3566.2017年2月16日(木) トランプ大統領がまた問題発言

 またトランプ騒動発生である。トランプ大統領が訪米中のイスラエルのネタニャフ首相と会談して、1993年オスロ合意で決まったパレスチナ暫定自治国を否定するような考えを示した。翌94年ヨルダン川西岸とガザ地区の2つの地域に分かれている同自治国は「パレスチナ」という国名に変わった。ところが世界で136ヶ国がパレスチナを承認している中で、日本政府は未だに承認していないため、パレスチナとは呼ばずにパレスチナ暫定自治政府、或いはパレスチナ暫定自治区と呼んでいる。

 何が問題かと言えば、1993年以来承認していたイスラエルとパレスチナが平和的に共存するポリシーを、トランプ大統領は2国家共存、或いは1つの国家のどちらを選択するかを2つの当事国へ任せるとの考えを提案したのだ。仮にどちらかが1つの国家政策に固執すれば、現在の状態を維持することは出来ない。これはイスラエルの望むところであり、逆にパレスチナとしてはとても容認出来るものではない。両国の間の紛争を堰き止めていた垣根を取り払うことを意味し、下手をすると再び両国の利己的な考えで戦闘が起こりかねないということである。

 20年以上に亘り紛争を止めていた取り決めを、アメリカは軽はずみにもイスラエルとパレスチナ双方の考え次第では停止しても好いと、安易にお墨付きを与えたのである。これはアメリカ政府の中東政策の転換を物語るものであり、アメリカのイスラエル寄りと保守化を一層際立たせるものである。

 5年前にイスラエル、及びパレスチナを訪れたが、その時の境界線は普通の国の国境線とは些か違っていた。外見上は2つの国に大きな違いは見られない。車でエルサレムからパレスチナへ入国したが、その際車とドライバーが代わったことと、その周辺ではカメラ撮影が許されなかったことぐらいである。仮にトランプ大統領の言う通り推移すると、外見上違いが見られない現状が内的には大きな国境という障害物が生まれる。

 しかもトランプ大統領は一方的にアメリカ大使館を首都テルアビブからエルサレムに移転しようとまで考えている。敢えて問題を引き起こそうと考えているとしか思えない。これでは、アメリカが世界の安定と平和を壊すことに繋がりかねないのではないだろうか。やはりじゃじゃ馬トランプ大統領の言動をよほど注意深く見ていなければならない。残念ながら、トランプ大統領にすっかり丸め込まれたような安倍首相の言動からは、そういう危機感がまったく感じられない。これも気が抜けないことで要注意だ。

2017年2月16日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com