3日前の夜、韓国ソウル市内の中心にある韓国歴史建造物の象徴的存在だった南大門が放火により焼失した。南大門は韓国国宝第1号で、消火作業の近くで心配そうに見つめる韓国人が焼け落ちた瞬間、泣き崩れるシーンが放映され、身につまされた。その前を何度か通ったことがあり、また韓国人のプライドでもあることを知っていただけに彼らの気持ちが痛いほどよく分かる。
600年前に建造されたこの木造建築物は、いまも韓国の人々にとっては大切な文化財であり、国民の心のよりどころであっただけに惜しみても余りある。1950年に日本でも同じように、金閣寺が修行僧の放火によって焼失した。いずれも同時代の貴重な建造物だった。ただ、どうも解せないのは、これだけ大切なものがどうしてこんなに警備の手が薄く、簡単にホームレスが入り込み、放火されてしまうのか。なぜ防火用のスプリンクラーも設置されていなかったのか分からない。それに、消防と文化財保護担当者との縄張り争いのような両者の間に齟齬を来たしていたような憶測もあり、消火活動がスムーズに出来なかった点も指摘されている。それにしてもやはり管理が甘かったとしか言いようがない。消防士も悔し涙を流しながら、消火出来なかったことも悔しいが、国宝を失ったことがもっと悔しいと話していた。元ソウル市長で、次期韓国大統領の李明博氏も早速現地を訪れた。再建されるとのことだが、所詮本物ではない。同じところに同じ形をした、同じデザインの建物が建ってもそれは、はっきり言って偽物である。一旦失ったものは大きい。そして、永久に帰ってこない。国宝や重要文化財を管理する人は、こういうことも念頭に本腰を入れて防止策を講じて欲しいと思う。
さて、昨日検察長官会同において、鳩山邦夫法相がまた呆れた発言をした。昨年鹿児島県警の捜査手法が冤罪だったとの決着がついていた事案を、蒸し返して冤罪と呼ぶべきではないと考えているというような発言をして、当事者、常識人を怒らせ、世間を呆れさせている。これほど失言・放言を繰り返す大臣、しかも法の番人である法務大臣はそう滅多にいない。大臣としてのセンス、資格がないし、本来大臣になってはいけない人だったのだ。つい最近も友人の友人はアルカイダだどととぼけた発言をして世間の顰蹙を買ったばかりである。
現行の死刑制度についても、刑が確定したら自動的に刑を執行出来ないかと不謹慎な発言もしている。この人は苦労をまったく知らず、世の中のことが全然分かっていない。こういう人がトップにいる法務官僚もたまったものではない。もっと頭にきているのは、国民である。親から「選挙で当選する印籠」を世襲しただけの世襲議員はこれだから困る。いつも騒ぎを起すのは、世襲議員ばかりではないか。こんな放言・失言癖のある人は、また近いうちに放言をやりかねない。安倍首相に任命されたからといって、そのまま引き継いだ福田首相の任命権者としての責任が問われないわけではない。福田首相は一日も早く鳩山法相を罷免すべきである。