いつもなら日比谷の東京會舘で開かれる日本ペンクラブの月例会が、今月はペンの年間行事の一環として「世界P.E.N.フォーラム『災害と文化』」前夜祭を兼ねて、新宿・京王プラザホテルで開催された。件のフォーラムは明日から4日間代々木の全労済ホールで、自然災害に関係する劇、映画、各種の催しが行われる。各国からのゲストも参加した前夜祭は、江戸火消組による木遣りがあって中々威勢のいいものだった。ペンとしても力を入れ、意気込みのほどが感じられる。ただ、挨拶者が多いことと、スピーチが長いのでもう少し参会者の年齢等も考慮して端折るなり、カットするなりした方がよいと思う。実際会場でもそんな声が聞かれた。開会が午後6時で、セレモニーが延々1時間も続いていたのは少々興ざめである。
小中陽太郎さんは無理しても来るとメール連絡をいただいていたが、姿を見せなかった。いま小田実さんについて書いておられるとのことだったので、忙しいのだと思う。阿刀田高会長、浅田次郎常務理事にはご挨拶したが、昨年週刊誌上で読んだ、浅田さんがモン・サン・ミッシェルで会った日本人若者カップルについて書かれたエッセイに関して尋ねてみた。
モン・サン・ミッシェルのテッペンは中庭と回廊から成っているが、浅田さんが若いカップルからカメラのシャッターを押して欲しいと頼まれ、気安く引き受けたが、彼らが浅田さんだとはまったく気がつかなかったという。浅田さんにとってはそれが不満で愕然とされた。それを面白おかしく浅田さんはエッセイに書かれた。今日浅田さんに「彼らは分からなかったんでしょうかねぇ?」と、意地の悪い質問をしたところ、本気になって「本なんか読んでないんでしょう」と憮然としていた。それが失礼ながらまた面白い。程度が低い近頃の若者なんて所詮そんなものだろう。
さて、一昨日明け方房総半島沖合いで、漁船が海上自衛隊イージス艦「あたご」と衝突して船体が真っ二つに割れ、乗り込んでいた父子が行方不明となった。防衛省、海上自衛隊の説明が明快でなく、疑念の目で見られている。今後相当問題になりそうな様相である。
海外では、コソボ自治区がセルビアから独立を宣言し、アメリカ、イギリス、フランス、ドイツが承認した。セルビアはもちろん、ロシアも強烈に反対している。
アメリカ大統領選は民主党候補のつばぜり合いが、益々ヒートアップしている。オバマ候補が流れに乗って勢いをつけ、スーパー・チューズディ以降9連勝で、ついに獲得代議員数でもクリントン候補を圧倒した。このままオバマ候補の優位が保たれるか?
ついに、キューバの象徴であった、カストロ議長がその座を退くという。81歳だから激職の議長職は少しハードだと思う。アメリカにとっては、実に好ましからざる人物だっただろうが、最早東西冷戦は終止符を打ち、キューバも旧ソ連という後ろ盾がなくなったので、カリスマ性は完全に失せた。われわれ安保世代にとっては、象徴的な人物である。キューバはこれからどんな道を辿るのだろう。