266.2008年2月4日(月) 地球温暖化は雲のせい?

 月刊「選択」2月号の巻頭インタビューで、地球変動や惑星科学の分野で業績を挙げ60歳前であるが、紫綬褒章も受章されている、東京工業大学教授・丸山茂徳博士が「二酸化炭素温暖化主犯説に物申す」と突然これまでの世の通説や常識を覆すような反論を展開している。いまになって基本的に二酸化炭素と温暖化は切り離して考えるべきだというのが博士の言い分だ。

 この百年間は温暖化傾向にあったが、これは0.5℃に過ぎず、歴史上異常とは言えないという。1940年から80年に気温は下降しており二酸化炭素主犯説は間違っていると言う。数字の根拠は部外者には分からないが、博士はこうも言っている。「大気の気温を決める最大の要因は雲にあり、雲が1%多ければ気温は1℃下がる」。つまり雲の量を調整できればよいと考えている。あとは専門的な言葉の羅列になり、素人には理解出来ない。

 しかし、こんな大発想を突然しゃべられても困る。二酸化炭素の排出による地球温暖化はすでに国際的にも定着したテーマであり、科学的にも証明されていたのではなかったか。気がかりなのは、こんな大事な学説をいとも簡単に個人的に主張されて、それが正当であるかのごとく丸山説が一人歩きをしてしまわないかということだ。それでも丸山説が正しいならまだ良い。だが、それにしても学者の中で議論を発展させたうえで、大方の意見がそうだと納得したのなら受け入れることは出来るが、「選択」誌編集長のインタビューに応える形で、これまで耳にしたこともない異論を発表されることは、これまでの地球温暖化説に異を唱えるもので、ただ世間を混乱させるだけではないだろうか。丸山教授はその辺りをどうお考えになっておられるのだろうか。

 われわれは、これまで地球温暖化は二酸化炭素の排出量が増えたせいだと思い込まされてきた。それが、突如一雑誌のインタビューに応える形て従来の定説に反する持論を発表することは、一般人を当惑させるだけであり、今後の地球環境行政にも多大な影響を及ぼすものと思う。

 まずは、学会内で意見を一本化したうえで、改めて世間に正しい説を発表していただきたいものである。

2008年2月4日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com