3年前56歳で亡くなったロシア語通訳の米原万理さんの著作「ロシアは今日も荒れ模様」が、ロシアの実情をよく伝えていて、ロシア関係のエッセイなどを書く際参考にさせてもらっている。今そのロシアのモスクワに小泉純一郎・元首相が滞在していて、一方で極東サハリンには麻生現首相が訪れている。その元首相が現首相をロシア国内で痛烈に批判している。元首相の郵政民営化は基本的には間違っていないと考えているので、気持は分らないでもないが、こういう鞘当てのような非難が、中川大臣会見の時のように外国メデォイアに歪んだ形で捉えられないか些か気になるところだ。
元首相が国会開会中のこの大切な時期に、何の目的で出かけたのかはっきりしない。麻生首相にしても、ロシアのサハリン2プロジェクト完成祝いに訪問したとなっているが、原油の安定顧客としてロシア政府の招待による表敬訪問的な色合いが強い。互恵的な目的を目指して、北方領土問題解決の扉を叩く方策はないようだ。ほとんど実りのないと言ってもいい首脳会談が、日本の国会から離れたサハリンで持たれたのは、いかにも魚のいない池で釣りをしているようなものだ。正に「ロシアでも、日本でも今日は荒れ模様」の感じである。
アメリカ自動車産業のどんづまりも行き着くところまで来てしまったようである。どうしようもない事態に立ち至っていて、下手をするとオバマ政権も鼎の軽重を問われかねない。今日GMとクライスラーがアメリカ連邦政府に追加支援を要請した。今後これを議会が承認するかどうかにより、両社の命運も決まる。
しかし、両社併せて5万人のリストラを含む再建計画だけでは、支援取り付けは極めて厳しいようである。その理由として、人員削減以外の計画が不透明であり、今年1月の両社の販売実績が前年の半分という散々の結果だったことが、昨年12月に支援を受けた分をかなり食いつぶすことになってしまったからである。事態は刻一刻と悪化しているのである。
ところが、今日再び支援要請した金額はGMが166億ドル(約約1兆5千億円)、クライスラーが50億ドル(約4千6百億円)というから開いた口が塞がらない。支援金額も雇用削減も桁外れである。これではアメリカ国民が怒るのは当然である。どこで折り合いをつけるのか、とても凡人には想像もつかない。