3576.2017年2月26日(日) ついに言論弾圧をやったトランプ大統領

 トラブル続きと言おうか、もめ事満載と言おうか、トランプ大統領の言動に反発する人々の憤りを込めた行動がクローズアップされている。オバマ政権時代に実現した心身の調和がとり難いトランスジェンダーの生徒らを保護する通達を、トランプ政権が撤回したことに対して抗議する集会がグリニッチビレッジで開かれた。抗議する人々は、オバマ前大統領のように寛容を説く大統領が当たり前だと思っていたが、トランプ大統領になってイスラム教徒ら少数派への憎悪が公然となったと語り、たった1回の選挙で社会の雰囲気がこんなに変わったことが恐ろしいと述べていた。同じく移民対策についてビバリーヒルズで映画俳優らが反対する集会を開いた。著名な女優ジョディ・フォスターさんは「移民を追い出すことは人間の尊厳への攻撃」と厳しく非難し、徐々に反トランプへの火の手が燃え上がりつつある。だが、反対が強まる一方で、トランプ支持派の数がそれほど衰えないことも事実であり、このまま時が経つとアメリカ社会は分断の傾向が強まっていくことは間違いないと思う。

 そんな折も折トランプ大統領が言論の封鎖、というか言論の弾圧をやってのけた。政権に批判的な報道陣を取材の場から閉め出し、好意的な報道機関と見られたメディアだけを選んで取材に応じた。閉め出されたメディアは、大手ではニューヨーク・タイムズ紙、CNNテレビ、イギリスのBBC、ディリーメール紙などの他、日本取材班も閉め出された。参加を認められたのは、ウォールストリート・ジャーナル紙、FOXテレビなどがあるが、良心的なタイム誌やAP通信などは取材を認められたが、会見に参加することを辞退した。

 かつてわが国でも佐藤栄作首相が報道関係者の一人もいないテレビ記者会見を行ったのを偶々テレビで観たことがある。あの時記者会見場が始まる前は満席だった。佐藤首相は、冒頭の発言でテレビはそのまま発言を伝えてくれるが、新聞は嘘をつくから嫌いだ。できればテレビだけに伝えたいというようなニュアンスのことを述べた。その時最前列に座っていた当時毎日新聞政治記者だった岸井成格氏が、全新聞記者を代表してそれでは出ましょうかと全員に声をかけ賛同した記者たちがその場から全員退場し、首相がただひとりでマイクに向かって話す奇妙な独り芝居が始まった。トランプ大統領と佐藤首相は、報道陣嫌いをこのように同じ形で演出した。

 しかし、こんな形で政権が大事な国家の政策を伝える先兵の役割を果たすメディアと対立したまま事態が進むのは、お互いどころか、アメリカ合衆国にとって、また全世界にとっても大きな不幸であり、マイナスである。トランプ大統領は頑固でそう簡単に持論を変えるとは思えない。するとこのまま事態は推移するのか。それを考えるとぞっとする。

2017年2月26日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com