今朝新聞を見て驚いたが、「ビルマの竪琴」の主役・水島上等兵のモデルとされていた群馬県昭和村雲昌寺の住職で中村一雄さんという方が亡くなられた。92歳だった。しかし、在職中随分長い間ビルマ関係者、特にビルマ戦線へ従軍した多くの兵隊さんにお付き合いいただいたが、モデルと称せられた人が現実に生存されていたとは寡聞にして知らなかった。戦友会の方々はどなたも水島上等兵らしき日本兵の話をされなかった。作者の元一高教授・竹山道雄氏自身ビルマへは一度も訪れたことがなかったくらいだから、当然元ビルマ従軍兵から、モデルらしい話を実際に聞かされて書いたものと思う。また、断片的な話を継ぎ合わせてひとつのストーリーに仕立て上げたとも考えられる。だが、ひとりの日本兵の実在の人物が小説の主人公・水島上等兵と同じようなことをやって同じ経緯を辿ったとはとても信じられない。事実、小説では水島上等兵はビルマで亡き戦友の霊を慰めるために、故国日本へ帰らずそのままビルマへ残ったということになっている。一方中村さんは終戦の翌年に復員している。その辺りの整合性も問題である。しかし、小説は小説として、中村さんはずっとビルマのことを思い続けてビルマで亡くなった戦友の慰霊のために、1998年にはビルマの地に慰霊塔まで建てたそうであるし、ビルマのために小学校を寄贈するような支援活動も行っていた。
何度も「ビルマの竪琴」は読んだし、映画も安井昌二主演ものと中井貴一主演ものを観た。あの時代だから小説も映画も当ったと言えるだろうが、今日では小説は現代っ子にはぴんとこないだろうし、映画もスローテンポであまり受けるとは思えない。しかし、数少ないビルマ関連物としては優れものだと思う。ビルマの空は突き抜けるように青く、人々は純朴で穢れない。軍事政権になってビルマは世界中から誤解され、ビルマの良さもどこかへ行ってしまった。ひとりのビルマファンとしては、残念なことである。それにしても時が経っても懐かしい国である。
今日来年度の国の予算原案が出てきた。案の定一般会計は88兆5千億円まで膨らんでいる。本年度の当初予算に比べても6.6%アップで過去最大である。景気低迷で税収は減るにも拘わらず、社会保障費が増加するので、ある程度赤字予算の傾向は止むを得まい。だが、国の借金はどんどん膨らみ、新規国債発行額は4年ぶりに30兆円を突破するという。そんな非常事態に対しても何の手も打てないのが現今の政治家である。どうも無能な政治家たちは、簡単に国債を発行したがる。小泉改革で借金を少しずつ減らしつつあったが、今の政府は財政改革なんて一顧だにせず、簡単にパンドラの蓋を開けてしまう。これから社会保障費は益々増え続けるだろう。それに合わせるように、簡単に国債を発行し続けて良いのだろうか。
ホームページに拙著を紹介するページを追加しようと先日来格闘してきたが、今日一気に公開してみた。内容的には未熟であるが、一応自分の作品を紹介する手段として有効に使いたいと考えている。アクセス数も開設以来今日「10,000」の節目を超えた。やったぁ!