昨日妻と南青山にある岡本太郎記念館見学中に、妻が二男の嫁から東京で停電が発生しているニュースを目にしたが、影響はないですかと心配そうにスマホで尋ねられた。停電自体をあまり気にしていなかったところ、記念館を出てゼミの先輩と同期生夫婦らとイタリアン・レストランに集まっていた時、ある先輩から山手線が停電で動かなくなってしまったので、食事に遅れると連絡があった。それでもそれほどの大事とも思っていなかったところ、帰宅してテレビで大騒ぎになっているのを知った。
今朝の新聞のトップ記事に「東京 大規模停電」とあり、埼玉県新座市内の地下に設置された電力ケーブルが漏電から火災が発生したことが原因で、約1時間に亘り58万所帯以上が停電となり、交通機関にも乱れが出たと書かれていた。一時霞が関の中央官庁街のビルからも電気が消えて真っ暗になったというから、こんなことが度々起きては困る。今までこのような大停電事故は知らないが、国家的事業でも開催中だったら大変なことになっていたかも知れない。
ついては、岡本太郎記念館には一度行ってみたいと思っていたので、昨日偶々近くのイタリアン・レストランへ行く機会があったので、その前に初めて覗いてみた。旧私邸を改造して私的に公開の場所にしたため、それほど広いスペースではないが、いかにも太郎作品と思われる彫刻品が館内と庭園に置かれていた。喫茶店も経営されていたので、コーヒーをいただきながら館員の方と太郎さんに関わる話をしてみた。妻の父が、慶応幼稚舎から普通部まで竹馬の友として終生懇意にしていただいた。大阪万博の太陽の塔の制作に当たって、岳父が会長を務めていた日本軽金属㈱のアルミ製品を使用してもらったと岳父から聞いていた。同期生仲間には、歌手の藤山一郎さん、作家の野口富士男さんもいて、岳父は幼稚舎仲良し4人組としてメディアでも紹介された。面白いことに、この4人でそのまま大学まで進んだのは岳父1人だけだった。
幸い大正13年幼稚舎を卒業した時の記念アルバムが義兄の手元にあり、そのコピー写真があるので、これを近い内にお届けしましょうと係員に約束したら随分恐縮しておられた。多分岡本家には卒業アルバムは残されていないと思うので、ご覧になれば喜ばれるのではないかと思う。出来るだけ早い機会にお届けしようと思っている。
さて、夜になって電撃的に2つのニュースが入った。ひとつは、タイのプミポン国王が亡くなられたというニュースだった。その1時間前のニュースで容体が大分悪く入院先の病院内でご回復をお祈りする国民の姿をうつしていたばかりだった。在位70年という在位期間が世界で最も長い国王だった。タイに行けばどこかで必ず国王の写真を目にしたものだ。タイ国民もきっと深い悲しみに包まれ喪に服すことだろう。享年88歳だった。
2つ目は、今年のノーベル文学賞受賞者は、期待された村上春樹ではなく、アメリカのシンガーソングライターのボブ・ディランだった。私より3歳若いが、まさか歌手が文学賞、それも最高峰のノーベル文学賞を受賞するとは驚きである。♪風に吹かれて♪がよく知られているが、歌はベトナム戦争、公民権運動を背景にして唄われ、訴求力と大きな影響力を持っていたので、歌詞もそれなりに文学性があり格調も高いのだろう。村上ファンにとっては今年も期待を裏切られたが、村上氏の表現方がディランのそれと似ている節もあるようなので、来年に期待したいと言っていたファンもいた。来年こそはそうあってほしいものである。