147.2007年10月8日(月) プロ野球界はペナントレースを重視せよ!

 米メジャーリーグのポスト・シーズン、第一次地区シリーズが始まった。この後にリーグ優勝決定戦を経て、ワールドシリーズへ移行する。このメジャーリーグを真似て、日本のプロ野球界も今年から制度だけは、擬似メジャーリーグとなり、今日からパ・リーグのクライマックス・シリーズが、千葉ロッテ・オリオンズと福岡ソフトバンク・ホークスの間で始まった。

 今朝の朝日新聞に懐かしくも、高校、大学の先輩である佐々木信也さんがインタビューに応えていた。佐々木さんはこのクライマックス・シリーズを、カネ儲けのためであると断言していた。米大リーグですら識者やファンの間から、同じように金権野球との批判的な声が挙がっている。どうも人気下り坂の日本のプロ野球界が、考え出した究極の打開策の一環であるらしい。従来のセ・パ両リーグの優勝チームが日本一を争う前に、リーグ優勝チーム以外のチームにも日本一になるチャンスを与えようとの親心?か、否、打ち出の小槌である。

 まあ、それはそれで良いかも知れないが、ならば半年間かけて戦う選手たちの、その年のペナントレースの目的と意味は一体何だろうか。また、一年間戦い抜いて勝ち得たリーグ優勝の栄誉や、喜び、やりがいのような重みとか価値は、何だろうか。これでは、リーグ優勝の価値は確実に低下するばかりではないか。

 メジャーリーグのポスト・シーズンの場合、地区で優勝出来なかったチームが、リーグ内の3つの地区優勝チームとともに、4つのチームでリーグの覇権を争う。つまり、地区で2位に甘んじたチームは、地区優勝した3つのチームとリーグ優勝を争う敗者復活の機会がある。この事実は、2/8の確率で地区2位のチームがワールドシリーズで優勝出来るチャンスが転がり込んでくる。その優勝の可能性は25%である。

 では、日本のプロ野球の場合はどうか。途中の過程に若干の条件はあるが、実に4/6の確率で優勝チーム以外のチームが日本一になる可能性が残されている。つまり、7割近くの高い確率で、敗者復活から勝ち上がって日本一になることが出来るのである。

 これは、一年間を通してコンスタントに力を発揮してチーム全体で勝利を勝ち得ることより、確実に優勝出来る実力がなくても、瞬間風速的に力を発揮出来る、そこそこの実力と幸運さえすれば、最優秀チームの栄冠を授与されるというもので、なぜか割り切れない。

 こういう制度は、目前の目標に向かって全力投球することより、様子見で力を発揮する、ずるいタイプの人間を増殖するムードを醸成することにつながるのではないか。カネ儲けにはなっても、手抜きプレイとか、適当にほどほどとか、向上心を育成する点ではむしろマイナスに作用しないか。突き詰めれば、スポーツの精神に反するのではないかと考えてしまう。

 こんな制度を採り入れる「試合よりカネ」亡者の、お偉いさんであるコミッショナーや、両リーグの会長はほとんどペナントレースを観戦に来ないと、佐々木さんも指摘している。ここにも現場を軽視する「偉い人」がいる。プロ野球もこんな「偉い人」に頼り、ピントの外れていることばかり考えていると、ますます斜陽スポーツに堕落してしまうと思うのだが・・・。

 まあ、しかし、もう少し気楽に考えるとするか。所詮、たかがプロ野球ではないか。

2007年10月8日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com