664.2009年3月8日(日) 麻生首相は何のために沖縄へ行ったのか?

 麻生首相が首相就任後初めて沖縄を訪れた。現在政府と沖縄県との間には、基地、米軍駐留、滑走路移転、等々の難問が山積している。喫緊の課題は、普天間(宜野湾市)及び辺野古(名護市)基地の海上沖合移設問題である。しかるに首相は仲井真弘多・沖縄県知事との会談では肝心な問題に一切触れず、2つの滑走路変更予定地の視察にも行かなかった。講演でも基地問題にまったく触れなかった。沖縄と言えば米軍基地とは切り離せない。しかも、海兵隊の2014年までのグアム移転計画と普天間基地の移転問題が暗礁に乗り上げている泥沼状態にある。それらは米軍再編成問題を絡めた微妙な難題であり、その近くまで来ていながら、その核心には触れようともせず、腫れ物に触るように及び腰だったとは、何を考えているのか、その馬鹿さ加減に呆れるばかりである。

 地元沖縄では、首相は何の目的で沖縄へ来たのか理解出来ず、不信感と疑念は広がるばかりである。この辺りに首相周辺の政治オンチを感じざるを得ない。情けない。

 日米安保条約と極東地域の安全問題から逃れられない日本政府の対応としては、とりわけ沖縄問題は慎重に、しかし熱意と誠意を持ってハイ・スピードで取り組まなければならない。一日も早く政府は地元沖縄と米軍を交渉相手に事態の前進と解決に向けて積極的に動くべきである。それにも拘わらず、現状は首相のノー天気な訪問を始めとして、浜田靖一・防衛大臣が就任以来いまだに沖縄を訪問していないという沖縄軽視を続けている有様である。首相にも、大臣にも真剣に沖縄問題を解決しようとの気持が見られないのだ。

 戦後米軍に占領され続けた沖縄を、かつて日本政府は見捨てたのである。1972年漸く本土復帰となったが、沖縄には重い足かせがつけられていた。それが、米軍基地である。沖縄県民の願いを汲み取るべく基地の撤去、移転を、国は県民に約束してきた筈である。しかるに40年近くに亘って日本政府が確約した沖縄県民への約束は空手形のままなのである。現政府は沖縄県民に対して2度目の棄民をしようとしている。

  政府の対応は、むしろ沖縄県民の意向とは反対の方向へ進んでいるのではないか。政府筋では、今や沖縄は「触らぬ神」になっているように思えてならない。そうでなければ、折角沖縄まで足を運んだ総理大臣が、日光・東照宮の「見ざる・聞かざる・言わざる」の猿の真似をするわけがない。「信用出来ないのはいつも総理大臣」というのではあまりにも切ない。

2009年3月8日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com