不況もこれ以上進みようがないところまで来てしまったようだ。日経、朝日ともにトップ記事に取り上げているのは、アメリカ企業の雇用状態の悪化である。この僅か1ヶ月で雇用が59万8千人も減少したとある。13ヶ月連続で雇用が減り、そのトータルが何と357万人に達して、1939年以来最悪だそうである。これだけの失業者は、国に照らしてみればアルバニア、レバノン、ウルグァイ、それぞれの国の人口にほぼ匹敵する。これらの国の国民が全員失業者という姿を想像してみれば、いかに深刻で活力がなく、暗くて悲惨であるか。カリフォルニア州はそのくらいの落ち込みぶりなのである。この状態をこれからどうしようというのか。
この雇用減少とどんづまりの経済市況を受けて驚くべき対策を考えたのは、あのシュワルツェネッガー・カリフォルニア州知事である。財政危機が深刻化して、あっと言わせる手を売った。何と州職員の9割に当る24万人に昨日から一次帰休を始めさせたのである。
まあこれが良いか悪いかは何とも言えないが、ここまで本腰を入れて真剣に対策を考えているということである。役人と言えば、日本では民間の企業努力に見合う努力をしないのが当たり前と考えられているが、日本の何もしない役人と、たかが俳優と辛らつな言われ方をされたシュワルツェネッガーとの大きな違いである。
それにしても新聞紙上には、ギョッとする表現があって愕然とする。例えば、トヨタの営業赤字は日が進むに連れて膨らんでくる。堅実そのものと考えられていたトヨタにして迷走し出してきた。今年度のトヨタの決算予想の修正は、期末1ヶ月前になって3度目である。昨年度2兆3千億円もの営業利益を計上して、今年度も1兆6千億円の当初利益を見込んでいた。それが昨年11月には営業利益6千億円に下方修正し、12月には1千5百億円の損失計上と再び下方修正した。そして、それからたった2ヶ月で、その3倍の4千5百億円の赤字に大幅修正したのである。商品が売れないから営業損失の計上もある程度理解出来ないことはないが、これだけ度々会社決算書の軌道修正を見せ付けられると、そのそろばん勘定もかなり杜撰であると考えざるを得ない。各メーカーの生産計画に基づいた人員管理もその場しのぎに見えてきた。危機に瀕するとポイと非正規社員を放り出し、基盤をしっかり固めて手堅く経営するというスタンスを失っているような印象を受ける。すべての面で雑なのである。この様子では、経済の基盤ががっちり固まるまでには相当の時間がかかりそうだ。