278.2008年2月16日(土) 学習指導要領の改定

 文部科学省が、学習指導要領を改定する。09年度から段階的に移行して、小学校が11年度、中学校が12年度から全面実施する。「ゆとり教育」に対する懐疑的な声がかなり出ていたうえに、国際的にも日本の児童・生徒の学力低下がはっきりしてきたので、改定には大きな反対はないようだ。

 しかし、「ゆとり教育」が問題ありとするなら、当然精査して、まず不十分な箇所を補う方策を考えてみるのが、教育のような地道なアイテムにとっては最も大切ではないだろうか。徹底的に議論を重ね、時間をかけて解決していくことこそが、教育には大切だと思うが、ダメと断定してばっさり切ってしまう点は、とかく優柔不断の日本人にしては珍しい。これでは「ゆとり教育」は何だったのかということになる。少なくとも「ゆとり教育」が検討され、それを取り入れるために充分分析され、そのうえで新しい道へスタートしたはずだった。それを草木もなびくが如く、すべてアンチ「ゆとり教育」というのでは、徒に時間を浪費していただけだったということになる。現場の教師や、生徒のことを考えずに、統計結果だけを捉えて概念的に決めてしまうやり方は、どうだろうか? あれだけ「ゆとり教育」を大騒ぎして鳴り物入りでスタートさせていながら、10年足らずで方針転換だから、現場に関わっている教育者が一番苦労されるのではないだろうか。

 今度の改定では、授業時間数が確実に増える。特に、理数系の授業が大幅に増える。しかし、教師の数は充足されているのか。文系ならともかく理数系の教師の養成が大丈夫なのか、おいそれと充足出来るとも思えない。すると、従来の理数系の教師に負担がかかることになる。「ゆとり教育」で評判のよくなかった「総合的な学習」は、すでに授業時間数が減らされているらしい。授業時間が増える分は、「総合的な学習」が削られるようだ。

 そのほかには、数学で3.14を条件付きながら、3.1として計算してもよいなどと馬鹿げたことを言っていたが、案の定今後は再び3.14でなければならないということになった。

 最大の問題は、表向きでは教育は最も大切と言っておきながら、本音としては金を稼がない文部行政は、政治家からは最も軽視されている。すべて文部官僚に任せ、事が起こればポーズとして動く。それが証拠には、一番長期的な戦略が求められる仕事であるにも関わらず、結論だけは短期的な即決を求めていることからもみてとれる。

2008年2月16日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com