今年の「知的生産の技術研究会」の出版プロジェクトがスタートして、今日は初めてのインタビューである。22名の知識人のうち、今日インタビューにお応えいただくのは評伝作家・北康利先生で、現在売れっ子作家として大童の活躍である。わざわざ出版社までお越しいただき、知研からは八木哲郎会長、久恒啓一理事長、秋田英澪子事務局長、カメラマン兼記録員として幅健一さんが出向き、主たる質問者として私自身が当った。事前に21項目の質問事項を提案していたところ、一問一答でなく、この質問事項に沿って応えましょうとの申し出があったので、喜んで受け入れることにした。
ご両親の出身地、兵庫県三田市は今話題の白洲次郎を生んだ。予想していたことであるが、ご自身は元来「読むこと」「書くこと」が好きで、亡父へのオマージュ、町おこし、評伝作家が少ないとの理由から自然に郷土史家として歩き出した。白洲次郎についても2冊の著書がある。人生訓として「一望を照らす」と述べていたように、ひとつの道に秀でた、社会にインパクトを与えた人に惹かれると話された。それが、松下幸之助であり、福沢諭吉であり、白洲次郎なのだろう。影響を受けた人物として、司馬遼太郎の「竜馬が往く」からパワーを得られたと仰っていた。
当初予定の1時間を2時間近くにまで伸ばしてもらい、几帳面に丁寧に流れるように話していただいた。さすがに東大弁論部で鍛えられただけのことがある。
印象的だったのは、①若い人の適性を伸ばす、②商売とは経営学より人間学である、③物事をイーグルアイで観る、④和魂和才、⑤早め早めの時間管理、⑥家族への思いやり、等々である。
他にも随分参考になることや有益なことを話していただいたが、それをしっかりした文章としてまとめていかなければならない。しかも読ませる文章でなければならないし、北先生の話された要点を外さないことが肝要である。出来るだけ早く文章化したいと思っている。取材を終えて八木会長の案内で出版社から日本橋の「泰明軒」へ向かい、名物のオムレツをいただいた。つい世界遺産として人気のフランス「モン・サン・ミッシェル」の参道沿いの伝統あるオムレツ屋を思い出した。
北先生の取材はいろいろ学ぶことが多かったし、楽しかった。チームワークで仕事をやるのは楽しいものだ。全員の気持も大いに高揚して、人へのインタビューの面白さをみんなで実感したのではないかと思う。まだ、スタートしたばかりだが、編集スタッフとしてはこれから約20名の方に取材する。順調に行かないこともあると思う。幸い若い人たちも情熱をもって取り組んでくれるので、彼らにとって良い自己啓発のための教訓となり、逞しい人材として育って欲しいという願いがある。知研力を発揮して立派な実績を造り上げたいものである。
夜になって取材を予定している小中陽太郎先生から、月曜と火曜ならいつでも都合がつけられると有難いご連絡をいただいた。