト政権が冒した大虐殺事件の裁判に終止符が打たれた。ベトナム戦争末期に起きた異常な事件だけに、当時はそれほど過大に報道されなかった。しかし、その後当時の人口の約1/4に当る170万人が殺戮されたことが判明した。しかし、ポル・ポト政権が倒れた後も内戦が続き、法廷が設置されたのは、四半世紀以上が経ってからだった。裁かれたポル・ポト派の最高幹部5人の内、4人は高齢のため裁判の過程で死亡し、生存者も老齢で裁判の進展は望めず、中途半端な幕引きのような形を取らざるを得なかった。

 この負の置き土産として些か気になるのは、元ポル・ポト派のフン・セン現首相である。すでに首相在位が35年を超え、今も異論を排したり、NGOを弾圧したり、その独裁色は異常である。そのフン・セン首相が、今日安倍元首相の国葬に参列されたのだ。かつてスターリン、毛沢東らの偽共産主義者が、独裁的に権力を握った時期に、対立者を世界史上に残るほど多数虐殺したが、ポル・ポトも同じ道を歩んだ。今その生き残りであるフン・セン首相が揺るぎない独裁者となり、同じ轍を踏まないという保証はない。安倍元首相は、どういう経緯か、このフン・セン首相と馬が合ったようだ。そのフン・セン首相と岸田首相が明日弔問外交ということで会談するようだが、少々気になることである。

2022年9月27日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

5614.2022年9月26日(月) イタリア新首相に極右のメローニ氏

 今日も先日受けた右目白内障手術の術後検査のため、東京医療センターへ出かけた。執刀医師から経過は問題ないとお墨付きをいただいたが、目薬について細かいアドバイスを受けた。術後3か月は毎日3度注すことを忘れないよう言われた。実際手術後、視界が開けすっきりしている。期待はしていたが、これほど効果が上がるとは考えてもいなかった。毎日眼鏡をかけることは必要なくなったし、両耳に補聴器、マスクが負担をかけていたが、眼鏡がなくなったことで鬱陶しさが消えた。視力は高校時代に戻ったので、新たな青春時代の甦りとして、これからもう少し前向きに生活していけるのではないかと考えている。

 さて、ロシアのウクライナ東部の住民投票とロシア国内予備役徴兵のニュースが、ロシアの厳しい現状を炙り出している。やや焦り気味のプーチン大統領が、またもや核戦争を匂わせる発言をして、欧米諸国をけん制している。

 そんな折昨日イタリアで行われた議会選挙で右派政党を中心とする勢力が、上下両院で過半数の議席を獲得する見通しとなった。現状では右派勢力が44%余りを得ているが、中でもジョルジャ・メローニ党首の「イタリアの同盟」が26.45%を獲得し、すでに左派の最大政党「民主党」党首が、事実上の敗北宣言をしており、メローニ党首への首班指名の可能性が高まっている。今日の夕刊では、早くも「イタリア『極右』首相就任へ 初の女性」との見出しが掲載されている。メローニ党首が、次期首相に就任すれば、彼女がかつて「ムッソリーニはよい政治家」と話したり、性的少数者への社会的配慮や権利擁護を否定する主張をしたり、また若いころにはネオナチスト政党に所属していたことなどが右翼的と警戒されている。同時に、極右的な発言から推して第2次大戦後で最右翼の政権を率いる可能性が高いと噂されている。

 そもそもヨーロッパの政情は、近年極端に右寄りになってきた。フランス大統領選では、2度続けてマクロン大統領が、極右のマリーヌ・ルペン氏と接戦を演じている。そして先日行われたスウェーデンの総選挙では、反移民を掲げるスウェーデン民主党が、第2党に躍進している。この流れの中で、メローニ氏も反移民を声高に叫んでいる。心配されるのは、イギリスのEU離脱に続き、イタリアのEU内での主張が軋轢を生む可能性が高まることであり、一枚岩と言われていたEUも早晩壁にぶつかることが懸念される。

 さて、朝日新聞朝刊の連載小説は、現在今年の直木賞作家の今村翔吾氏の「人よ.花よ.」が連載されているが、前作の多和田葉子氏の作品が退屈だっただけに、鎌倉時代の楠木正成・正行父子を描いていて動きが大きくずっと興味深く、今後のストーリーの展開に期待している。その今村は直木賞を受賞したばかりなのに、その行動が何かと話題になっている。最近では、「今村祥吾のまつり『旅』」と称して、滋賀県に住む今村が、全国47都道府県の書店を車で巡っていたが、一昨日24日に118泊119日の旅を終了したとHPに写真入りで報告している。こういう破天荒なことをやるくらいの行動力があるので、小説も面白いわけだ。今村執筆の楠木父子の活躍をこれから楽しみにしている。

2022年9月26日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

5613.2022年9月25日(日) 37歳の平幕玉鷲、昭和以降最年長優勝

 台風15号が昨日東海地方に大きな爪痕を遺して東北へ去って行った。特に静岡県内の被害が大きく、県内11市町で床上浸水があった。当初の予想を上回り、各地で大雨をもたらし、静岡県では僅か半日で平年の9月1か月分を大幅に上回る雨量を観測したという。台風15号は去ったが、また新たな熱帯性低気圧が発生したと伝えられている。

