一昨日フィリピンのドゥテルテ大統領が2泊3日のスケジュールを終えて帰国した。残念ながら三笠宮殿下薨去により喪に服した天皇・皇后両陛下との会見はならなかった。帰国後ダバオ空港での記者会見で国際的に物議を醸している暴言について今後はやめると述べた。暴言が過ぎるが、これがこの人のこの人らしいところでもある。果たして二枚舌の大統領が約束通り今後暴言を吐くことをやめることができるだろうか。
大統領は今まで過激な発言を繰り返してきたが、機中で眠っている時に突然神からお告げがあって、「口汚い言葉をやめないと飛行機を落とすぞ」と聞こえ、「今後悪態はつかないと約束した。神への誓いはフィリピン国民への誓いだ」と神妙に述べた。この冗談っぽい話もしたたかな暴言将軍らしい。とにかくこれほど派手な話題をまき散らす大統領は古今東西世界でも珍しい。
訪日前に中国を訪れた大統領は、習近平・国家主席ら中国首脳を前に、「アメリカとは別れた。軍事的にも、経済的にも」と述べて、アメリカ国務省を驚かせて、担当官が大統領発言の真意について説明を求めると、アメリカとの関係を絶つつもりはなく、交渉の仕方を変えるという意味だと詭弁を弄した。これまでアメリカへの悪口とオバマ大統領を侮辱するような発言が繰り返され、アメリカ国務省も相当不愉快に感じている筈である。特にオバマ大統領に対して「売春婦の息子」とか、「オバマは地獄へ行け」とか、およそ国を代表する大統領が他国の大統領に向かって言ってはならないことを平気で言い、習主席との会談ではチューインガムを口にしながらしゃべるような不作法な人物である。
それにしても人騒がせな御仁で、前キリノ政権時代の閣僚も大統領の発言は理解に苦しむとその言動に呆れている。実際前政権時代にアメリカ軍のフィリピン駐留について合意したばかりなのに、2年以内にアメリカ軍は撤退せよと益々反米トーンは高まるばかりである。
今後このドゥテルテ大統領と付き合っていくのは、容易なことではないと思う。その点では、日本に滞在中大統領が親日的であることもあって日比関係に支障が生じるような発言はなかった。今回の訪日を通して今後も引き続き友好的な外交関係を維持していくことが確認されたように思う。それでいながらアメリカとの関係が冷え込むことを心配して、昨朝の日経紙社説では日米・米比両同盟の重要性を再認識したことを踏まえて、日本はアメリカとフィリピンの間合いを狭めるよう努めるべきだと提言している。どうも現時点では、大統領の発言にどうコメントしようにも腫物に触るようで、真の外交交渉ができるかどうか、先行きが心配である。
さて、プロ野球今シーズン最後の試合、日本シリーズ第6戦が広島マツダスタジアムで行われ、北海道日本ハム・ファイターズが広島カープを破り、4勝2敗で今年のチャンピオン・チームとなった。2連敗の後、4連勝して見事敵地広島でセ・リーグの覇者広島を降した。ファイターズの日本一は10年ぶり3度目のことである。
あまり面白くなかった今年のプロ野球はこれですべて終わった。今日を最後にファイターズの武田勝投手とカープの黒田博樹投手が現役引退することになった。日米プロ野球界で200勝を挙げた黒田投手としては最後に勝って球界を去りたかったことだろう。2人の元エースにご苦労さまと言ってあげたい。