今月末に東京交通短大で「現場の大きな力と臨場感の大切さ」と題して講義を行うが、小田急電鉄駅員時代の経験談も話すつもりである。入社早々玉川学園駅で見習い駅員として研修中の真夜中に、近くのトンネル内で老婆が最終電車に飛び込み自殺をして大いに迷惑を蒙ったが、その苦労話をしようと思い、パワーポイントの資料作りの一環として、写真撮影のため久しぶりに現場近くを訪れた。玉川学園駅周辺の環境は大分変わり、人家も増えてきた。中々学園都市らしい上品な環境である。駅前の交番は形を変えてそのまま同じ場所にあって、お巡りさんとの思い出も甦ってきたが、駅舎の構造がまったく変わり、懐かしさはもうなかった。すでに45年前のことである。
写真撮影の立地としては、玉川学園内の小田急線路を跨ぐブリッジ上から、トンネル方面を撮るのがよいと考え、ガードマンの許可をもらい、あまり思い出したくはない、嫌な思い出のあるトンネル方面の写真をカメラに収めた。これで少しは臨場感の溢れる説明もできると思っている。
さて、三笠フーズ㈱が事故米を加工米として販売し、それが焼酎、煎餅、和菓子として販売されていたことが明らかになったが、焼酎会社の中には商品の自主回収を始めた会社もある。その中で熊本の「美少年酒造」緒方社長が怒髪天を撞く口調で憤慨していたが、その怒りは当然である。特に、緒方現社長の父親は、義父・川手一郎の慶応時代の友人であっただけについ同情してしまう。かつて「文藝春秋」の「同級生交歓」に、保坂誠・後楽園スタジアム社長らと後楽園球場内でともにカメラに収まっていた懐かしいグラビヤ写真を思い出した。
悪質な三笠フーズは、昨日全従業員を解雇した。何を考えているのだろうか。社長の会見でも些か強気の姿勢が見える。段々様子が明らかになるにつれ、どうも三笠フーズが農水省から事故米を買い取るにあたり、嫌々ながら買い取っていた節がある。それがその後農水省の三笠フーズへの検査を甘くさせた一因ではないかとも思っている。社長の態度にも開き直ったような素振りが見えたが、そんなことも関係しているのかも知れない。
昨日は、北朝鮮建国60周年記念日だった。例年通りピョンヤン市内の民兵まで参加する閲兵パレードが行われたが、その派手な式典はつい最近行われた北京オリンピック開会式を彷彿させるものだった。にもかかわらず、これまで国家式典には必ず出席した国家元首・金正日総書記の姿が見られなかった。ましてや今年は建国以来60年という節目の年でもあり、いつものひな壇に金正日総書記が姿を現さないことに各国から不審や、疑念が見られた。普通の国家なら国の最高責任者に異常事態が発生すれば、スポークスマンが公式にその事情について国民、並びに内外メディアに発表するものだ。
北朝鮮は、普通の国とは違う。金正日の気分次第でどうにでもなる。今日韓国が公式に総書記脳卒中説を発表した。しかし、さほど深刻なものではないとまで付け加えた。とは言え国のトップがこけたわけである。これだけ、各国からの経済制裁により、国が疲弊し国民が飢餓に苦しんでいる最貧国なら、こんな場合人民、学生、或いは軍によりクーデターが起きてもおかしくない。にも拘らず表面的には何も起きてはいない。一部の報道では、軍の不満が相当溜っているという。このままいつまで独裁国家が継続されていくのだろうか。北朝鮮関係の外交は、核問題、拉致を含めてしばらくストップになった。