経済開発協力機構(OECD)のデータによると2006年の各国のGDPに占める教育機関への公的支出(3.3%)が、日本は28ヶ国中下から2番目の27位ということが分かった。すべての国の調査でなく、比較的豊かな国の中だから、極端に悪いということではないが、欧米先進国の中では教育後進国と言われても抗弁しようがない。
民主党は「OECD先進国並みの教員配置を目指し、少人数学級を推進する」と提唱している。日本の小学校1クラスの平均生徒数は28.2人で、OECD平均の21.4人に比べるとかなりの開きがある。中学校に至っては日本の33.2人に対して、OECD平均は23.9人である。
それでもわれわれが小中学生のころ、1学級が40人以上だったことを考えれば、教育環境は確実に良くなっていることは間違いない。
実際過去に20回ほど文部省海外教員派遣団とともに欧米の教育施設を訪問して感じたのは、アメリカの初等学校の生徒数の少ないことが際立っていたことである。ほとんどの小学校で1クラス20人以下だった記憶がある。施設も充実していたし、教員の数も多かったし、先生が子どもの教育に情熱を持っているなあと感じられたものである。PTAの協力ぶりも献身的で心の篭った教育を施している印象が強かった。
その他にも2つほど強く印象に残ったのは、まず先生が徹底的に子ども好きだということだった。もちろん日本の先生だって、子どもが好きではないということではなく、アメリカやヨーロッパの先生の子ども好きに関しては、われわれの常識や感覚からすると並外れていた。それに地域のボランティアの協力ぶりも徹底していた。
教育的支出とか、投資というものは金額だけでは計れない。地道な地域ぐるみの協力があって初めて効果が出てくるものであると思う。日本の教育が問題なのは、投資額もさることながら、教育委員会のあり方、教育の本質、先生の質、市民の協力度合い、等がきちんとしていないことで、そうでなければ教育の成果は上がらない。
今度の調査では、他国に比べて財源が充分使われていないということであるが、その積み上げはもちろん重視すべきである。
しかし、身の回りの細かい教育的配慮がそれ以上に重要であることは言うまでもないことである。