多摩大学寺島実郎監修リレー講座は、「北京オリンピック後の中国経済の行方」と題して、沈才彬(シン・サイヒン)・多摩大学教授によるどんぴしゃり1時間半の講義が行われた。流石に元三井物産戦略研究所中国研究センター長であり、日本でも中国に通している論客のひとりと見られているだけに、一般にも関心の持たれるテーマについてパワーポイントで数値を示しながら、淀みなく五輪後の中国について考えを説明された。
沈教授は中国を7つの視点から精査し分析された。1)アメリカ金融危機、2)北京オリンピック成功による国家の高揚感、3)オリンピックは先進国への成人式、4)内憂外患の中国経済、5)10%前後の成長、6) 2010年上海万博以降、7)日中関係、等7つの重層的な視点である。特に、アメリカの先行きに対する不安材料と中国自体の内的な力を強調された。これまでのようなアメリカ一極集中的な経済拡大は期待出来ず、また中国が抱えるいくつかの問題が火を噴きかねない。特に中国国内の格差問題は深刻で、これをどう解決するかということが問われている。とりわけ、内陸部と臨海部の地域格差、都市と農村の格差、富裕層と貧困層の所得格差が深刻であり、これが爆発しなければよいがと懸念されていた。また、日本との関係に摩擦はあっても後退はない。日本自身の内需拡大は望み薄であるが、外需による日本国内の内需拡大の方法として、外国人旅行客を増やすことがひとつの方法であると指摘された。その外国人とは中国人である。日中双方の関係は、「win-win」関係の構築で日中の共存・共栄を目指そうと結ばれた。
帰りに秋田英澪子・知研事務局長と大学門を出て坂を下ったところで、30歳前後の女性に後から声をかけられた。「沈先生ですか?」 んむ? 私のことを今しがた講義を終えたばかりの沈先生と見間違えたようだ。講義前に沈先生の写真を見た八木会長からも「近藤さんに似ているなぁ」と言われたが、中国問題の専門家と思われたのは光栄だ。そんなに似ているかなぁ。不思議な感じだ。
いつも通り車で帰り、夕食後近くの深沢支部(玉川青色申告会)の税法改正の説明会と懇親会に出席した。特に減価償却に関して申告会の方が説明された。青色申告会も年々会員数が減少しているそうで、新会員獲得運動を行っている。まだ、入会してから1年も経過していないので細部までは判らないが、この組織はよくやっていると思う。出席者の考えも聞けたので、どう申告に対処すべきか、少しずつ分ってきたように思う。
韓国の桂明洙さんから電話とFAXがあったが、どうも講演場所がソウルではなく、ソウルから車で4時間半ほど離れた、東海岸・江原道のソク・チョという港湾都市のようだ。こうなると2泊3日で世界遺産巡りなどやっている余裕がないと思う。世界遺産は改めて訪れることにするか。KARPでは4泊5日を勧めている。さて、どうするか。