 昨夕仙台で行われたプロ野球・オリックス対楽天戦が雨の中で行われ、楽天のエース田中将大投手が初回打ち込まれて負け投手になり、今季11敗という不名誉な記録となったが、3回ごろには雨も上がり、田中投手は降雨のため試合を遅らせてもらえば、このように打たれることはなかったと大投手らしからぬ恨み節を述べたそうである。明後日27日には、反対の世論の中で安倍晋三元首相の国葬が行われる予定であるが、天候は大丈夫だろうか。

 さて、今日は大相撲秋場所が千秋楽を迎え、平幕の玉鷲が同じ平幕の高安を破り、13勝2敗で21場所ぶり2度目の優勝を遂げて幕を閉じた。37歳10か月で幕内力士最年長の玉鷲は、昭和以降最年長優勝力士となった。それを上回るのは、過去において大正5年に優勝した横綱太刀山の38歳9か月があるくらいである。今場所の優勝争いは、平幕ばかりで、上位陣、特に横綱と大関がまったくだらしがなかった。ひとり横綱の照ノ富士が途中休場し、3人の大関は、ひとり貴景勝を除き、2人が負け越し、その内御嶽海は来場所関脇へ陥落するていたらくだった。流石に相撲協会も恐縮したのか、表彰式の協会挨拶で八角理事長が「横綱の休場、上位陣の成績不振は大変遺憾・・・」と述べていた。話題はあったが、少々物足りない秋場所だった。

 ところで、相撲界特有の表現「金星」という勝星が、いつのまにやら値打ちが下がってしまった。かつては、平幕力士が横綱と初めて対戦して勝利した時に「金星」を獲得したと言われていた。従って2度目の対戦で勝ってもそれは「金星」とは呼ばなかった。ところが、今ではNHKはいつの間にか平幕が横綱に勝てば、すべて金星と称し、結果的に同じ横綱からいくつもの金星を稼いだ平幕力士が現れる始末である。何と「金星」の大安売りである。特に、この秋場所には、次のように首を傾げる場面があった。それは9日目に横綱照ノ富士を平幕高安が破った時のことである。実況アナが「高安!金星!」とまるで高安が鬼の首でも取ったかのような大げさな表現をしていた。しかし、考えてみるに、高安は今でこそ平幕力士の地位に甘んじているが、かつては大関として活躍し、大関高安に平幕照ノ富士という今とは逆の立場にいた時期もあった。両力士の対戦成績も、高安が13勝12敗で上回っている。これで平幕高安が横綱照ノ富士を破ったとしても白星を「金星!」「金星!」と大騒ぎすることが、果たして意に適っていることかどうかは極めて疑問だと思う。かつてのように「金星」とは、平幕力士が初対面で横綱を破るようなまさに大番狂わせ?が起きた時にこそ使われるに適した言葉だと思う。その方がよほど似つかわしいと思う。NHKはどう思っているのか分からないが、元の解釈へ戻すべきだろう。

 今日はプロ野球セ・リーグでヤクルト・スワローズが昨年に続き、連覇を達成したというおめでたいニュースを知った。ヤクルト・ファンではないが、まずは祝意を表したいと思う。

2022年9月25日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

5612.2022年9月24日(土) ロシアの2つの退勢の現れ

 ウクライナへ侵攻したロシア軍の旗色が最近パッとしない。東部ドンパス地方で奪った地域をウクライナ軍に奪回され、死傷者も増えているようだ。そこで、プーチン大統領は2つの荒っぽい決断をした。

 ひとつは、ロシア軍の予備役の動員である。21日プーチン大統領は国内向けのビデオ演説で部分的な動員令の発動を宣言し、軍務経験のある予備役約30万人を段階的に軍に招集するという。ロシアとウクライナの軍事力の比較では、ロシアが圧倒している。ロシア軍は290万人の兵士を抱えており、その内90万人が現役である。その現役兵がやや不足気味になり、予備役200万人のうち30万人を現役に組み入れるというから、いかに劣勢に陥っているか想像がつく。これには市民から悲嘆の声が上がっている。この宣言が発令されてから、ブルガリアやセルビアなどロシアへの制裁に同調しない国へ、ロシアから逃げ出すロシア国民が目立っている。このまま戦争が長引けば、早晩第2の予備役招集もあり得る。唐突に入隊と聞いて逃げ出す予備役が出るのも止むを得まい。一方のウクライナ軍は、兵士110万人で、現役兵は20万人弱である。その数少ないウクライナ軍に圧倒されているのは、ウクライナが不足している兵力を補う兵器類の支援を欧米から受けているからに他ならない。

