239.2008年1月8日(火) 法の目をかいくぐる政治家の錬金術

 長い間お世話になった方がまた亡くなられた。北九州市小倉にお住まいの折田夫實子さまのご遺族から、昨年12月にお亡くなりになったとのご挨拶状をいただいた。旧蝋いつも通りお歳暮をお贈りしたところ、折田さまからもお返しをいただいた。しかし、いつも手紙のやりとりがあったのに、今回はそれがなかった。それからまもなくして亡くなられたことになる。今年確か米寿ではないかと思う。このところややお疲れ気味で文通も途絶え、いただいた手紙の文面も乱れがちだったので、もしかしたらと健康状態を心配していた矢先だった。

 折田さまは日赤病院のご出身で、大東亜戦争下にビルマへ従軍看護婦として派遣され、厳しい戦地の体験をお持ちである。戦時中折田さまが勤務しておられた、ラングーンの元兵站病院(現ヤンゴン大学)、同じくモールメンの兵站病院跡へも戦没者の慰霊でご一緒したことがある。何度も一緒にビルマへ行ったが、もう慰霊巡拝の役目は充分果たしたのでこれ以上は結構というところで、お気持ちを切り替えられ欧米への観光旅行へ行かれるようになった。折田さまの海外旅行にはいつもご一緒させていただいた。多分20回ほどお供したと思う。国立東京第2病院(現国立東京医療センター)看護部長のころにも、顧客の救急関係でしばしば助けていただいて、ご恩は尽きない。存じ上げている方々が段々亡くなって寂しくなるが、いままた一番親しくしていただいた折田さまも他界されて、一段と寂しさがこみ上げてくる。折田さまのご冥福を心よりお祈り致したい。

 さて、国から補助金を受けた企業・団体が、自民党の政治資金団体「国民政治協会」に巨額の献金をしている。どうしてこういうふざけたことが出来るのだろうか。政治家の腹黒さが見え見えではないか。勘ぐれば、自民党は企業にキックバック織り込み済みで関係省庁へ圧力をかけ補助金を出させ、一部を自らに還流させていることになる。

 政治資金規正法では、国から補助金交付決定通知を受けた法人が一年以内に政治献金することを「原則」禁止している。これは、献金は基本的に認めないということだ。政治家の悪賢いのは、これをどうやってカムフラージュしながら法律の網をかいくぐるかということに注力している。法律に「原則」条項を書き込み、原則外で法律をごまかそうとしている。さらに、「例外」規定を設け、常識的には当たり前のことを「例外」と見做そうとしている。もっと悪質なのは、期限付きのものに期限が過ぎたうえで運用しようとする巧妙な手口である。かくして、資金が枯渇すると与党自民党は、法律を作り、「原則」でごまかし、「例外」で処理し、「期限内」を期限外で運用して、法人経由で国民の税金を吸い取る。これに、政治家べったりの官僚が、規制を甘くして適法と言い、監督官庁の総務省は「例外の解釈が難しい」と逃げる。かくして、税金はどんどこどんどこ政治家へ還流されていく。

 これは何も与党自民党だけに留まらない。野党民主党だって12社から計1,039万円の献金を受けている。民主党は法律違反なら返金するなどとたわけたことを抜かしているが、所詮自民党と同じ穴のムジナであることを露呈したに過ぎない。どいつもこいつも根性が腐りきっている。

 6日付朝日朝刊によれば、抜け道はいくらでもあるようで、現金の献金に制約のあるJAのような団体のごときは、「寄付出来ないのでパーティ券を購入した」と広言している。06年には、補助金を受けた109の団体・企業から合計8億円近い献金があった。専門家は、強制力を持つ法整備やチェック機関の設置が必要とか、補助金を受けた企業は団体に対し、例外を設けず政治献金を禁止すべきだと述べているが、一の矢がダメなら二の矢を放つ、転んでもタダでは起きない政治家がこの程度の抵抗でおとなしくなるとも思えない。そもそも政治家なんて、もともと人間離れしているのだから。

2008年1月8日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com