15年前旅客機が世界貿易センター・ビルに突っ込みニューヨーク同時多発テロが起きた。あれから15年が経った。早いものである。直ちに当時のブッシュ大統領はアフガニスタンを空爆し、タリバーン政権を壊滅させた。続いて翌々年3月にはイラク戦争を開始した。その後ISという得体のしれない組織が出没し、残虐の限りを尽くして世界中に不安感をまき散らしている。世界はいま混沌としている。まかり間違えば、第3次世界大戦が勃発しかねない危機的状況にある。この混乱に乗じて凡そ脳が劣化したのではないかと思うような指導者も現れた。
まず、北朝鮮の金正恩・第一書記のように核実験以外にやることがなくなった指導者である。いかに世襲とは言え、どうしてこういう下劣な人物が国のトップとして登場できるのか。次いで下品な言葉遣いで各国の首脳をけなして顰蹙を買い、麻薬取引者を裁判もせずに収監、処刑しているフィリピンのドゥテルテ大統領である。人権について国連が問題視しようとすると潘基文・事務総長を馬鹿者扱いする言葉を吐いたり、一時的に治安が改善されたとしてもこいういう人物が大統領として君臨することはフィリピンにとっても国家の恥ではないだろうか。3番目としてアメリカ大統領選で移民受け入れに反対したり、その防止法として国境に壁を作ると主張しているトランプ共和党候補者は、アメリカ国民への信頼感を失わせているのではないか。ことほど左様にどうしてこういう舵取りの難しい時代に、こんなおかしな人間が登場するようになるのだろうか。
ひと昔前に比べて世の状況は悪くなることこそあれ、改善されていくようなムードが感じられない。段々嫌な世の中になっていくような気がしてならない。
さて、先日東京都知事として小池百合子氏が当選したばかりだが、新知事は大きな課題と事象について自ら疑問を抱きチェックを行っているようだ。いま問題になっている築地魚市場移転問題にストップをかけて調査のうえ移転を認めると発言をしたところだ。築地市場は当初今年11月に移転することに決まっていたが、それを来年2月以降に延期すると述べた。食の安全の点で再調査を行うと言い出した。そして、昨日市場の主要施設の地下で土壌汚染対策に伴う盛り土がされていないとこれまでの都の説明が誤りだったことを率直に表明したのである。
更に建設費が大きく膨らんだことにも疑問を呈した。加えて情報公開の在り方にも首を傾げた。それが一旦延期と知事に言わせる大きな理由になった。
築地市場移転問題は最初から問題づくめだった。漸く解決に向かうと見られていたところが、このザマである。石原都政に始まって以後問題知事の猪瀬、舛添氏らは一体何をやっていたのだろうか。しかし、小池知事は法改正により給与を半減してまでも、目前の問題点を解決しようと試みている。これほどの行動力を想定していなかった。私は小池知事に1票を投じなかったが、これまでのところ新知事としては良くやっていると思う。都庁のドンが待ち受ける闇の中に引き擦り込まれることなく、信じる正しい道を進んでほしいと思う。