 もうひとつのプーチンの荒業は、ロシアが23日占領地で住民投票を開始したことである。ウクライナ東部、南部の親ロシア派勢力は「ロシアへの編入」を問う住民投票を始めた。23日からは投票者が兵士の監視付で投票所へ行くことであり、実際に住民が自分の意思で投票所へ足を向けられるのは27日だけである。これによってロシアは賛成多数の結果を得て、一方的にウクライナ領土の併合を宣言しようとしている。茶番である。ただ、どの地域でも戦闘が続いており、ロシア軍の占領下に不透明な形で進められる投票には非難が集中している。そもそもロシアが主導的に投票を行うというのではなく、形式的には親ロシア派住民が住民投票を実施する形を取っている。それをプーチン大統領は住民の決定を支持すると言い、形だけの選挙を繕っているだけである。まぁロシア併合にどれだけの賛同が得られるのか、興味はあるが・・・。

 数はまだ少ないが、当然のようにロシア国内でもプーチン政権の乱暴な政策に対して抗議のデモが頻発している。これを治安当局は鎮圧している。この2つの事案の実施は、ウクライナにとっても厳しいことであるが、それ以上にロシアにとっては退勢を露骨に曝け出すことになるのではないだろうか。

 このような緊迫した中で国連安保理事会は、22日閣僚級会議を開いたが、予想通りロシアとウクライナの非難合戦となった。ロシアのラブロフ外相は、ロシアへの編入住民投票については、ウクライナ政府による親ロシア市民への弾圧が原因だと主張した。これに対してウクライナのクレバ外相は、ロシアは犯罪を隠蔽しており、ロシアの犯罪は侵略がなければ起きておらず、ロシアは犯罪行為の代償を払うべきだと反論した。

 現状は、両軍の戦闘が進むばかりで、一向に明るい兆しは見えてこない。ただ、冬が厳しい両国にとって、これから更に辛い現実を迎えることになる。実際ウクライナでは、このところ夜は10℃を下回り、家屋が破壊され、ガスもなくなったところでは、とても生活を営んでいくことは難しい。厳冬期を前に両国はいかなる手段を講じるのだろうか。

2022年9月24日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

5611.2022年9月23日(金) 政府・日銀、円安相場へ為替介入

 今日は秋分の日に当たり祭日であるが、またもや南方に発生した台風15号の影響で、東海地方には線状降水帯が発生したという。今日からの3連休は、前週の3連休と同様に天候が優れないようだ。

 昨日長男の長男である初孫が、夜遅くなってからやって来て泊まり、今日妻と3人で自由が丘で昼食をともにした。大学4年生の孫は、つい先日第1希望の会社へ入社が内定し、昨日は千葉市内にある会社の工場見学会があり奈良の自宅へ帰る途中に立ち寄ったものである。

 やや性格的に大人しいが、真面目な性格で、希望していた物流の大手企業でもあり、張り合いがあるだろうから頑張れと力づけてやった。同じ経済学を専攻した先輩として、経済学部生である孫に卒論など多少アドバイスをしてあげた。入社後は遠隔地に勤務する可能性が高いようだが、本人がその点は気にもしていなかったので、頼もしく思っている。

 さて、懸案の円安相場について、アメリカの連邦準備制度理事会(FRB)が、一昨日アメリカ国内での物価高騰への対策として0.75%の追加利上げを決定した動きに対して、政府・日銀もついに腰を上げ、円安ドル高に歯止めをかけるべく為替介入を実施した。為替介入としては、2011年11月以来10年10か月ぶりであり、ドル売り円買い介入に限れば、実に24年3か月ぶりである。この為替介入により、一時145円台後半にまで進んだ円安が、140円台前半まで円高になった。

 為替介入は、今日まで円安相場に対して日銀が何らの具体的な手も打たなかった結果、円安が加速され、ついに金融当局は追い込まれて苦し紛れに打った決定的な手段だったと思う。

 しかし、理解し難いのは、何故に昨日までこの数か月に亙る円安市場を「事態を注意深く見守りたい」の一点張りで、具体的な一手を打たなかったのかということである。その間に円安が進み、諸物価値上がりの結果をもたらした。FRBは、アメリカ国内の物価高を抑えるため、異例にも通常の利上げ幅である0.25%の3倍という大幅な利上げを3回連続で決めたほどである。また、日銀と同様に金融緩和策である「マイナス金利」を導入していたスイス中央銀行も昨日利上げを決め、マイナス金利から脱した。イギリス中央銀行のイングランド銀行でも、昨日日銀にとっては恨めしいような7回連続の利上げを決めた。結果的に主要国でマイナス金利政策を取っているのは、日本だけになってしまった。

 あまりの円安による輸入価格の高騰に、国内市場は軒並み値上げブームである。この円安を見て見ぬふりをしていた、日銀当局と財務省は事ここに至った事態をどう考えているのだろうか。最大の責任は、事態の推移を注視していると言いながら打つ手を探しあぐねていた財務省当局にあると思う。経済のカラクリが理解出来ず、いつも傍観者的言葉しか発しなかった鈴木俊一財務相には、いかに父親が鈴木善幸元首相で政治家の家系とは言え、国民の懐具合の舵取りを任せるには、少々荷が重いような気がする。こういう閣僚人事を行った岸田首相だからこそ、支持率も低下したのではないかとつい勘繰ってしまう。

2022年9月23日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com